1分小説『芸術』

「そう遠くない未来、あらゆる芸術の作り手は、人間から高度なAIに、なり変わっていることでしょう」
「そんなことがあり得るんでしょうか?確かに博士が冒頭で述べられたように、多くの労働を人工知能が担う世界になりつつあります。しかし芸術は労働とは違い人間のエモーショナルな部分によってなり立っているわけで、感情を持たない人工知能に観る者を感動させ得る作品を作り出すことが、果たして可能でしょうか?」
「感情は無くても、それを数値化し、分析し、理解することが出来れば可能だと私は考えています」
「納得出来ませんね。映画、音楽、文学、絵画、人工知能には既存の作品にはない先鋭的な物は作れないはずです。ステレオタイプで型にはまった芸術なんて、観たがる人間は居やしませんよ」
「人間ではないのかも」
「どういう意味です?」
「鑑賞者もAIかもしれません」


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