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成年年齢の18歳引下げについて考えよう③

みなさまこんにちは。

早いもので3月も下旬、4月1日の民法改正と成年年齢の18歳引下げまで10日を切って参りました。

すでにこれまで、2回にわたって成年年齢引下げとそれにまつわる「契約」の基本をお伝えしてきました。

本日は、このシリーズの一区切り、として最強と思われし「未成年者取消権」のカードを切れないケースについて、私の消費生活相談員時代の事例をもとにひとつお伝えします。

シリーズ①のお話で、「契約取消ができるのは、親権者等の同意なく未成年者が単独で結んだ契約」とお伝えしました。
けれど、未成年者が「成年者だ」、「親権者等の同意を得ている」とみずから騙して結んだ契約は取り消せません。

この「騙す」という行為、対面では見た目で未成年者とバレてしまうから契約に至るのは難しいのですが、ネットで「親権者の同意あり」とチェックを入れるだけだと、簡単に契約できてしまいますよね。

さらに、親のクレジットカードを財布から拝借して、カード番号を入れてしまって高額な契約をしてしまっていた、という相談もよくありました。

この場合、相談者の方には未成年者契約の取消を販売者に文書で申し出てみるよう助言はしますが、「いやいや、未成年じゃないとチェックはいってるし。親の名前でカード番号入れているし。」と主張されると、正直グゥの音も出ないところではあります。

それでも、相談員には「あっせん」といって、法律ギチギチのところだけではない「お話合い」の仲裁をする役割もあるので、例えばサイトで年齢確認の手順が不十分であればその点を指摘して、未成年者取消しの申出をできる限り汲むようにお伝えします。

一方、親権者などには、カードは本来子ども達に使われないようしっかり管理すること(保管場所しかり、子供が使う端末のフィルタリングをかける、大人の端末はパスワードログインを設定して子供が使えないようにしておく、など)、そして普段から消費者トラブルを防ぐよう注意しておくことも必要であったことを考慮すると、まったくの負担なしは難しいことをご案内したりします。

その結果、双方が歩み寄れる提案が出れば、その合意に沿って解決へと結びつけます。
あくまでも相談員の立場は「中立」。
消費者の方の一方的な要求を交渉する代理人ではないです。

ここで記載した事例では販売会社だけとのあっせん交渉でしたが、ここと連絡が取れないときなどは、利用されたプラットフォーム(モールサイトなどのことですね)、カード会社、決済代行会社などにもあっせんを働きかけます。

これを今度は「クレジットカードを使ってプリペイド型電子マネーにチャージしてから購入」とか「携帯電話会社のキャリア決済」とか、もうプレーヤーがどんどん増えてきて、取引によって返金を求める方法も変わってきて・・・、と頭がパンクしそうになることもしばしばでした。

こんなふうに、相談員泣かせの複雑な電子取引はますます増えている昨今。
2022年4月1日のその日に成年年齢に達する18歳、19歳の人たちは、厚生労働省の人口動態調査の出生数からざっくり計算すると、220万人前後になりそうです。

その方たちが少しでも消費者トラブルを防げるよう、まずはトラブルを知ってもらう、そしてそれを防ぐ手立てを伝えることの重要性はますます高まっています。

成年年齢の18歳引下げに伴うお話は、これにて一区切りといたしますが、また折を見て新たなトラブル事例などをお伝えしていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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