昨日と今日と、遥か未来

リルケの真の薔薇の棘にさされて、
白血病が急に回復、サナトリウムを脱出したあとの冒険
100歳までの大往生で、絶筆を残しこの世を去る
そういう人生

柳の木に登って落っこちたオフィーリアが
自身の災難もわからないまま、と見せかけ
ただ花と一緒に穏やかな川に浮いて、器用に眠っているだけ
そういう私

ああ、なんてひどい人なの

愛した女が昔寝床で私に言った
あの時となにも変わってやいない
いつの間にかもう大人にはなったが
私の心は
いつまでも無邪気な少年のように
自由な言葉で、詩を書いている

今日は雨に打たれながら空を見上げた
昨日の空は雲ひとつないブランクスカイ
明日は曇りのち晴れの予報です

私はいつも、今と昨日と明日ぐらいと、
遥か未来だけを見据えながら生きている
そこには一条の希望、この尨大な絶望の先に光があると
私はそれを知っているからだ

この宇宙の法則は知りえないが
私には友達がいて、無駄話を繰り返す
毎日必ず人は死に、人が人を殺す世界で
言葉を使って、些細な幸せを忘れないよう
パンデミックイヤーのこのなかでも
時間をなぞって、歌い、遊んでる 

そうだ、私は誰よりも自由だった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?