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2019年4月8日 桜の季節

 桜という植物はとても特別なものなんだろう。とくに日本人にとっては。そう思うのはこの季節に公園に集まる人があまりにも多いからである。いつも公園といえば特定の人物が集まるところだ。犬の散歩に来た人、朝の早い老人たち、ひるまはちいさな子どもを連れた保護者。それが、青い敷物の上に1世帯〜3世帯くらいの人間が座り食物を囲んでいる。年齢も様々で、大学生ぐらいの集団がいたり、働き盛りのおじさんなんかも、缶ビールを片手に天を仰いでいる。(私がたまたま通りがかった時、公園でお酒を飲み過ぎてしまったらしい人が絶叫していた。これもなかなか普段は見ない光景だ。)

 桜は綺麗だ。とくに散り際が幻想的だ。量が多いほど、白い花びらがひらひら舞い散る様子はこの世の風景とは思えないくらいに美しい。散り際がこれほどの規模で、全国どこででも楽しめる植物はそうない。桜だけが特別。なんで特別とか、どういう理由でたくさんあるとかは、知らない。たぶん安住アナの日曜天国とかでやってんじゃないかな。

 でも、私は桜が怖い。特別さゆえに。あまりにも強いし、儚い。前述したが”この世の風景とは思えない”から、恐ろしい。海とかクラッシックの曲みたいに、自分の領域を侵食してどんどん広げてしまうような怖さがある。ちょっとしたスリル体験をすることができる。コスパが良すぎるレジャー、それが花見。

 桜っていう植物は、綺麗で、大きくて、広がっていて、怖くて、散る時まで綺麗で、憧れの生き様っぽいところがある。だからみんな好きなのかな。あと、好きな人が多いから、誰かと一緒に観ると感動体験を共有しやすくて、ますます好きになるっていうのもあるんじゃないかな。そんなふうに考えた日でした。

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