マガジンのカバー画像

素数日

111
いつの頃からか覚えていないが、厚洋さんが逝ってからの日数を数えるようになった。このnoteをを始めたのは、一年以上経ってからのこと。 命日だけではなく、記念日も思い出していたが、…
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

愛しい人が逝って    1433素数日

愛しい人が逝って    1433素数日

 後1ヶ月も過ぎると、愛しい人の祥月命日になる。大好き大好きと泣きながら書いた本は、3年の契約が切れた。
 三年日記も最後の段の後半だ。
 もう、厚洋さんが闘病中の「愛してる」を書き殴っている文字は見られない。
 厚洋さんが買ってくれた三年日記の1冊目の中段の8月が「命懸けの恋」の真っ最中だった。納戸から引っ張り出して開いてみたが、読み進められなかった。
 もう4年が過ぎるのだ。
 四十九日までは

もっとみる
愛しい人の時 

愛しい人の時 

「愛しい人の時」なんて書くと、若い女の子が愛してしまった彼の時間のような感じがしますよね。
「…の時」であって「…との時」ではないので二人の時間ではない。
「食事の時」とか「遊びの時」のように動きと結びついて、それらをしている時間の意味を持つのだが、捻れた名詞の場合は結構複雑な感じがする。
「花の時」「逢魔が時」なんて、詩人が題にしそうな複雑な感じを表現する時間を表現しそうだ。
「愛しい人の時は止

もっとみる
1423素数日

1423素数日

 昨日は、単の着物を着て、三絃のお稽古に行く事が出来ました。
「貝の口を結んだの。
 見て!見て!
 ちょっと小粋でいいでしょう?」
 写真の厚洋さんは、ちょっと首を傾けて笑っているだけでした。
 厚洋さんが「着物を着た人が好きだ。」というから、頑張って着付け教室(ハクビ)で習って、真っ白い割烹着を着てあなたの帰りを待ちました。
 結婚する前の話ですね。
 好きこそ物の上手なれってのは、本当のこと

もっとみる