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詩集 #1

19
スーパーハッカーになれなかったわたし、インターネットには文字を残しておきます。デジタルで書き記す言葉のファイリング。(横書き)
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2020年4月の記事一覧

眠り

海の夢を見る 眠っているの、きみは? 眠り。 砕けちる波で、光の泡がまわる、 氷のように澄んで、音は無く、 ぼくらの目の中で。 目蓋の裏は赤色 耳たぶの穴は?

苦手科目

サイボーグはコーラを飲んで美味しいって思うのだろうか、 瓶の方がおいしいなっていつか気付くのだろうか レジスタンスが製造してる「ubik」って書かれた 不思議なスプレーを吹きかけたなら 死にかけの半生者も生きかえるらしいよ そもそもこの老人はどうして冷凍保存されているんだ 形態逆行なんだの言って、おれの知ったことじゃない 誰もユービックが神の偏在だとは気づかずに死んでいく サイエンスフィクションが好きなんだ、科学は苦手なんだけど サイボーグがコーラを飲んだ、数千年はあ

星に願いを

天使が頭上を遮った数秒間の沈黙のあいだ 僕はまた同じことを考えていた 悪魔が背中に纏わり付く数日間の孤独のなか 君もまた同じことを忘れていた 神様など存在しないのだから あの星に願いを込めて祈ろう その手が切り取られたら、 この花束を義手で渡そう いつも救済には形があった だいたいは波の形だった ほら、この円盤形のビニールも くるくるこれが回り始めたら そのふちにゆっくりと、 小さな針を落としてごらん その一瞬で景色が変わる。 うつむいてみても 仰向けになっ

一枚の写真

あなたは涼しそうな藍色の浴衣をはおり 紅いりんご飴を口のところへかざす 大勢の知らない顔が混じった中で、 私は一度立ち止まって、 そのほほえみを、カメラにとらえた。 その笑顔は何故かどんな感情より怖ろしく メスを躊躇なく突き刺すようにして 私の心の皮膚をひき裂いた。 この写真を見るといつも、その瞬間 過去は遥か現実を超え、 私は別世界へ、強制的にワープする! そこにはあなたがいて あの時のまんまの格好で 黒色の髪をなびかせ こっちを見て笑ってる。 他の誰で

夜、歪みの果て

歪み、果ての夜 あなたはシガーロス ぼくはブッチャーズ 逆さまの朝焼けを迎え撃つ ふたりは同じノイズを聴いた 4月終雪の街に生まれた魂は発熱していた あなたのこころ こころはずっと、 フランジングを繰り返し、テープを伸ばし、トレイルを辿った、そして5年後に少年がファズを踏んだ。その瞬間の引力で  空気が歪む スピードは変わる。 いまなら何処へでもいけそうだ 肩をたたく風のにおい 街に響くあなたの笑い þetta er ágætis byrjun! 最果てを

忘れてくこと

昨日の夢の君に会えないの どうしたら会えますか もっともっと眠ればいいですか?うすらうすら、だめじゃん 君は消えていく 昨日の夢の 声を忘れていく