国民民主党玉木雄一郎代表質問   (第210回臨時国会:衆議院本会議)

(『たまきチャンネル』より質問部分を文字起こし。質問を太字で表記、テーマごとにパラグラフを分けた。2022年10月6日)
【衆院代表質問】国は円安でウハウハ?経済対策、再エネ賦課金停止、子育て・学生支援、日本の安全保障は?…玉木雄一郎が質問! - YouTube

玉木雄一郎代表:
国民民主党は、選挙で約束した公約を実現するため、引き続き「対決より解決」の姿勢で「給料が上がる経済」の実現に、全力を注いでまいります。また、物価高に苦しむ国民の声を聴くため、参議院選挙直後から私自身が全国を回って既に34都道府県を訪問しました。また、YouTubeやツイッターでも、多くの切実な声が日々届いています。今日はその声を総理に直接ぶつけますので、官僚の原稿ではない、政治家としての言葉で熱のある答弁をお願いしたいと思います。

全国を訪問して一番多く聞いたのは、給料が上がらない、あるいは年金が下がる中で物価高に苦しむ声です。国の統計によれば、7月の実質賃金は四か月連続のマイナスで、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていません。最近だけではなく、二十五年間実質賃金が下がり続けているのは日本だけです。

総理、なぜ日本では賃金が上がらないのか、どうやって上げるつもりなのか、岸田内閣の基本認識と方針を改めて伺います。

国民民主党の経済政策は、まず、積極財政で需要不足を解消します。同時に、教育国債の発行で、子育て、教育、科学技術投資を倍増して、経済全体の生産性をあげます。そして、休職者ベーシックインカムなど、セーフティネットの充実で、円滑な労働移動を促します。
この三つの柱で、給料が上がる経済を実現して参ります。

総理に、日本経済の基本認識を伺います。
総需要である、国内総生産GDPと、潜在GDPの差である、

いわゆる「需給ギャップ」の最新の数字はいくらですか

お答えください。

私たち国民民主党は、どの党よりも早く、先月13日に、23兆円の緊急経済対策を取りまとめました。少なくとも15兆円程度の需要不足があるとの前提に立ち、積極財政による経済対策を訴えています。政府は先月住民税非課税世帯の5万円給付を決定しましたが、住民税非課税世帯の約8割は高齢者です。物価高に苦しんでいるのは高齢者だけではありません。民間調査会社の試算によれば、物価高による家計負担は、昨年に比べて9万8千円増加しております。総理、需要不足という認識があるなら、私たち国民民主党が緊急経済対策に盛り込んだ、

国民一人当たり現金10万円を一律給付するインフレ手当こそ、今必要な経済対策ではありませんか。

緊急経済対策の財源についても提案があります。政府は為替相場への介入原資として、外国為替資金特別会計、いわゆる「外為特会」に約1.3兆ドル、日本円にして約180兆円の資産を保有しており、そのほとんどがドル建ての米国債です。今記録的な円安なので、円建ての含み益が相当出ているはずです。機械的に計算しても約37兆円あります。

総理、外為特会の円建て含み益は本年1月に比べていくら出ていますか

円安で苦しんでいる個人や事業者がいる一方で、国の特別会計は円安でウハウハです。

総理、円安メリットを生かすなら緊急経済対策の財源として外為特会の円建ての含み益を当ててみてはどうですか。

電気代の上昇が止まりません。家庭用の電気代は昨年に比べて2割以上アップ、震災前に比べると、5割近くアップしています。実はこの値上げ分の三分の一が電気代に上乗せされている、再生可能エネルギー発電促進賦課金、いわゆる「再エネ賦課金」によるものです。国民民主党は、先の参議院選挙の公約として、公党の中で唯一、再エネ賦課金の徴収停止による電気代値下げを打ち出しました。これで一般的な家庭で12%、産業用で17%電気代を下げることができます。総理が指示された、前例のない思い切った対策として、国民民主党の提案する、

再エネ賦課金の一時徴収停止による電気代値下げを採用してはどうでしょうか。

我々は実現に必要な再エネ特措法改正案も提出するので合わせて与党としてもご協力頂きたいと思います。

電力自由化によって参入した新電力の撤退によって、電力会社との契約ができない、電力難民が続出しました。円安メリットを生かした産業の国内回帰にも大きな障害となっています。総理、これまで進めてきた電力自由化で、本当に電気代が安くなったのかなど、

十分に検証したうえで電力の安定供給の観点から必要な見直しを行う時ではないでしょうか。

お答えください。

原子力発電の活用について伺います。総理は所信表明演説で次世代革新炉の開発建設について、専門家による議論の加速を指示したと述べましたが、いくら検討を指示しても、そもそも作るかどうかを決めなければ、電力事業者が投資に踏み切ることはありません。

総理、岸田内閣として原発の建て替え、リプレース行うのかどうか

今ここで、明言をしてください。

総理の所信でも、グリーントランスフォーメーション、GXを重点投資分野と位置付けていましたが、電気自動車など、新車購入を補助する、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金いわゆる「CEV補助金」が軽のEVなどが人気で、今月末には予算がなくなる見込みです。総理、せっかくこの「CEV補助金」が人気なのですから、補助金の空白期間を作るべきではありません。

追加予算を補正予算で積み増して、自動車分野のGX化を加速すべきではありませんか。

次に安全保障について伺います。
政府は安全保障政策の根幹である、国家安全保障戦略など三つの文書を年末までに改定するとのことですが、我々国民民主党も台湾海峡問題や中国北朝鮮のミサイル開発に対応できる、骨太の安全保障政策を年内にもまとめ、総理にも提言する予定です。そこで、総理に伺います。

わが国の継戦能力、有事の際に組織的な戦いを継続できる能力は、どの程度、わが国にはありますか。

また、防衛省による調査で全装備品のうち、足元で稼働するのは5割余りしかなく、稼働していない5割弱の半分が整備中、残りは修理に必要な部品や予算がない、整備待ちという報道もあります。

これは事実でしょうか。

機密にかかわることですが、
可能な範囲で現状を明らかにし、必要な防衛費の増額について、国民の理解を得るべきではないでしょうか。

また、わが国の防衛を考える上で避けて通れないのが、中距離弾道ミサイルです。ミサイル防衛システムが無力化される可能性のある、極超音速の中距離弾道ミサイルの開発と配備が周辺国で進んでいます。中距離弾道ミサイルに対する自衛隊施設の抗堪性、すなわち、敵の攻撃に耐えて、機能を維持する能力を高めるために、

自衛隊の重要施設の地下化や航空機のシェルター整備などを進める必要があると考えますが、総理の認識を伺います。

また、個人宅など、民間にもシェルター設置を促す考えがあるのか、もあわせて伺います。

先月、他を圧倒する子育て政策で人口の増加、税収増加を実現している兵庫県明石市の泉市房穂市長を訪ね、お話を伺ってきました。泉市長は国の所得制限が、少子化対策ではなくて、少子化加速策になっていると批判をされていました。政府は今月から一定の所得以上の家庭の児童手当の特例給付を廃止しました。国民民主党は、泉市長と同じく、子育て支援策には所得制限を設けず、一律に支援すべきとの考えからこの臨時国会の初日に所得制限撤廃法案を提出しました。総理に伺います。

「子育て政策の所得制限によって、中間層の子育て世帯が取り残され、かえって少子化を加速している」との泉市長の指摘に対する総理の見解を伺います。

全国を周っていますと、驚くほど多くの学生や大学院生が、我々国民民主党の集会や街頭演説会に来てくれます。そのときによく出る質問が、

「岸田総理は外国人留学生の受け入れ支援を拡大するようですが、それなら日本人の学生をもっと助けて欲しい」という切実な声です。この問いに、総理はどう答えますか。

また、給付型奨学金の要件緩和を検討しているようですが、3人以上の子供がいる多子世帯や、理系だけに限定しようとしています。ここは、ケチケチせずに、

保護者の年収など給付型奨学金の要件を幅広く緩和すべきです。

財源は国民民主党が提案する教育国債を発行すれば解決します。あわせて総理に伺います。

もう一つ全国を周って、パート・アルバイトの皆さんからよく聞く声は、いわゆる「年収の壁」です。働く時間を調整しないと、社会保険料や所得税を徴収される年収103万円、106万円、130万円などの壁に達して、世帯全体の所得が減少する逆転現象が起きてしまう問題です。去年・今年と最低賃金があがっていることはいいことなんですが、そのことで、年収の壁に早く達してしまいます。店長さんや経営者の方も年末にかけての忙しい時期に人手の確保ができなくなると困っています。当面は最低賃金のアップに連動して、

この年収の壁の上限を引き上げるような見直しをしたうえで、やはり抜本的な制度改正が必要だと考えますが、総理の考えを伺います。

最後に旧統一教会について伺います。
まず、国会に調査特別委員会を設置し、物価高騰対策など、

本来の政策議論と同時並行でできる枠組みを作ることを議場内の与野党の同僚議員に提案したい

と思います。
また、昨日の総理答弁では、現行法である、宗教法人法81条に基づく解散命令について、判例を踏まえて慎重に判断するとのことでした。しかし、その判断材料をそもそも政府行政庁は持っているのでしょうか。総理、少なくとも、

宗教法人法78条の2に基づく報告を旧統一教会に対して求めたり、質問することはしないのでしょうか。現行法適用に関する総理の見解を明確にお示しください。

法に基づく報告徴求に慎重だとすれば、現行法はザル法だということになります。仮に今後法改正をしたとしても、運用がザルでは意味がありません。

先日大分県別府市の太陽の家(※)を視察しました。故中村 裕氏が“No Charity , but a Chance!”「保護より機会」を理念に設立した社会福祉法人でオムロンを始めとした民間企業と共同出資会社を次々と設立し、障碍者の就労機会を飛躍的に拡大してきました。ぜひ岸田総理にも、視察して頂きたいと思います。
※ 故 中村博士について | 社会福祉法人 太陽の家 (taiyonoie.or.jp)

私はそこに、理想の障碍者雇用の姿を見るとともに、人を中心においた資本主義の姿を見ることができました。総理のいう、新しい資本主義は、若干迷走しているように思います。私は一人ひとりを尊重し、大切にする経済こそ新しい資本主義だと確信しました。金融資本、つまりお金も大切ですが、資本主義を構成するもう一つの要素、人的資本すなわち、人を大切にする政策を徹底することこそが、日本再生の鍵だと考えます。だからこそ、私たち国民民主党は「人づくりこそ国づくり」これを理念に掲げております。

改めて、人への投資の倍増による日本再生に本気で取り組むことを総理に強く求めて、質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。

(おわり)

※     玉木代表の質問に対する総理の回答は、今後別稿であげる予定です。

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