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『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』心に炎を灯して

こんにちは、春華です。
今回はゲームではなく、映画の感想を書きます。いまやその名前を聞いたことがない人の方が少ないだろう作品ですね。
映画感想と言いつつ、もしかしたら煉獄さんへの愛をただただ叫ぶ内容になるかもしれないこと、最初に謝っておきます。

※映画の内容や、既刊コミックスまでの一部ネタバレを含む記事となっていますので、これから観劇する方やコミックス未読の方は閲覧ご注意ください。

私は去年アニメ第1期を観て鬼滅にハマり、その後原作をコミックスで追いかけていたファンだったんですが、既刊22巻までを通して、無限列車編が一番好きな(そして同時に一番辛い)エピソードでした。

アニメを観終わった段階では、煉獄杏寿郎という人のことは、「個性豊かな柱メンバーの中でも他に負けないくらいちょっと変わった人」とか、「何を考えているのか分からない顔が少し怖い」とか、「(中の人も相まって)灰呂〇志みたいだな…」とか、それくらいの認識でいたのですが、炭治郎くん達との交流を通して感じる面倒見の良さ、夢の世界で垣間見えた過去、列車での戦いにおける頼もしさ、後輩に優しく微笑みかける笑顔。煉獄さんの魅力に一つ、一つ触れる度惹きつけられてたまりませんでした。
そしてその矢先に、早すぎる退場を迎えてしまう。初めて読んだ時は涙が止まらなくて、しばらくぼーっと放心してしまったことを今でも覚えています。そこから先の物語をどれだけ辿っても、煉獄さんが一番好き、という気持ちは変わりませんでした。

そんな無限列車編がテレビアニメではなく劇場版で観れるという事実がまず幸せでたまりませんでしたね。もちろんテレビアニメシリーズのクオリティも十分高くて素晴らしいのですが、それを上回る劇場版で一番好きなお話が観れるなんて…という私の期待は凄まじいものだったと思うのですが、実際に観た映画は…それを数段も超える内容でした。
作画、演出、劇伴、声優陣の演技…全てが期待以上でした。本当に本当に素晴らしかった。

無限列車編は原作ではそんなに長いエピソードではなく、巻数としては1巻とちょっと分です。それを120分ほどの映画にするにあたって、少しずつ追加の要素が入っていたり、話の流れを前後させたりしてたのですが、そのあたりほんと絶妙で。原作の良さを少しも潰さず、邪魔しないように散りばめられていて「うまいなぁ」と思わず唸ってしまいました。漫画における画と画の”行間”の描写、「こういうのが観たかった!」というものばかりで。

映画の内容で、特に私に刺さった内容とか、良かったなと思ったことや感想などなど備忘録的に箇条書きにしてみます。

・冒頭の御館様のお墓参りシーンは新規のもの
・原作ではかなり終盤になって判明する戦死した隊員の名前を全て覚えているという設定が自然に描かれてる
・「どんなに打ちのめされようと、人はまた立ち上がり戦う」「人の思いを断ち切ることは出来ない」という台詞はエンディングに繋がる内容になっていると思う
・オープニングから音楽が最高
・主題歌”炎”のアレンジ、鐘の音が聞こえただけで涙腺が毎回決壊する
・”炎の呼吸 壱の型 不知火”の演出がかっこよすぎて泣く(特番で花江くんも言っていたが、分かりみありすぎた)
・煉獄さんのテーマがあまりに良い
・夢の中で退治する鬼に2体目が追加されている
・伊之助くんをキャッチしつつ、取り残された乗客を助けるシーンがあまりにもかっこよすぎる(絶やさず刻まれる笑み…)
・その乗客になりたすぎる
・魘夢の作画と演技がとても良い
・ニィ~~ッ…って声が本当に気持ち悪くてすごい
・炭治郎くんの夢は描写がかなり厚くなっている
・幸せなら幸せなほど、観客は心を抉られる
・煉獄さんの夢のシーン、父の寝所に控える際刀を右手側に置いてある描写がさすがufotableだと思った(活劇刀剣乱舞で刀の所作について研究された成果がこういうかたちで見られるのとても嬉しい)
・僅かに動かした右手がカタンッ…と刀に触れる描写がめちゃくちゃ好き
・そしてまたもや"炎"のアレンジBGMで泣く
・原作のイメージより、落ち着いた声音で千寿郎くんに語り掛ける煉獄さん
・あえて「!」の表現をなくして演技したとパンフのインタビューにあったけど、こういう解釈もありだなと思った
・禰豆子ちゃんの頭突きシーンは可愛いの塊だった
・炭治郎くんが夢の中で家族と別れるシーンは”竈門炭治郎のうた”のアレンジ…(こんなん絶対泣く…というやつ)
・善逸くんが霹靂一閃で駆けつける描写は文句なしのかっこよさ
・「よもやよもやだ」からの「穴があったら、入りたい!!」、浮き上がって一気に駆け抜けるのかっこよすぎて震える
・魘夢決着までの一連の流れはかなり原作に忠実
・「骨を、断つ!」の演技がとても好き
・魘夢の断末魔の演技が本当にすごい、さすが平川さん
・猗窩座登場から音楽のテイストが一気に変わって雰囲気が一変するの素晴らしい
・猗窩座のキャスティングには最初驚愕した
・石田彰はどちらかと言うと知能犯的な悪役のイメージが強かったので、当初は違和感があったんだけど、演技があまりにも上手すぎて今となってはとてもしっくり感じている
・煉獄さんと猗窩座の戦闘シーンは、本当に動きが早くて、炭治郎くんが「動きを目で追えない」と言うように、瞬きすることも憚られるように目が離せなかった
・猗窩座の過去を知っている故に術式展開にも涙(色…)
・最初は煉獄さんが押しているようにも見えるけど、どんどん追い詰められて呼吸も乱されて…
・原作では描かれなかった、死闘の全容が丁寧に描写されていて、とてもすごいけど、どういう風に煉獄さんが追い詰められていったかをまざまざ見せつけられるのはとても、とても辛かった
・”奥義 煉獄”を放つシーンは原作よりも描写が大分厚く
・ここで「心を燃やせ」は……
・刀の向きを変えてから斬り上げるの描写、とてもよかった
・お母上との回想シーン、一気に静寂が訪れる演出…
・腕を差し出されて、おずおず膝立ちで近寄る幼い煉獄さん
・母の言葉に瞳に涙の膜が張るけど、決して涙は流さない強い子…
・「貴女のような人に産んでもらえて光栄だった」という台詞は、煉獄さんの台詞の中でも特に好きなものだけど、とても素敵な演技だった
・このあたりの叫びの演技がまた本当に素晴らしかった、魂と魂をぶつけ合うような熱があった
・逃げ去る猗窩座に向けて叫ぶ炭治郎くんの演技でまた泣く
・「悲しくて、悔しくて、仕方がないね」という気持ちが溢れる
・煉獄さんが”最期の言葉”を語るシーンはもう毎回涙で視界が滲んでしまう
・「心を燃やせ」と口にする瞬間の描写があまりにも…炭治郎くんの瞳に映る煉獄さん…
・最期の最期、少年のような笑顔で太陽よりも温かく笑う煉獄さん、口元に笑みを残したまま静かに、”黎明に散る”…
・鎹鴉が涙を浮かべながら飛び去る描写も本当に…煉獄さんのことを慕っていたことが感じられて胸が締め付けられた
・煉獄さんテーマのアレンジ…
・”炎”のイントロが流れラストカットは左胸にあてられた炭治郎くんの手
・そこに確かに”炎”が灯ったんだなと感じさせる描写でもう…

とりあえず思い起こせる限り、感情のままに書き殴ってしまいました。

ここ最近は、つい、気付くと煉獄さんのことを考えてしまっています。
例えば、かまぼこ隊の3人がそれぞれ幸せな夢を見る中、煉獄さんが見る夢は一見、幸せなものではないように思えます。おそらく、都合の良い改ざんなど一切ない、紛れのない過去そのもの。それがなぜなのか、とか。
①事実を捻じ曲げ、甘えるようなことを許さない自律の心から
②辛く、寂しい現実もあれど、大切な弟との思い出は確かに”幸せ”な瞬間だったから
③任務に駆け回り、仲間を失うこともある過酷な日々の中で、この僅かな穏やかな時間が彼にとっては幸せを感じるものだったから
原作を読んだ後もずっと考えて、私が思い至ったのはこれらの三つです。どれか一つ、っていうよりは全部が合わさってあの夢のシーンになったのかな、と思いました。このあたりは、他の方の意見とかも聞いてみたいなぁ。

そして主題歌の”炎”。
もうなんというか、最初にタイトルが発表された時すでに「あ、これは絶対あかんやつだ」という気配は察知したのですが、案の定、劇場版の予告編で流れていた部分の歌詞だけで泣きました。

手を伸ばし 抱き止めた 激しい光の束
輝いて消えてった 未来のために
託された幸せと 約束を超えて行く
振り返らずに進むから 前だけ向いて叫ぶから
心に炎を灯して
遠い未来まで…

私はこの曲の歌詞は、炭治郎くんから煉獄さんに宛てたものだと解釈していて、全体を通してもそうなんですが、さすが原作のファンであるLiSAさんが書いたものだなと思うのは、特に最後のフレーズ。”遠い未来まで”。
炭治郎くんは最終決戦でも、そこに至るまでの戦いの中でも、何度も何度も煉獄さんの言葉を思い出して、心を燃やして、自分を奮い立たせます。後輩たちに自分の願いと希望の全てを託し、彼らを「信じる」と言った言葉が、煉獄杏寿郎という人が最期に残したものとなるけど、それはちゃんと、ずっとずっと先の未来まで繋がるんだなぁって。思うと、もう…。泣けますね。
(ちなみに、”炎(ほむら)”は心が感情によって燃え上がる様子を表現するときの読み方だそうです。)

気高く優しい、太陽のような灼熱の人。
彼が灯した”炎”は、身を焦がすように苛烈な闘志でもあり、そっと闇を照らし導いてくれる柔らかな灯火のようでもあるなと、彼のことを頭の中に描いては思いを馳せてしまうのです。
…そして。もっと、もっと生きていてほしかったなぁと、やっぱり思わずにはいられませんね。

今日時点での乗車回数は7回なのですが、時間の許す限り、スクリーンの中で躍動し、心を、そして命を燃やし尽くす煉獄さんの姿を、この目に焼き付けに行きたいと思っています。
素晴らしい作品を私たちに届けてくださった全ての方々に感謝を。

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