S(考え中)

インスタグラムに書けない本音たち。

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最近の記事

すべてわかった上で、流されてしまいたい日がある。

私はひとりでいることが好きなタイプだと思っていた。 というか実際そうなのだけれど、そこに条件があることに気がついた。 私は約一年前まで実家で家族と暮らしていたのだが、仕事もしていたし常に家族の機嫌や顔色を窺っていたり、愛犬の世話があったりと、ひとりで自分のために自由に使える時間が限られていて貴重だったのだ。 だからひとりで部屋にこもって読書をしたりドラマや映画を観られるときが至福のひとときだった。 しかし現在は家族や古くからの友人とも離れた場所で暮らしていて、今は求職中

    • 躁とミモザ

      私は三月が苦手だ。 この冬の冷たい空気に春の陽気や香りが混ざり始めるこの季節が来ると、長い冬の終わりを喜ぶとともに身構えてしまう。 そして大抵の場合は、躁状態になる。 この雰囲気に足元を掬われて流されてしまわないように、心の奥底の方のざわめきに気づかないようにするために、必要以上にハッピーで元気いっぱいで上機嫌なバージョンの自分になるのだ。 例えば、普段の私は一人で過ごす時間が必要不可欠なタイプなのだが、人と会う予定をたくさん入れる。 仕事が楽しく感じて、いつもより意欲

      • 自分の見た目を肯定できたと思っていた

        先日、友人とカフェに行ったときのこと。 私がお菓子を食べていると、彼がその姿を写真で撮り出した。 冗談めかして「恥ずかしいからやめてよ」と言っても、彼は悪戯っぽく写真を撮りづつける。 私はだんだん居心地が悪くなってしまい食べる手を止めて、もう一度「やめて」と言ってみた。 「どうして?」と聞いてきた彼に対して、 「写真を撮られるのが好きじゃないの」と答えると、 彼はさらに、「かわいいし、完璧だよ。わかってるでしょ?」と言う。 私はそれを否定も肯定もしたくなかった。 人からの

        • 思い出しても泣かなくなるその日まで

          私には、7年間も片思いをした相手がいる。 片思いというか、お互いのことを好きだと思っていたタイミングもあったけれど、いろんなことが邪魔をして結局一度も恋人同士にはならなかった。 懐かしい歌を聞いてしまったせいなのか、懐かしい映画を見たせいなのか、古い写真を漁ってしまって、消したと思っていた動画が残っているのを見つけてしまった。 見てはいけないこともわかっていたのに見てしまった。 当時は気づかなかったけれど、私と彼のどちらの声や話し方からも恋をしている、相手のことが好きだっ

        すべてわかった上で、流されてしまいたい日がある。

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        • 読書記録
          9本

        記事

          ずっと片思いをしている

          2022年2月にリリースされた宇多田ヒカルのアルバム”BAD MODE”に収録されている”Find Love”のサビの歌詞にこんな一節がある。 この一節を聞いた時に、「これ私のことだ」と思った。 今までなんとなく自分の内側に感じながらも言語ができなかった部分が、この歌詞で説明された気がした。 ということで、“Affectionate”という単語の意味を改めて調べてみると、 おおよそ「愛情の深い」「愛情のこもった」「優しい」などという訳が出てくる。 だけど私が自分やこの歌

          ずっと片思いをしている

          愛に結末なんてない / Modern Love

          こんばんは。あるこです。 アマゾンプライムのオリジナルドラマ『Moden Love』のセカンド・シーズンがリリースされました。 ファースト・シーズンはほぼ泣きながらも一日とちょっとで見終えるくらいに気に入ったので、かなり楽しみにしていました。 ※ファースト・シーズンの感想はこちらから。 以下、ネタバレ注意です。 今シーズンは前シーズンに比べて、より普遍的で身近で日常的かつ現実的な様々な愛の形が描かれていて、落ち着いた印象を受けた。 どちらかと言えば、愛の「終わり」や

          愛に結末なんてない / Modern Love

          ストレンジャー・シングスを見た!

          こんばんは。 あるこです。 なんと一年以上ぶりの投稿になります。 実はアカウントをもう一つ作って更新をしていましたが、そちらもすっかり放置をしており、なんとなくこちらに戻ってきました。 小説を書くこともなくなったので、トップのカクヨムのリンクを消さなければな…と思いつつ。 コロナ禍で思うように遊びにも行けず、仕事や家庭でも思うところがあり、ストレスばかり溜まる毎日が続いていますが、そんななかで今年の春頃にようやくNetFlixに登録しました! なんでもっと早く登録しな

          ストレンジャー・シングスを見た!

          キャサリンはどのように子供を産んだのか? / 森博嗣

          こんばんは。 青井あるこです。 コロナウィルスの感染拡大を受けて各地で外出自粛の要請が出され、リモートワークで仕事をし、休日は自宅から出られないという方も多いかと思います。 そんななかで普段と変わらず平日は電車に乗って出勤をして仕事をしているので、読書や海外ドラマ、ゲームなどインドアな趣味が多い私は、休校中に友だちと出かける学生たちよりよっぽど自宅軟禁に適しているのにな…とつくづく思います。 それどころかコロナウィルスの影響を受けて仕事がバタバタしているので、読書をする

          キャサリンはどのように子供を産んだのか? / 森博嗣

          今更ながらゲームオブスローンズにハマった話① ブラックウォーターの戦い編

          こんばんは。 青井あるこです。 今更ながらGAME OF THRONESにハマり、挫折期間も含めて約一年かけてやっと見終わった! 去年か一昨年くらいのエミー賞でやたらと取り上げられていたし、海外の知人にお勧めのドラマを聞くと大抵GOTって答えるからその人気ぶりはなんとなく知っていたものの、もともとハイファンタジーが好きじゃないから興味は持てなかった。(ちなみにハリポタもアズカバンで挫折してる。) だけど2019年にファイナルシーズンが放映されると、毎週TwitterやP

          今更ながらゲームオブスローンズにハマった話① ブラックウォーターの戦い編

          僕の人生には事件が起きない / 岩井勇気

          こんにちは。 青井あるこです。 2019年9月に新潮社から出版されている岩井勇気さんの「僕の人生には事件が起きない」を読みました。 お笑いコンビ・ハライチとして活動されている岩井さんの初エッセイ。 ハライチのネタは面白くてテレビでやっているとついつい見てしまうのだが、一方でバラエティ番組などでは澤部さんが一人で出ている光景をよく目にする。 そのせいか岩井さんに対しては無口で大人しいという印象があった。 だからときどきSNS上で岩井さんの毒舌が流れてくると、少しどきっと

          僕の人生には事件が起きない / 岩井勇気

          本屋さんのダイアナ / 柚木麻子

          こんばんは。 青井あるこです。 2016年に新潮文庫から刊行されている(※他にハードカバー版も有り)柚木麻子さんの「本屋さんのダイアナ」を読みました。 育った環境が正反対の二人の少女によるガールミーツガール小説。 二人には本が大好きという共通点があった。 キャバクラ勤めでろくに自炊もせず娘の髪を金髪に染め、自分のことを源氏名の”ティアラ”と呼ばせる母の元で育ったダイアナ。外国人の血など一滴も入っていないうえに、”大穴”と書いてダイアナという名前はいつも周囲の子どもたちの

          本屋さんのダイアナ / 柚木麻子

          三体 / 劉慈欣

          明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 青井あるこです。 正月休みの間に話題の中国のSF小説、劉慈欣の『三体』を読みました。 ネタバレがあるので、ご注意ください。 --- とにかく面白かった。 日本語版の本はハードカバーで433ページもあるし(あとがきを除く)、中国の小説を読んだこともないので、かなり手強いかなと覚悟していたのだが、一度読み始めるとページを繰る手が止まらなくなった。 SF小説であるから科学や物理的な仕掛けもたくさん出てくるの

          三体 / 劉慈欣

          不完全さを愛するということ②―Modern Love~今日もNYの街角で~

          こんにちは。 青井あるこです。 前回に引き続き、Amazon Primeオリジナルドラマ『Modern Love ~今日もNYの街角で~』の感想を書きます。ネタバレ注意です。 感想その1はこちらから。 7, 僕らが見つけた家族のカタチ "Hers Was a World of One" ゲイカップルが養子を迎えようとするのだが、ゲイであるという理由で養子縁組は難航する。ようやく子どもを養子に出したいという女性が現れるのだが、彼女はなんとホームレスだった。 彼女、カーラ

          不完全さを愛するということ②―Modern Love~今日もNYの街角で~

          不完全さを愛するということ①―Modern Love~今日もNYの街角で~

          こんばんは。 青井あるこです。 最近TVCMやtwitterなどで何かと話題のAmazon Primeオリジナルドラマ『Modern Love ~今日もNYの街角で~』を見ました。 もともとアン・ハサウェイが出演している、しかも躁鬱病の女性を演じているということで興味を持って見始めたのですが、これがまた彼女のエピソードもその他も想像していたよりかなり良かったので、感想を書きます。 このドラマは各話が約30分、1シーズン8話という短いシリーズなので、海外ドラマって長くて最

          不完全さを愛するということ①―Modern Love~今日もNYの街角で~

          人間はヴァーチャルのなかで生きるのか?―神はいつ問われるのか? / 森博嗣

          こんばんは。 青井あるこです。 大好きな森博嗣氏の新刊を読みました。WWシリーズ二作目の「神はいつ問われるのか?」です。何故一作目から感想を書かないのかというと、実は書いてはいたのですが収集が付かなくなってそのまま放置してしまい、諦めることにしました。 余談ですが、私は森博嗣氏のファンですが、彼の作品を全て読破したわけではありません。Wシリーズは全巻読んでいます。 ※この先、ネタバレ注意です。※ 今回はヴァーチャル(仮想)とリアル(現実)が主たるテーマのお話。 アリス

          人間はヴァーチャルのなかで生きるのか?―神はいつ問われるのか? / 森博嗣

          考えるという勇気―華氏451度 / レイ・ブラッドベリ―

          こんばんは。 青井あるこです。 レイ・ブラッドベリの「華氏451度」(伊藤典夫訳)を読みました。 以下、ネタバレを含みます。 本が禁制品となった未来で、書物を焼き尽くす「昇火士」として働く主人公ガイ・モンターグ。ある晩、風変わりな少女クラリスと出会ってから、彼の日常は変化していく。 モンターグにはミルドレッドという名の妻がいるが、どうやらうつ病のようで、無意識のうちに睡眠薬をオーバードーズしてしまうこともある。そして彼女はいつも耳にはめ込んだ巻貝(現代で言うところのイ

          考えるという勇気―華氏451度 / レイ・ブラッドベリ―