#1 別々でも眠れないね
先日松本へ行った時、
丘の上で野原に座って桜と町を眺めていた。
「本当は手紙を書いてこようと思ってました。
ここで渡したいなって」
漫画を真似てここで手紙を渡したかったみたい。
嬉しかった。僕も恋人に手紙を書くことにした。
手紙は胸の内を丁寧に伝えられる道具だ。
今までの恋愛でも書いたことがあった。
でも、今の恋人には重いと思われそうなので書いてこなかった。
僕は実家の葬式から自宅へ帰ってきた後、恋人に手紙を書いた。
たくさんのもしもの話。
タイミングがよかった話。
祖父母の遺伝子の話。
そして、僕が遺書に書こうと思っていた話……
それは、僕が無事に生きていて結婚できたら
その時に言おうと思っていた話だ。
いくつかあるうち、一つだけ書こうと思った。
その話の導入まで書いたが、
「やっぱりまた今度にします」とごまかした。
恋人はきっと気になるだろうけど、
今書くのは早い気がした。
4/22(金)
仕事を終えた僕は、恋人の家へ向かった。
土日は茨城のひたち海浜公園へ行く。
恋人は旅の支度をしている。
「布団ひいときます👌」
仕事終わりで疲れているのに、僕のために布団を敷いてくれる恋人……優しい。
23時前、恋人の家に着いた。
荷物を下ろし、恋人にお土産を渡した。
お互い一週間の疲れと、明日のために早く寝ようという思いがあったため、手紙は渡さなかった。
僕らは別々の布団で横になったけれど、
お互いなかなか眠れなかった。
「人が来るとアドレナリンが出て
眠くならなくなっちゃいます……」
可愛いなぁ。もう。
結局同じ布団に入ってキスをして、3時半に寝た。
君の背中は汗でびっしょりだ。
僕らは同じ布団に入っても
別々の布団に入っても眠れないみたいだ。
おかしいね。
翌朝6時過ぎに目覚めてしまった僕らは
カメラと着替えを持って茨城へ向かった。
続く。
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