映画 『閉鎖病棟』 (2019年11月公開)  レビュー★★★★


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「中」にいながら「外」にいる医療者には、決して見えていない世界が、ここには描かれている。僕らには「病気」以外の部分は何にも見えていないし、きっとこの映画に出てくる医者が実際にいたとしても、この映画をみても、まさか自分の患者さんのお話だなんて気づくこともないのかもしれない。


一人ひとりの人生を丁寧に描こうと思ったら、2時間の映画では到底収まりきらない。それまでどう生きてきたのか、病気を発症したことにどんな意味があるのか、そのことで人生がどうなってしまったのか、なぜそんなことをするに至ったのか、そこに至るまでの物語は、想像するしかないし、あるいは想像さえしないかもしれない。


しかし、「事情」を想像せず、ただ目の前に起こった「事実」だけをみせられれば、その現実は目を開いて直視できるものではないし、受け入れるのはすごく苦しい。


みていて苦しくなる映画だけれど、助け合い、そして自らの「事情」を背負いながらも、自分の力で立ち上がって生きていこうとするその姿をみせられると、自分も、相手に対して想いを馳せることをあきらめちゃいけないなって思う。


そして、「ここに居てもいい。」そう思える居場所が、たくさんある世の中になって欲しいと思う。

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