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アルサッドの現状

こんにちは。パルです。前回までは、アルサッドにどのように惹き付けられたかを書いていきましたが、今回はアルサッドの現時点でのチーム事情について書いていきたいと思います。

アルサッドの順位

まず、アルサッドの順位について書いていこうと思います。現時点でアルサッドは17試合10勝2分5敗の勝ち点32でカタールスターズリーグで3位に位置しています。アルサッドより順位が上のチームに関しては、17試合11勝5分1敗の勝ち点38で2位に位置しているアル・アラビと17試合13勝3分1敗の勝ち点42で1位に位置しているレフウィヤの2チームです。前シーズン優勝し、2連覇を目標としていたアルサッドとしては難しいシーズンになっていることは間違いありません。

では、何故アルサッドが難しいシーズンを過ごしているのか考えられる原因をいくつかあげていきたいと思います。

1.ACLでの敗退

アルサッドが難しいシーズンを過ごしている理由のひとつとして、ACLの準決勝での敗退は間違いなく関係していると思います。2018シーズンのACLでも準決勝でイランのペルセポリスに敗れて、ACLを制することが出来ませんでした。そして、雪辱を晴らす為の2019シーズンのACL。敗退の危機を何度も乗り越えて達成した準決勝だっただけに、今回は準決勝でも勝って優勝できるのではないかという様な雰囲気がアルサッドにありました。しかし、アル・ヒラルとの準決勝1st レグはホームのジャシム・ビン・ハマドスタジアムでの試合。幸先よくアル・ヒラルのゴミスのOGで先制。しかし、ゴミスに同点ゴールを許し、34分にはアブドゥルカリム・ハサンが退場。残り時間を10人で戦うことになったアルサッドは、アル・ヒラルの攻撃陣にその後3失点を喫し1-4での敗退。今まで敗退の危機を乗り越えてきたアルサッドだからこそ、今回も突破してくれるのではないかと。それが実現しかけたのが今思えばアルサッドの崩壊に繋がってしまったのだと思いますが…
アル・ヒラルとの2nd レグはアル・ヒラルが前半13分に先制弾を決め、アルサッドは4点が必要に。アルサッドは17分にアクラム・アフィフがゴールを沈め、 19分にはナム・テヒがゴール。これで、3-5で2点差。20分にはハサン・アル=ハイドゥースがゴールを決めて、4-5で1点差。しかし、25分にアル・ヒラルのゴミスにゴールを許して4-6とまたも2点差に。その後はアルサッドが攻めて、アル・ヒラルがカウンターなどの時間が続き、残すはAT4分。アルサッドは90+2分にブーアッラーム・フヒーがゴールを決めて5-6で1点差。ラストワンプレーでアルサッドのPA少し外からのFK。これを決めればAGの差で大逆転のチャンス。しかし、このFKは相手GKの手の中へ。アルサッドはまたも準決勝で姿を消しました。ひとつのゴールの差で敗れたアルサッドのその後は悲惨なものでした。
まるで今シーズン獲得できるタイトルはなくなってしまったかのような雰囲気が流れ、選手のコンディションが中々上がらず、勝ち点をポロポロと落とす試合が増えていきました。このACLでの敗退がチームから自信を奪い、スランプに陥っているという状況がまさに今のアルサッドです。


2.シャビによる戦術の大幅な変更

シャビといえば言わずと知れたバルセロナの選手でした。バルセロナのサッカーといえば、パスを繋いで崩していくサッカーを思い浮かべるのではないでしょうか。シャビが本格的にバルセロナのサッカーをアルサッドに取り入れたのが、ACLの敗退の直後だったのです。これがアルサッドの選手達に大きな混乱を招いてしまいました。
今までのアルサッドのサッカーは、ある程度は繋ぐけれど、それは崩す為のパスではなく、自分達のリズムに戻す為のパス。つまり、パスを繋いで崩すことはアルサッドにとって非効率的だったということです。アルサッドにはカウンターが最適であると言える程にカウンターで積み重ねた得点は多かった。更に今までであればパスを供給する役がシャビだったこともあり、精度の高いパスを供給することができた。しかし、シャビが監督になり、シャビ程の精度の高いパスを供給できる選手がいなくなってしまった。これが、アルサッドのサッカーをぎこちないものにしてしまったひとつの要因です。


3.セットプレーの弱さ

アルサッドの最近の失点の仕方はとにかくミスとセットプレーからの失点が多いことは問題視しなければなりません。
カタールリーグ15節のウム・サラルSC戦ではCKからの失点。ミドルシュートをアルサッドのGKであるサアド・アッ=シーブのセーブのこぼれ球を押し込まれての失点。2つめの失点の問題点は、こぼれ球に反応したアルサッドの選手がいなかったことでした。
カタールリーグ16節のアル・アラビ・ドーハ戦では、後半凌ぎきれば1-0で勝てる状況でのロングスローからPA内でのハンドをとられて失点。
カタールリーグ17節のアル・ラーヤンSC戦では、FKから相手にロングボールを蹴られて、おさめられてシュートを打たれて失点。
このように、試合は違えどセットプレーと集中力が欠けたことによる失点がとにかく多すぎることが分かります。セットプレーでのマークの確認などが出来ていないために同じ様な失点を重ねているのだとしたらトレーニングで対策がしっかり出来ていないことが伺えるので、コーチ陣によるトレーニングの見直しは必要なのかもしれません。


4.怪我人の多発

アルサッドの短期間での怪我人の人数の多さは異常なものだと私は感じます。これが1シーズン当たりでの怪我人の人数なら納得出来る人もいるでしょう。しかし、これが僅か2ヶ月の間で怪我をした人数と言われればどうでしょうか。さらに何れも重症の選手が多いということにも驚きを感じるのではないでしょうか。

ペドロ・ミゲル →肩の怪我 12週間離脱
タレク・サルマン →膝の怪我 3週間離脱
アリー・アサダッラー →アキレス腱断裂
サレム・アルハジリ →アキレス腱断裂
ハサン・アル=ハイドゥース→大腿部 3ヶ月離脱

これだけの怪我人が出るとチームで出場する選手も毎試合違ってきてしまうので、チームとして難しい面は出てくると思います。カタールリーグは芝のコンディションを保つのが難しいリーグである(これは数回後にブログにあげます。)ことは大きく関係していると思いますが、フィジカルコーチや医療スタッフのにも責任はあると思いますので、ここも改善は必要だと思いますね。


5.ストライカーの不調

アルサッドのゴールゲッターはバグダード・ブーンジャーです。彼の名前を知っているという人はかなり少ないと思いますが、アルジェリア代表にも選ばれており、2018シーズンには38試合で55ゴール決めた選手です。(https://www.soccerdigestweb.com/news/detail2/id=51937)
この様な絶対的ストライカーがチームにいることは非常に心強いと思いますが、やはり選手にも好調と不調の波というのは表れます。今季後半のバグダード・ブーンジャーは圧倒的に不調です。これは数字にも表れていますが、リーグ戦後半は6試合で未だ1ゴールです。彼に訪れるチャンスの数はほとんど変わっていないので、チャンスで決めきれない場面が非常に多いということが分かります。彼の調子が戻れば、チームの状態も上向きになると思います。


最後に

アルサッドが今季不調の理由を様々書いていきました。アルサッドが不調であるために、現地のアルサッドのサポーターからはシャビの監督としての腕を疑問視する声やガビにはキャプテンシーがなく、キャプテンとして相応しくないのではないかなどの不満の声が多く上がっています。しかし、この怪我人が多い状態で試合に若手を出場させて、成長させながらチームを成り立たせているシャビの手腕は非常に素晴らしいものです。ガビに関しても、走ることによってチームを大いに助けています。現地のアルサッドのサポーターの不満の声をなくすには結果で見返すしかありません。発展途上のクラブであるアルサッドを成長させるのは彼らのように様々なサッカーを良く知る選手、監督であるのかも知れません。


アルサッドだけでなく、カタールリーグ全試合を下に記載してあるサイトから見ることが出来るので、ぜひご覧ください。
http://www.alkass.net/alkass/default.aspx

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