衆議院予算委員会、萩生田光一委員質疑 (2022年10月17日午前9:00~9:50)

衆議院インターネット審議中継アーカイブより文字起こしをしたので下記の通り記録します。一部聞き取りにくい単語や言い間違い部分について、文脈から推測変換しております。
衆議院インターネット審議中継 (shugiintv.go.jp)

萩生田光一政調会長(以下萩生田委員):
おはようございます。自由民主党政調会長の萩生田光一です。三年八か月ぶり、予算委員会での質疑に立たせて頂くことになりました。しばらく、そちらの閣僚席に問いただされる側で座っておりましたので、なんとなく、受け身が身についてしまったのですが、今日は気持ちを入れ替えて、しっかり問いただして、まいりたいという風に思います。
また閣僚時代は出来るだけ総理の負担を軽減しよう、ってことで答弁をサポートしてまいりましたが、立場がかわりましたので、総理にしっかりお答え頂くべく質問して参りたいとおもいます。
コロナ禍を経験しロシアのウクライナの侵略を目の当たりにして、それまでのあいだ我々の日本という国は「大抵のことは自分たちができる」というふうに自負をしておりました。人、物、脆弱性というものが露呈されたと思っています。私は総理の掲げる「新しい資本主義」というのはまさに、必要な人をしっかり国として育てて行く、必要なものは、大切なものはしっかりと国が作って行く、こういった姿勢を示すことにあるんだろうと思っていまして、そういう視点からわが国の基本的な政策課題、国家のありようについて、しっかりと議論して参りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
ただ、冒頭やはり自民党として、旧統一教会との関係について、国民の皆様に深くお詫びをし、反省をしなくてはならないと思っております。党として調査を行った結果は、既に公表しておりますが、私自身も地元の世界女性平和連合の方々とのご縁があり、これが旧統一教会の関連団体ということでした。旧統一教会について、この20年近く、マスコミでもあまり取り上げられることもありませんでしたが、実際には今なお、高額献金や霊感商法の返済が続いている方々がいらっしゃる。そうしたなかで私も含め、自民党議員の関与が結果として教団の信用を高めることに寄与してしまったのではないか、こうしたご指摘を私たちは真摯に受け止め、猛省をしなくてはならないと思っています。「信なくばたたず」であります。国民の皆さんからこれまでになく、強い不信の目が政治に向けられている今、この現状を深刻に受け止め、そして、今後、わが党は、関連団体を含め関係を断つことを党のガバナンスコードで決めさせていただきました。未だ、被害に苦しんでいる被害者の皆様の救済に向けて、党の消費者問題調査会をはじめ、党としてもできる限りを尽くして、政府と連携をしながら、問題解決に頑張ってまいりたい、そのことを改めてお誓い申し上げたいと思います。

さて、安倍元総理が演説中に襲撃され、お亡くなりになって、あの日から百日が過ぎました。このわずか百日の間にも、中国がわが国のEEZに5発ものミサイルを撃ち込みました。北朝鮮のミサイル発射が相次ぎ、先般は、わが国の領域を飛び越えるという暴挙もございました。長年、政治行動を共にしてきたものとして、率直に申し上げ、安倍総理がご存命ならどうされていただろうか、と思わない日はありません。先月の国葬儀について、さまざまなご意見があったことについては、今後の国会における議論などに生かしていかなければならないと思っております。他方、200を超える国や地域、国際機関から700名を超える外国の弔問客が今回参列されました。そして岸田総理や菅元総理の弔辞など、本当に心のこもった式典だったと思います。G7の首脳がこないということを批判される方がおりましてけど、私は総理、G7の皆さんとはマルチの会議、いろんな機会にお会いすることができます。それよりも、東南アジアや、日頃なかなか接点のなかった島国など、そういった人たちと直接この日本でお話ができたことは、岸田外交の大きな成果だと、私は評価したいと思います。
式典の途中で、安倍元総理のお元気なころの映像がながれましたけれども、最後のほうで「悲観して立ち止まるのではなく、可能性を信じて前を向いて進むべきだ」こんな発言がありました。ハッと目の覚める思いが致しました。国内の経済情勢、国際的な安全保障環境がめまぐるしく変化する時代にあって、国民の命と暮らしを守るべき大きな責任を持つ私たち自由民主党は、立ち止まる暇はございません。安倍元総理の国政にかけた強い思い、こういったものを我々しっかり継承しながらこの国の将来に責任のある行動をとってまいりたいと思っています。

そこでまず、なによりも安全保障の問題をとりあげなくてはなりません。米国は先週バイデン政権の国家安全保障戦略を発表し、もっとも差し迫った課題は、権威主義的な大国による国際平和と安定に対する挑戦だと明記しました。ロシアのウクライナ侵略によって、世界の安全保障環境が一変しました。そしてこれは決して対岸の火事ではありません。アジアにおいても、台湾海峡の緊張が高まる中、先ほど申し上げたようにEEZに5発のミサイルが撃ち込まれ、極めて危険な挑発行為であります。「台湾有事は日本有事である」安倍元総理はおっしゃいましたが、中国自らがこのことを証明したことにもなると思います。北朝鮮はかつてない頻度でミサイル発射を繰り返し、先日は我が国の領域を飛び越えるミサイル発射という暴挙を行うなど、その挑発行為はまさにエスカレートしています。こうした行為にただ抗議を繰り返すだけでは、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことはできません。必要なものは、言葉でなく、抑止力であります。撃つなら撃つぞという能力を明確に示すことで、わが国へのミサイル攻撃を抑止する、これこそがわが国の平和を守り、国民の命と暮らしを守る道である、そう確信しております。わが党は既に、反撃能力の保有について、提言を行っておりますが、近年の安全保障環境の激変も踏まえ、もはや一刻の猶予もない、そう考えております。反撃能力の保有に向けた、岸田総理の決意をまずお伺いしたいと思います。

岸田総理:
まずあの、北朝鮮による一連の弾道ミサイルの発射、これはわが国、地域、そして国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認することはできません。わが国として、こうした発射を踏まえて、国連安保理決議違反、日朝平壌宣言違反、こうした観点から強く抗議をし、非難をする、これは当然のことでありますが、あわせて、この日米、あるいは日米韓での共同訓練を行うなど、こうした強い意思と連携、こうしたものを示しているところですが、あわせて、委員ご指摘のように、わが国自身の防衛力の強化これも大きな課題として真正面から取り組んでいかなければなりません。自民党のほうから、今ご発言の中にもありましたように、わが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有しこれらの攻撃を抑止対処する旨、提言も頂いているところです。政府としては、いわゆるこの反撃能力を含め国民の命、そして暮らしを守るために何が必要なのか、あらゆる選択肢を排除せず、そして現実的に検討を今、加速をしているところです。今後、与党間の協議も進められると承知しておりますが、こうした議論もふまえながら、年末までに結論を出し、国民の安心安全につなげて行きたいと考えております。

萩生田委員:
現在の厳しい安全保障環境を踏まえ、自民党は先般の参議院選挙で、NATO諸国と同様のGDP比2%以上を念頭に5年以内に防衛力の抜本的強化を進めると、国民の皆様に公約をしました。約束したことは必ず実行しなくてはなりません。国民の命と平和な暮らしを守る、そして領土領海領空は断固として守りぬく、これは政治の重い責任であります。

そして先月、岸田総理のイニシアチブで官邸に「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が設置されたことは、こうした政治の強い意思を示すもので歓迎をしたいと思います。しかしながら報道ベースで見ますと、「どういった防衛力が必要なのか」という中身の議論よりも「財源をどうするか」といった議論ばかりが目立っているような印象を私は受けました。さらに政府提出資料には、NATO基準でいけば、防衛省以外の研究開発費も入る、あるいは港湾の整備費、海上保安庁の予算も含まれるとか、更には年金もカウントできる、どうすれば見た目の金額を増やすことができるのか、そんなことばかり考えているようにすら見えてしまいます。私は総理、水増しではだめだと思います。水増しでは国民の生命財産を守ることはできません。日本はウクライナを侵略したロシアと隣り合わせの国です。北朝鮮は核ミサイルを開発し続けています。中国はこの30年で軍事費を40倍に増やしました。国民の命と平和な暮らしを守るため、どういう防衛力が必要か、私は「真面目に積み上げたらむしろGDP比2%では足りないのではないか」ということをかねてから申し上げてきました。財源論ももちろん必要でありますが、真に必要な防衛力について検討をする、政治の意思でGDP比2%に向けて、予算を真水で増額し、必要な防衛力を整備して行くことについて、総理の覚悟をお伺いしたいと思います。

岸田総理:
まずわが国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中にあって、わが国の対処力、そして抑止力、これを強化することは最優先の課題であると認識しております。そして、自民党からは既に「5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す」、こうした提言も頂いており与党間の協議これから進んで行くと承知しております。

そしてご指摘があった、この先般開始した「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」ここでも議論が進められています。こうした議論も踏まえつつ、防衛力の五年以内の抜本的強化、これを進めていかなければならないわけですが、内容において、委員の方から「水増しになってはならない」こういったご指摘がありました。内容においても、今日本の国の国民や命を守るために、何が必要なのか、防衛上の装備の必要性、これはもちろん言うまでもないわけですが、今、わが国の国民の命や暮らしを総合的に守るためには、装備のみならず、経済ですとか技術ですとか海上保安能力ですとか、こうしたあらゆる能力が求められる、こういった総合的なこの防衛力というものを考え、今の日本の現状において、国民の命と暮らしを守るために何が必要なのか、こういった観点から内容の議論を進めていると承知をしております。そしてその内容に見合うだけの予算はどれだけ必要なのか、そしてその予算の裏付けとしての財源をどこに求めるべきなのか、こうした内要、予算、そして財源、この三つを、一体的に議論をしていく、これが今の議論の大きな方向性であると承知をしております。そうした議論を予算編成過程にむけて、一体かつ強力に進めていきたいと考えております。

萩生田委員:
必要なものはしっかり用意していく、そして、どういう優先順位で、ですね、それを備えていくか、こういったことをトータルでしっかり考えていかなければいけないと思っています。あの、わたし、海上保安庁の予算を入れることそのものを直ちに反対というつもりはないんです。最前線で活躍している海保の皆さん、一番最初に遭遇するわけです。しかしあの、水道ホースで、ですね、軍艦とやりあうというのはとてもじゃないけど無理です。海上保安法25条の改正、これも考えなくちゃいけないと思っています。その上で、海保と自衛隊は武力攻撃事態における相互連携の共同訓練を行ったことは何回あるのでしょうか。また、武力攻撃事態において、防衛大臣は海上保安庁を統制することができる、となっておりますが、統制の訓練を行ったことはあるのでしょうか。そもそも統制の要領というのは定まっているのでしょうか。防衛大臣にお尋ねしたい。

浜田靖一防衛大臣(以下浜田大臣):
海上自衛隊と海上保安庁との間での共同訓練についてはこれまで、海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練を積み重ねてきており、これを各種事態の対処に応用しうるものとして、考えてまいりましたが、ご指摘のような武力攻撃事態を想定した共同訓練については、実施したことはありません。また、武力攻撃事態において、海上保安庁を防衛大臣の統制下に置く場合の、防衛大臣による統制の要領については具体的には確立されておりません。そのような訓練も実施はしておりません。以上です。

萩生田委員:
あの、その通りなんですね。すなわち、防衛予算にカウントするということであれば、こういう能力をしっかり高めていくことが必要だということは、改めてここで申し上げておきたいと思います。いずれも早急に行うことでありまして、これらを行う旨を防衛三文書に明記すべきだと、私は思っております。

また、防衛予算は長い間抑制されてきたので、自衛隊施設の老朽化の著しい点、これ前回の予算委員会で、小野寺委員から指摘をされました。自衛隊施設のうち、現在の耐震基準を満たしていない建物が四割以上ある。自衛隊の皆さんは大規模災害のときには即応して人命救助にあたるわけですが、いまのままでは人命を助けるべき自衛隊がまず被災してしまう、そんな心配があります。これは五年以内と言わず、直ちに手当をするべきです。
また、ロシアによるウクライナ侵略が始まって八か月が経とうとしておりますが、この間ウクライナ軍は粘り強い戦いを続けております。翻ってわが国の自衛隊はどうか。予算をGDPの1%に抑えてきた結果、表に出ない、弾薬の保有量は著しく少なくなっていると言わざるを得ません。わが国が、相手が侵略を断念するまで、侵略を排除し続けるだけの継戦能力をしっかりもつことが今求められております。
総理は自衛隊の最高指揮官です。仮に日本が侵略を受けた場合、ウクライナと同じような八か月間の戦いができるのか、ということを国民に不安を与えてはならないと思います。この機会にしっかり設備も、また陣立ても、あるいは駐屯地のさまざまな環境整備も含めて私はやるべきことはたくさんあると思いますので、改めて力を注いでいただくことを強くお願いをしたいと思います。

そしてその上で、防衛費を充実していくときに、それがただ海外に流れるだけでは意味がありません。わが国の安全を中長期的に守っていくためにはそれがしっかりと国内の防衛産業の基盤強化につながることが重要だと思っています。しかしこれまで防衛装備の調達につきましては、長年、財政規律の名目の元で、十分な費用が支払われてこなかった結果、近年様々な企業が防衛産業から撤退を始めている現実があります。これ、私、経産大臣時代に現場のですね、中規模、中小企業の皆さんの声を聴いて、何とかとどまってほしいということでお願いをしてきました。「おじいさんの時代からずっと防衛省に品物を収めているんで、そしてこの仕事は続けたい、自分たちの国の守りの一翼を担っている。プライドがある。」そう言ってくれるんですが、現場は非常に厳しいです。現在の防衛調達ではかかった原価に対して、営業利益率が最大でも7%、国が中小企業の価格転嫁の旗を振っている中で、十分に価格転嫁しないことは、下請けいじめでもあります。更に実際には財政当局・整備当局から査定をされ、5%にも満たない利益率になり、企業からすれば先も見えない稼げない事業として、撤退をせざるを得なくなっています。例えば安定的に受注をもらえるからといって長く契約をしている企業はあるんですけれど、残念ながら先ほど申し上げたように駐屯地のほうの劣化が激しくて、例えば「倉庫が雨漏りするから倉庫に入れられないんで、そちらで納品時期を調整してくれ」といって企業側がですね、倉庫を借りて、そして本来だったら契約が終わったらいっぺんに納めればいいものを、「四半期に分けて納めてる」って実態もあります。防衛省に聞いたら、「家賃の一部は払っている」っていうんですけど、「一部」は入札に入っていないですからね。これ、“請負負け”になってしまうんです。こういう実態考えたら、駐屯地の整備をして、そしてきちんと納品をして、いつでも使える環境を整えることが私は急務だと思ってまして、調達契約の利益率の大幅改善など、国内防衛産業への抜本的な支援策をとるべきだと思います。

装備移転を積極的に進めていくことも有志国の安全保障上の利益になるだけでなく、国内防衛産業の基盤強化につながります。装備移転は安全保障上の防衛政策の一環として、制服組が国の前面に立つのが世界の常識です。私も、大臣時代、会議の途中にですね、いろいろな国から「バイ(:bilateral)の会談」を求められて、そしてある国、これはイスラエルだったんですけど、「ドローンを紹介したいんで話を聞いてくれ」と言われました。その場に行きましたら閣僚と制服の軍人が説明してくれるんです。作ったメーカーの人はいないんですね。で日本は全く逆でありまして、日本の製品はメーカーが説明するんですけれど、技術が良いことは世界が評価しているんですが、「じゃあこれ、どういう訓練したら能力が高まるんだ?」とか「どのくらいの頻度でどういう風に使ったらいいんだ」って聞かれても、これ作った側が説明できないんですね。ですからそれを考えたら世界の標準に合わせて、例えば米国はFMS制度というのを作っておりまして、国が装備を買い取って、作戦指揮の運用と装備をセットで世界に展開してます。わが国でも国が前面に立って、有志国との安全保障に資する観点から装備移転を進める、「日本版FMS制度」、こんなものも考えて頂けたらいかがかなと思っています。国内防衛産業基盤強化の観点から調達契約の利益率の改善、「日本版FMS」創設などの取り組みについて防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

浜田大臣:
国内防衛産業はわが国防衛力そのものであり、その基盤強化が急務ですが、近年、防衛事業から撤退する企業が相次いでおります。防衛省は企業より防衛事業の収益性、成長性が低いといった声を頂いており、防衛産業は厳しい現状にあると認識をしております。このため、防衛省では、党から頂いた提言も踏まえ、国内の防衛生産の技術基盤の維持強化のための抜本的な対策を検討しております。かかる施策を含め、防衛装備品の海外移転推進を含む防衛生産技術基盤のあり方については「新たな国家安全保障戦略等の策定のための議論」等において、関係省庁とともに抜本的な対策を検討して参りたいとこのように思っている次第であります。

萩生田委員:
軍事技術は近年加速度的に進化を遂げてます。極超音速ミサイルやドローンなど兵器の進歩だけでなく、サイバー・宇宙・電磁波などの革新的な技術を発展させることで戦争の在り方そのものが大きく変わっています。新しい技術が求められる時代にあって、中国は国家戦略として軍民融合を進め、民間の技術や資源を軍事に積極的に取り込んでいます。米国においても2015年からDIU、“Defense Innovation Unit”を創設し、シリコンバレーやボストンにオフィスを作って、民間のスタートアップ企業の先端技術の取り込みを積極的に行っております。こうしたデュアル・ユース技術こそが今やイノベーションの源泉だと思います。目まぐるしいスピードで進む軍事分野でのイノベーションにわが国も追いつて行くためにももはや防衛省・自衛隊内部の研究だけでは限界です。外部から民間の技術、とりわけ、イノベーションの源泉であるスタートアップから技術をどんどん取り込んでいく、という発想の転換が求められていると考えます。今後五年間の防衛力抜本強化においては、イノベーションをこれまで以上に加速して行くため、予算上も一定の数値目標をおき、また、経産省など関係省庁も巻き込む仕組みも整えたうえで、デュアル・ユース、すなわち民間技術の取り込みを拡大して行くべきであると考えますが、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

浜田大臣:
お答え致します。AIや量子技術といった、急速に進展する民生の先端技術は、将来の戦闘様相を一変させ得ると考えられております。こうしたなか、委員がご指摘の通り、防衛省独自の投資拡充に加え、政府が推進する研究開発事業の成果を防衛分野で真に意味のあるかたちで活用して行くことも重要であります。平素から、科学技術にかかわる関係省庁との連携に努めているところでありますけども、わが国の技術力を結集し、すぐれた防衛上の機能を実現するためにはこうした関係府省との連携を一層強化すべきと考えております。現在、科学技術予算による研究開発プロジェクトへの参画等、その連携のあり方について、関係府省と議論をしているところであります。防衛省としても、しっかりと検討し、真に防衛の役に立つ仕組みが構築できるよう、積極的に取り組んでまいります。

萩生田委員:
大臣よろしくお願いします。私久しぶりに党に戻ってきて防衛省の皆さんといろんな意見交換するなかで、ですね、なんか長年沁みついた、こう萎縮したですね、その体質があって、「なんで?」って聞き直すことが本当沢山あります。いままさに国民の生命財産、平和な暮らしを守るためにはですね、前面に立ってもらわなければいけないと思っていますので、あの私はこのデュアル・ユースなどは堂々と研究機関としっかり連携しながら、そして軍事に転用することを国民の皆さんに明らかにしながらですね、前に進むべきだと思っていますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

防衛力の抜本的評価の重要な構成要素として、自衛隊員の処遇改善や施設の改善などについても目を向ける必要があります。自衛隊員は服務の宣誓を行い、厳しい任務に就いています。高価な装備品もそれ自体で防衛力たり得るのではなくて、それらを使いこなしているからこそ有効な防衛力になるわけです。自衛隊員に十分な能力を発揮してもらうために、その処遇改善は、私は不可欠だと思っています。施設の強靭化についても同様でありまして、自衛隊施設の多くが老朽化し、自然災害にも脆弱で、何より相手の攻撃に対する防護性も低いと聞きます。これでは「戦わずして負けてしまう」と思います。防衛力強化は、装備品の議論に目が向きがちでありますが、こうした自衛隊員の処遇改善や自衛隊施設の強靭化といった側面についても抜本的な強化を行うべきと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。

岸田総理:
先ほど来、委員の議論を聞かして頂きまして、おっしゃるようにわが国の防衛力強化するにあたって、装備品の充実、もちろんこれは大事なことではありますが、それとあわせて考えなければならない点が沢山あるということを強く感じて聞いておりました。冒頭あった継戦能力の維持、これは大変重要な点であります。また、防衛施設、についてご指摘がありました。この、わが国が継戦能力を維持するために、防衛施設の抗堪性(※推測、「キョウタンセイ」と聞こえる)を強化する、こういった視点、誠に重要なことでありますし、また、世界の防衛力、を考えます時に、各国が急速に進化するその技術のなかにあって、防衛力について考えて行く、こうしたことを考えますときに、わが国においてデュアル・ユースをはじめとする科学技術との関係、有り様、これについても重要性を改めて感じています。そして、今、処遇改善の話がありました。やはり、日本がこれから未来を考えるにあたって、基本となるのは人であり、人への投資こそ未来を切り開いて行く大きな課題であると認識しております。防衛力においても人への投資という観点から、処遇改善等を中心にしっかり考えていかなければならない、こうした点を改めて感じるところであります。

萩生田委員:
ありがとうございます。戦後わが国は自国の防衛力を抑制的に小さく見せてきましたが、現在のような安全保障環境においては、防衛力を大きく見せて抑止力を高めることが最も重要であると、まさに発想の転換をすべきだと思います。総理私おととい、下関に、安倍元総理の県民葬に参列してきました。時間がありましたので、赤間神宮を参拝し、となりの日清講和条約の記念館(:日清講和記念館 SHIMOHAKU Web Site)を久しぶりに訪れたんです。で改めて感じたんですけど、日本という国は「おもてなしの国」なんで普通はいくら戦争状態にあっても相手の方を上座に座らせるという文化が当時もあったそうですけれど、あの時はですね、まさに海峡を背中にして伊藤博文は李鴻章を山側に座らせた。それはなぜかと言ったら「交渉の間、窓の外に、海峡に軍艦を並べてですね、そして、それが日本の意思であることを清国に伝えたという、そんなお話を聞いて、改めて、目が醒める思いがしました。
今までは、防衛力の中核となる自衛隊の能力を抜本的に強化をして行くこと、これは当然必要でありますけども、わが国に進攻しようとしてもそれは困難であると思わせる力を持ち、それを目に見える形で国内外に示すことが重要であるという点を改めて強調させて頂きたいと思います。今回の防衛力の抜本的強化や防衛費増額の議論においては、こうした観点を第一に進めてまいりたいと思いますので、政府の方でもよろしくお願いしたいと思います。

次に、安全保障とともに「国家百年の大計」は教育です。「人づくりこそ国づくり」であります。まず子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。その強い信念のもと、我々は幼児教育や高等教育の無償化を進めてまいりました。同時に、一人一人の子供たちへの教育の質も高めなくてはなりません。「人への投資」を総理は政権の一丁目一番地に掲げていますが、その投資にあたって、教育の機会の確保と共に教育の質の向上はまさに車の両輪であると考えております。教育の成果を左右するのは、教師の皆さんです。先生が長時間勤務で疲れ果てているようでは、子供たちの教育に全力投球できません。元気のない先生の背中を見て学ぶ子供たちが、新しい日本の未来を切り開く人材に育つでしょうか。更に、そうした職務環境だと知って、教師の世界に次世代の有意な人材が飛び込んでくれるんでしょうか。今まで、「長時間労働の規制や処遇改善が、ひいては働く皆さんの創造性・生産性を高め、経済成長につながる」、こうした考えのもとに働き方改革を進めてまいりました。私は教育の質を向上させるためにも、教師の皆さんについて働き方改革、処遇の改善が欠かせないと考えます。人への投資にあたってはまず、この国の将来を支える1,300万人の子供たちのために、「人を育てる教師への投資」が極めて重要だと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

岸田総理:
「新しい資本主義」の柱の一つである、「人への投資」。これは社会全体が急激に変化するなかにあって、これは喫緊の課題であると認識をしています。そして、「創意や工夫、また新しいアイデアを生みだすのは人であり、わが国の社会と個人の未来、これは教育にかかっている」、委員のご指摘は、大変重要であると認識しております。そして、特にこの子供たちの指導にあたる教師、これは学校教育の充実発展に欠かせない存在であり、大変重要であるという認識を持っております。確か委員が文部科学大臣をお勤めの際に公立小学校について、あれは四十年ぶりに学級人数の改正を行い、35人学級を実現したと記憶しております。現在、文部科学省において、勤務実態調査、これを実施しており、今後その結果を踏まえて、処遇見直しを通じた、教職員の質の向上に取り組んでいきたいと考えております。こうした具体的な取り組みを積み重ねることによって、教師の方々の様々な環境整備、引き続き続けていかなければならない、このように考えております。

萩生田委員:
岸田総理から教育の重要性、そして教師の重要性の認識について力強いお言葉がございました。しかしこのような教師の重要性にもかかわらず、「学校はブラックな職場である」との指摘があるのも事実です。
文科省による平成28年の教員勤務実態調査の推計で、平均して小学校で月約59時間、中学校で月約81時間の時間外勤務が発生しており、このような教師の長時間勤務の実態は看過できるものではありません。同時に教師の処遇についてはいわゆる「給特法(:「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」昭和46(1971)年制定)」によって、時間外勤務手当は支給されない代わりに、給与月額の4%の教職調整額が支給されることになっていますが、これは昭和41年の時間外勤務である、月約8時間に相当する金額に過ぎません。現在では学校に求められる役割が、当時と比べて大きくなっており、時間外勤務の実態と処遇が大きく乖離していることも事実でしょう。
私文科大臣時代にですね、ちょうど令和元年、まずは学校の働き方改革を進めて、長時間勤務の是正ということで、「月45時間、年306時間上限」を決めました。しかしその頃はですね、学校現場はタイムカードもなければ、勤務時間管理ができていなくて勤務実態がわからないということがあったんですけれど、「この3年間でしっかり調査をしてきました。3年後に実施される勤務実態調査を踏まえて、給特法などの法制的な枠組みについて、抜本的な見直しを検討する」旨を私自身何度も答弁をしてまいりました。その趣旨は国会の意思として付帯決議にもなされているはずです。また法改正をキックオフとして、教師を取り巻く環境整備をすすめるほか、今総理からもご指摘いただいた、小学校の35人学級の実現ですとか、教員業務の支援員、スクールサポートスタッフですとか、それから、教員の免許更新制の発展的解消などにも取り組んできたつもりでございます。
そして、給特法改正から3年近くが経過し、いよいよ本年度に勤務実態調査が実施されます。私が心配しているのは、給与の中身だけじゃなくてですね、やっぱりマンパワーの必要性です。ギガスクール始めるときに、「パソコン・タブレットが入ったら教員の数を減らしていいんだろう」、という役所もありました。これは本末転倒だと思います。やっぱり人は人にもまれて人になるんだと思います。すなわち、教師の役割というのは大きなものがございます。

そしてですね、小学校の担任の先生、今専科の教員が少しずつ増えてですね、高学年になると、理科ですとか、音楽ですとか、専科の先生に学びますけれど、地方に行きますと、相変わらず担任の先生が、9科目を担当しているという学校も決して珍しくありません。誤解を恐れず申し上げますけど、運動神経の悪い先生に教わる体育ほどつまらないものはないと思いますし、アルコールランプに火をつけられない先生の理科の実験でノーベル科学者は出てこないと思います。私はですね、改めてこの小学校の教員の在り方、やっぱり専科を増やしてですね、高学年から理科は理科、体育は体育、音楽は音楽、美術は美術、専門性の高い先生たちに教えてもらうべく、教員の配置も含めた処遇改善というものを考える必要があると思います。あらためて、現在の検討状況を文部科学大臣にお尋ねしたいと思います。

永岡桂子文部科学大臣:
文部科学省におきましては令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定すると共に教職員の定員の改善、そして支援スタッフの充実など文部科学行政におけます、最重要課題の一つとして学校における働き方改革を総合的かつ集中的に推進してまいりました。文部科学省の調査結果では、時間外勤務は一定程度改善傾向にあり、働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続きまして取り組みを加速させて行く必要がございます。このため、文部科学省におきましては働き方改革の様々な取り組みと成果とをふまえつつ、本年度実施の勤務実態調査において教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果等を踏まえまして、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを検討して参りたいと考えております。

そして、ただいま、もう一つご質問のございました、教職員定数(テイスウorテイシツ?アクセントで悩む)の改善こそが重要というお話でございますが、新たな時代に向けた学びとして必要な「スティーム教育(:STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進:文部科学省 (mext.go.jp))」等のための早期からの専門的な教科指導の実施や学校における働き方改革の観点からもやはり小学校の高学年における教科担任制の推進が必要と認識をしております。このため、令和四年度予算におきまして、小学校高学年におけます教科担任制の教職員定数(?)の改善を新たに計上しております。今後四年程度かけまして、段階的に取り組みを進めまして、改善総数は3,800人と見込んでいます。また、昨年度から開始を致しました小学校におけます35人学級、本当に先生(萩生田議員)には大変お世話になりました。これも取り組んでいるところでございます。今後とも専門性のある教師を増やすため教職員定数(テイシツ?)の改善に全力で取り組んでまいります。

萩生田委員:
「もっと急げと言ってくれ」という声が大きくございます。あの、これは本当に待ったなしだと思いますので、大臣のリーダーシップでしっかりやって頂きたいし、我々党もサポートすることを改めて約束したいと思います。

あの、総理、金曜日にですね東京医科歯科大学と東工大の合併のニュースが流れました。私は画期的なことだと思います。まさに今官邸のもとでですね、教育未来創造会議を行っていて、今までの高等教育の在り方では、世界と伍して行くことはできない、やっぱり学部の中身、教えの中身を変えて行くべきだという意見を多くの皆さん仰ってます。将来的には、今「スティーム教育」のお話もありましたけども、理系2割文系8割のこの構成をですね、少なくとも50:50くらいにして行く必要があるのではないかというのが我々教育に携わったものの意見でございまして、ぜひこれはしっかりウォッチをして頂きたい、前に進めて頂きたいと思っています。
そしてですね、この前あの、スタンフォード見に行った時に、まさにこの「医工連携」、現場で見てきました。医学部の隣に工学部があって、医療現場で使う医療機器を工学部がその場で作って、そしてスタートアップ、ベンチャー企業が、もう上場している企業が沢山ありますよ。「使い勝手の良さを同じ大学の中で行き来ができる」このメリットを日本も作るべきだと思います。
私ちょっと心配になったのは、この合併する大学、東京医科歯科大と東工大です。本部を千葉県におくとなっていました。なんでだと聞きましたら、「今23区は新しい学部の新設ができない、増員ができない、キャップがかかっています。従って千葉に行く。」これね、文系大学だったら私いいと思うんですけど、実習が伴うこういった理工系の大学が、わざわざ千葉から東京に来ないと実習ができないって、こんな不具合ないと思うんです。私あの、地方創生の観点から23区の大学のキャップをはめるというのは当時の判断としては有ったのかもしれません。もう、たった4年間で世の中こんなに変わりました。私は、東京の足を引っ張って、そして地方にバランスをとるという政策じゃなくて、世界と戦わなくてはならない今の状況を考えたら、いたずらにですね、「東京にある全ての大学の定数を増やしていいですよ」というつもりはないんです。よそにもある学部はそれはそのままでいいじゃないですか。しかし、この社会ニーズに合わせて例えば今必要なのはデジタル人材です。早急に人材育成しなきゃならない、IT企業が集約しているのは残念ながら東京ですよ。民間の講師、そういった人たちも含めて「東京にはそういう素材があるのに東京では教えられない、地方で育ててくれ」って。これちょっと無理があると思います。従って、私は世界と戦って行く日本の大学を考えた時に、たとえばこういう合併をして、自助努力によって新しいスケールメリットを生み出す大学ですとか、社会ニーズにこたえる新しい人材育成をする、そういう学部については、23区で堂々とやらせてあげればいいじゃないですか。決してそれ地方を駄目にする話ではないと思いますよ。例えばデジタル人材だけじゃなくて、データサイエンティストも足りません。しかしこれ、地方の四大学でしか人材育成いままでしてこなかったんです。ですから、こういう社会ニーズにこたえる人材を作っていく必要があります。
医科歯科大学の話しましたけど、法医学のドクターの数も圧倒的に足りてません。法医学のドクターは、医師国家資格をとったあとに更に学ばなきゃなんない。解剖学やらなきゃなんないんです。そういったことができる大学は首都圏に集中してます。今東京では検死が必要な遺体が年間2万1千体以上でます。その中で司法解剖に回る遺体もあります。残念ながらこの法医学に携わるドクターが少なくて、司法解剖の時間が遅れています。これ何を意味するかといったら、10年後20年後、同じようなパンデミックが起きた時に、最初の患者を見落としますよ。まさに国家戦略として、必要な人はちゃんと育てていく、必要なものは作っていく、その視点から、私はこの23区規制の緩和っていうのを進めるべきだと思っていまして、岡田大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

岡田直樹内閣府特命担当大臣:
ご指摘のありました、東京23区内の大学の「収容定員(※緊張?シューインテイヨーテイインと発音のため推測)」の抑制でありますが、わが国における急速な少子化の進行や地域の若者の著しい減少により、地域の活力が低下している実情から、地方公共団体等の要望も踏まえて平成30年に制定された、地方大学産業創成法により、10年間の時限的措置として導入されたものであります。
この法律の効果については引き続き注意深く見守ってまいりたいと思っておりますが、その上で萩生田委員からご指摘のあった、高度なデジタル人材などの成長分野に関する人材育成は極めて重要な課題であり、時宜を得たご指摘であると思っております。教育未来創造会議提言における理工学部の学生がOECD諸国の平均と比べても大幅に少ないという、こういうご指摘も傾聴に値するものとして、委員のご指摘を真摯に受け止めたいと思います。

その一方で、やはり社会的なニーズの高い人材育成はそうした人材が不足している地方においてこそ手厚くすすめるべきで、そうした地方での就職・居住につなげて行くべきであるという「知事会市町会庁総務会(※チジカイシチョウカイチョウソウムカイ、同音異義語連続のため推測)」など地方の声が根強いことも事実であります。また、岸田政権が掲げるデジタル田園都市国家構想の理念がデジタルの力で地方への人の流れを創出することになるということも踏まえて考える必要があると思っています。
さりながら萩生田委員ご指摘の成長分野における特にデジタル、あるいは理工系、こうした人材の養成が一刻を争う急務であることは全く同感であります。こうした人材をどこでどのように養成することが日本全体にとって、また地方にとって最適であるかはこれは大学等を所管する専門性を有する文部科学省とよく相談して参りたいと考えております。必要に応じて内閣官房で開催する「地方大学産業創成法に関する有識者会議」においてもご議論頂きたいと思っております。

萩生田委員:
ご丁寧な答弁を頂きましたけど、要は「やるかやらないか」ですよ。(資料ボードを指して)この資料見てもわかるようにですね、これ「地方への人流が、東京が吸い上げたら困る」、といって始めたんだけど、全然変わっていないですよ。東京に来る地方の出身者、大学の出身者は全く変わっていない。規制前と規制後は変わっていないわけですから。こういうのはね、私改めるべきだと思います。誰かが始めたことをやめるというのは勇気が要ることなんですけど、私やめまくってきましたからね。やっぱり正すべきはしっかり正す、それが時に私は閣僚の責任だと思いますので、岡田大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。

時間がなくなってきてしまったので、総理、「リスキリング」についてお尋ねします。あのリカレント教育ってやってきたんですけど、これちょっと、合っていなかったと思うんですね。今度は、「スキルアップした人たちがどういう給料をもらえるのか」、「どういうところで再就職ができるのか」を明確にする必要があります。私、シンガポールの「スキルズフューチャー」っていう制度を見てきたんですけど、これはもう企業がですね、「こういうスキルアップしたらうちの会社でこういう給料で雇いますよ」というのが予め公示されているんです。従って一年間のスキルアップをした人たちが就職先を安易に見つけることができるという転職につながっています。
「これから五年間で一兆円というパッケージを作る」という、そういった意思を示されました。総理が目指すこの「リスキリング」、どんなものなのか具体的に考えをお示しください。

岸田総理:
「賃上げが高いスキルの人材を引き付け、生産性の向上につながり、それが更なる賃上げにつながる。」こうした好循環が機能してこなかったこと、これに正面から向き合わなければならないということで、この賃上げ、もちろん目の前の賃上げ、これ大事でありますが、構造的な賃上げを考えていかなければならない。その際に重要なキーワードとして、「リスキリング」という言葉が今、大きく注目を集めています。構造的な賃上げのためには、この新たなスキルの獲得と、成長分野への円滑な労働移動これを同時に進めることが重要であると考えています。
それを応援するために「人への投資、政策パッケージ、5年で一兆円を拡充し、取り組みを抜本強化して行く」、こうしたことを考えています。今回まとめる総合経済対策の中でも、大きく三つ、こうした取り組みを資するための施策を用意しています。

一つは円滑な労働移動という観点から、企業間・産業間でこの移動を円滑化させる、こうしたことから、非正規から正規、あるいは転職、あるいは副業、こうしたものを受け入れる企業を支援する、こうした制度を新設するということ。
また、キャリアアップを目指す人が民間専門家の支援ももらいながら「リスキリングから転職まで」一気通貫で取り組んでいくことを支援する、こういった制度を新設する。
またこれは、従来のリカレント教育とも重なる部分でありますが、社員の訓練等を支援する企業への支援金の、補助金の引き上げ、これを行っていく。

こうしたことによって労働移動をしっかり応援して行くことを考えなければならない、と思っています。かつての高度成長期との違いをしっかり考えなければならない、いま「グリーン」とかあるいは「デジタル」とかこうした分野において、非連続的なイノベーションが起こっている、こうした分野にしっかり労働移動が進まないと、日本の成長はないという考え方に基づいてこうした労働移動を応援していく政策を用意し「リスキリング」しっかりと後押ししていきたい、このように思っております。

萩生田委員:
本当はDXを進める上での原子力の活用などを改めて総理と議論したかったのですが時間がなくなりましたのでここで終わります。
新しい資本主義、ともにしっかり前に進めていけるように努力することをお誓い申し上げたいと思います。
ありがとうございました。

(おわり)

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