240128 コーヒー

学生時代カフェに憧れてドトールのバイトに応募したことがある 挽きたての豆の香り ゆっくりと流れる時間 大切な友達とのお喋りもひとりぼっちも包み込む空間 いまでこそ当時その光景を求めた場所が間違っていたとわかるが 歴史のない田舎のニュータウンに育ったわたしにとってはスタバとドトールとサンマルクがカフェとよばれるもののすべてだった

結局別の条件の良いアルバイトをはじめ ついにカフェはおろか飲食店で働くことのないまま大人になって就職をしたけれど あのころ憧れただれかのくつろぐ場所 つながる時間を作るということは ずっと頭の片隅に置いたままにしていた

由あって今日 コーヒースタンドのヘルプスタッフをした 狭いバックヤードで壁を向いて飲むまかないのコーヒーは いつも注文しているものと同じはずなのに ずっと意味のあるものに感じた まるではじめてコーヒーという液体を口に含んだ人間のようにそれを慎重に味わった 苦く 複雑な香りで ひどく暗い色をしていて この飲み物のために人々が集まるのはどうにも不思議なことに思えた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?