#1 なつかしむだけ
(本当は恋人との話を書きたいのですが、
その前日譚として元カノの愚痴を書きます)
これは元カノが家から退去する直前の話。
元カノは年明けの1/7に家を出て行くことにした。この日、業者に荷物と家具家電を積んでもらい、家を出て行く。
退去までのカウントダウンが始まった。
12月中旬に別れてから、僕と元カノの関係は良好だった。元カノが僕に何も求めなくなったからだ。今までは「元カノが僕に何かを求める→僕は元カノが嫌いなので返さない→元カノの機嫌が悪くなる」という感じだったのだが、それが一切なくなった。元カノは新しい彼氏という新たな依存先を見つけた。地獄に平和が訪れたのであった。
1/4(火)の朝。
出勤のため、二人で家を出て、最寄り駅まで一緒に歩く。
「なんでうちら別れてからこんなに仲良いの笑」
と言われたので、僕は先述のことをそのまま伝えた。
電車に乗っている間も会話した。
(もしこの人が友達だったら、こんな感じだったんだろうな)なんて思った。
その日の夜。
寝室にはシングルベッドが二つ並んでいる。
普通に寝ようとした。
すると、元カノが泣き出した。
「別れてからこんなに仲良くて…
本当はこうなりたかったのに
どうしてなれなかったんだろう…」
僕はその時なんて答えたかは忘れた。
いろいろ話しているうちに涙は止まっていた。
そして、笑いながらこんなことを言ってきた。
「私が出て行く最終日にキスしよう笑」
さすがに無理があった。
僕は新しい恋人がいることを告げた。
大切な人がいるから無理だと伝えた。
僕はある曲の一節を思い出していた。
この歌詞ってこういう意味だったのかな、
なんてことを思った。
あなたは泣いた夜を忘れて、温かい愛を懐かしんでいるだけだ。僕はあなたから貰った沢山の傷と怒りを忘れていないよ……
1/5(水)
この日の夜、元カノは新しい彼氏とリビングで電話していた。普通にうるさい。
「ちょっとうるさいよ」と言っても、
「うっさいなぁ」「ほんまにうっさい」
と言い返されて、
殺してやろうか( ◜▿◝ )笑笑という感じだった。
寝室でも電話していて、時刻は0時は過ぎていた。
僕が寝室に行けない。
・普通にうるさい。
・深夜は電話するな。
・他人の前で堂々と恋人と電話っておかしくない?
この3点から元カノは処されるべきだった。
電話が終わった後に僕は言った。
「電話するのさすがにどうかしてんじゃない?」
元カノは「ごめん…」と一言だけ言った。
1/6(木)
この日の夜は普通に喧嘩した。
「最後の最後までほんまにうっさいわ」
そして火のつかないコンロに対して
「うざいうざいうざいうざいうざいうざい…」
と唱えていた。
こういう言動があるだけで僕はもう無理だ。
この人に対して、沢山の「無理」が積み重なっていた。僕はどうしてこの人に出会ってしまったんだろう。
「今私のこと惨めだと思ってるんでしょ」
その通りだ。惨めだと思っていた。
この人との思い出が、最後の最後まで最悪な形で終わろうとしているのが逆に嬉しかった。最後まで汚いままでいてくれ。この数ヶ月間の思い出をごみ箱に捨てやすくなるから。
1/7(金)
朝に引越し業者が来て、いろんなものを積み始めた。予定より物が多かったので、引越し業者が迷惑を被っていた。やっぱりこの人ダメだな。業者さんに言われても謝らないし。将来とか絶対に考えられない。
こうしてその人は出て行った。
広い部屋に僕一人だ。清々した。
続く。
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