0408

世界で1番おいしい生ビールを置いてる居酒屋にいった。
お客さんが少ない平日は天使に会える。

キンキンに凍ったグラスに冷えたビールと居酒屋というには上品な味のメニューたち。天麩羅が本当にうつくしい、出汁を丁寧に引いた卵は絶品。火加減なんだろうね。

酒とつまみを食べながら話に花を咲かせ、煙草を吸いに外へ出て春の夜風を感じて。
煙草を消して店の扉を再びあけると、しゅうううううう!ってこちらに向かってきたのは小さな天使、ペダルのない小さな小さな三輪車に乗って、夜の太陽かよ。
しばらく席につかずに三輪車の天使と誰もいないフロアで追いかけっこした。またね、って待ち人の元へ戻って話に加わる。

そろそろ日本酒にしようかな、とおもっていると、後ろから、とたとたとかわいくて軽い足音がして、振り向こうとしたらそのまま頭をくしゃり、くしゃりと撫でられた。

振り向けば太陽。

つられて笑うと、一瞬ポカンと口を開けたら、すぐに笑顔になった天使の指が、くちびるに。
反射で歯を開くと、舌を挟まれる。
なんだなんだなんだ。小さい子の思考が読めずソーシャルディスタンスとかも考える間もなく、なすがまま、舌を弄ばれる。

2歳児に口内をあそばれる23歳、多分際どい。

「ピアスちぎれちゃうよ」

友人からの声で気付いた、ピアスをさわりたかったみたい。

「これ、好きな人とかなら死んでたよお」って笑いながら呑んだ日本酒は舌が痺れて味がしなかった。

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