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バキ狂いのわたしが異世界最大トーナメント小説『異修羅』をあなたに勧めるシンプルな理由

年がら年中、バキの最大トーナメントのことばかりを考えている。
例えばあの一回戦の組み合わせが一人ずつ入れ替わったらどうなるだろう。もしスペックやドリアンやアライJrやオリバや武蔵(素手)が参戦したらどうなるだろう。もし刃牙とジャック・ハンマーがいなかったらどうなるだろう。柴千春、渋川剛気には相性勝ちワンチャンあるのでは!?

われわれはなぜトーナメント展開にこれほど心惹かれるのでしょうか。個性豊かな出場者達、先の読めない展開、勝ち上がりという有無を言わさぬ決着方式、そして様々なハプニング。

漫画『グラップラー刃牙』の最大トーナメント編はその一つの到達点であり、以降の歴史の転換点だとわたしは確信しており、最近でも例えばケンガンアシュラやはぐれアイドル地獄変、喧嘩稼業など、おそらくはその影響を大なり小なり受けたであろう魅力的な作品が次々と生み出されています。

そして、小説、それもファンタジー小説という媒体で、そのジャンルの新たな大傑作が産まれようとしています。その名を『異修羅』といいます。

はじめまして、アロハ天狗と申します。
『小説家になろう』や『カクヨム』で連載中の異世界ファンタジー最大トーナメント小説『異修羅』がめちゃくちゃ面白かったのでそれの紹介をします。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882641261

しかしわたしは、俗に言う『なろう系』の異世界モノや、そもそもファンタジー全般に関する知見がどうにも薄いので、その文脈でこの作品がどーのこーのという話はしません。

なので、グラップラー刃牙の話をします。

本作、『異修羅』はファンタジーなんですが、そのあらすじはシンプルで、『ある日突然範馬勇次郎が謎の死を遂げたので、最大トーナメントを開いて優勝者を<勇次郎を殺した最強の存在>ということに事後的にしてしまおう!』というのが本作の基本的なあらすじです。バキですね。

早速ですがバキの最大トーナメントの何がそれほど優れているかと問われれば、闘技者の個性が一人として被ってないところがまず挙げられるでしょう。

烈海王みたいな超直球のバケモノから、金竜山や猪狩のように相撲からプロレスまで、果ては柴千春みたいな問題児枠まで取り揃え、選手一覧を見てるだけでもオモチャ箱をブチまけたようなワクワク感が漂ってくるのが、わたしとにかく大好きなんですよ。

やはりトーナメント物の醍醐味は即ちキャラの濃さで、その意味ではバキの最大トーナメントは言うまでもなく、最近だとケンガンアシュラとか、(トーナメントじゃないけど)エアマスターの深道バトルロイヤルとかも、まあキャラが出揃った時点でもう勝ちといえます。

で、異修羅なんですけど、これがまたちょーめちゃくちゃキャラが濃いんですよ。

ここが異世界ファンタジーたる所以で、例えば人族:騎士、巨人:武闘家、飛竜:槍兵のように、種族もクラスも異なるキャラたちが16人揃っているんですが(実際の作中の種族・クラスの組み合わせとは異なります)、その能力がみんな”極端なぶっ壊れ性能”なんですね。

これは実際に読み進める中で『このキャラどうやって倒すの?無敵では…?バランスブレイカー…?メタルブレード…ナムカプのCOS-MOS…?大会終了…?この作者後先考えて書いてる…?』という感覚を是非とも味わっていただきたいので、ネタを割るのは最小限にしますが、

『魔法使い:能力<万能>』とか、『オートカウンター回避不可即死(常時発動)』とか『大規模災害そのもの』みたいな手のつけられない感じのキャラがゴロゴロ出てきます。戦闘力でいうとだいたいBF団十傑集相当くらいですね。

トーナメントではないですけど、エアマスター終盤の坂本ジュリエッタとかジョンス・リーとかマキ父とか覚醒時田とか皆口姉とかのバケモノがゴロゴロ湧いてきたときのテンションが近い。(スナイパー空手が好きです)

十傑集ついでに触れておくと、『窮知の箱のメステルエクシル』『静かに歌うナスティーク』とかキャラ名の前に二つ名が付いているのもめちゃくちゃカッコいいですね。オタクは全員二つ名が好き。堅あげポテトブラックペッパーくらい好き。
(本作だと町娘レベルまでほぼ全員二つ名持ちの設定なのはちょっと好みじゃないですが…)

本当はもう少し具体的にキャラを紹介したいところですが、『キャラの特徴そのもの』が致命的なネタバレになる出場者も結構いるので、我慢します。

脱線しましたが、重要なのは全キャラがこのレベルないしはそれ以上のイカレ性能だということです。全キャラがバランスブレイカーだと却ってバランスが取れてしまう、という身も蓋もない事実を我々は一部の格闘ゲームなどを通じて学習してきましたが、本作にもまさしくそれが言えます。読めないんですよ。勝敗が。

我々は未だに四六時中バキの地下最大トーナメント編のことばかり考えていますが、最大トーナメント編はなぜあんなにもクソ面白かったのでしょうか。それはやはり、一にも二にも全試合省略無しで描き切られた試合の決着が全く読めなかったというところに尽きると思います。

そして、異修羅の好きなところをもう一つ更に挙げると、今のところですね、刃牙とジャック・ハンマーがいないんですよ。最大トーナメント編、ほぼ完璧な漫画なのですが、ただ一つ好きでないところに範馬刃牙の存在があります。

やはり主人公(とラスボス)というものは勝ちあがらざるを得ないんで、絡む試合にどうしても大なり小なり予定調和感が出てしまうんですよね。主人公とラスボスが絡むと盛り下がるというのはある種、トーナメントやバトルロイヤル展開の宿命かもしれません。

(それはそれとしてわたしはあほなので決勝でジャック・ハンマーの正体が明かされた時にはめちゃくちゃびっくりしました)

異修羅は、主人公不在…というか全員主人公仕立ての群像劇なので、マジで、勝敗が読める試合が一個もないんですよ。や、本当に誰が主人公で誰がラスボスになるかわからない。

更に特徴の一つとして、試合外の盤外戦が強くフィーチャーされてるのも先の読めなさが増して楽しいですね。一回戦の組み合わせ、いやいやファイターの選出から既に試合が始まっているという感じです。

そのくせ、じゃあ試合が水入りになったり不成立になったりして消化不良になるかと言うかと思えばそうはならず、突発的に野試合で激アツカードが発生したりもします。

こうした勝敗予想の盛り上がる作品だと、とかく予想を裏切ろうとして、”ただの嫌がらせみたいな展開”や、”誰もが思いつくけどわざわざやらないような展開”をついつい入れたくなるのが人情ですが、本作は『先の読めなさ』と『見たいものをキッチリ見せてくれる』というのが非常に高いレベルで共存している作品です。

さて、バキで一番面白いところといえば、むしろ試合よりもストライダムが出てくるシーンだというのに皆さん異存はないと思いますが、本作にも極めて優れたストライダム枠のおっさんが登場します。超エモ。

ファイター通しの絡みも勿論熱いんですが、こうした試合外パートの完成度も高いのが嬉しいですね。とにかく異種間同性間でのゲボ重感情がドバドバ出てくるのも一部の層には強くブッ刺さるポイントだと言えます。

また、本作は格闘大会ではなく勇者決定のための公開真剣試合であり、要するに駿河城御前試合をトーナメントでやっているようなものなので、試合会場の中でも外でも主要キャラがドカドカ死ぬのが良いですね。推しが無慈悲に死ぬ!アロハ天狗、推しが無残に死ぬ作品、大好き!みんな死ね!

主人公不在…というところに関連すると、バキで一番面白いパートとは全選手紹介とか、新キャラ登場時の試し割りパート(最強死刑囚の潜水艦脱獄とか烈海王の真球打岩とかゲバルの存在そのものとか)というのは衆目の一致するところですが、本作の試し割りもマジでクソ最高です。

具体的に言うと、本戦が全然始まらないんですよ。2018年8月現在、異修羅本編はようやく第2回戦第1試合が終わったくらいの進行度ですが、その時点での本編の分量の、およそ半分近くがキャラ紹介パートに費やされています。

主たる16キャラの紹介エピソードが、体感的には週刊漫画の2〜3話相当の物量で一人ずつ語られます。イメージとしては本戦が始まるまで単行本3〜5巻分くらいがキャラ紹介のイメージでしょうか?商業誌だとちょっと勇気が要る構成ですね。しかしこれはフリーのWEB小説だ。われわれはようしゃしない。

じゃあ本戦が一向に始まらなくてdullかというと全くそんなこたあなくて、この選手紹介パートがとにかく盛り上がるんですね。

わずか二話の分量でキャラを立て、舞台設定も紹介し、そして能力の激ヤバ度合いを過不足なく伝えて、しかもそれを16キャラ分ダレたりすることなくやりきる、というのは凡そプロの中で相当実力と自信がないと困難な試みじゃないでしょうか。

各エピソードの最後には

それは全ての防御と過程を無視して、あらゆる存在を捻じ曲げることができる。
それは天候や地形までもを一語の下に支配する、果てのない出力を擁する。

みたいな感じでキャラの性能とクラス、種族、名前をまとめる4行の締め文章、通称”異修羅構文”があるんですが、これが超オタク~~~!!!って感じでとにかく好きですね。オタクだ・・・オタク・・・

そりゃこちらもオタクなので『全員チートのバトルものならバランス取れるんじゃね?』という妄想には身に覚えがありますが、思いつくのと実際に形にするのは全くの別物です。(だいたい4人目くらいで力尽きて寝る)

16キャラ全員チートでありながら、強さのベクトルや試し割りエピソードの方向性が全員見事にバラバラなのも非常に魅力的ですね。なんというか、偉そうな言い方になってアレですが、よくもまあこれだけ考えたなって感じです。

とにかく大量のエンタメを摂取して、それを血肉にしてアウトプットしているタイプの書き手だと思います。そしておそらくこれまでの人生で経由してきたエンタメにかなり近いものがあるので、一人のオタクとしてめちゃくちゃ信頼できる。

さて、バキの一番面白いシーンといえば当然のことながら結局は試合そのものです。
結局キャラが立っていても、先が読めなくても、肝心の試合の面白さが戦闘のキモなわけです。

ここまで大絶賛してるので、お察しだと思いますが試合本編、当然のように極上です。

長い~~~~キャラ紹介が始まってようやく第一回戦が始まるんですが、これが一回戦からお互いの能力が活用されまくって、最後の最後の瞬間までどちらが立ってるかわからない名勝負の連続となります。

今は第2回戦第2試合が丁度始まるところですが、どの試合も全然(試合が成立するかも含めて)読めないですし、めちゃくちゃ面白いですね。第二回戦第一試合すごすぎ・・・

最後になりますが、バキが一番面白い瞬間といえば、本編を読んでいるところよりも、トーナメント表を読みながらあーでもないこーでもないと予想しているその瞬間ですよね。

『異修羅』はここまで挙げたように、
・特定の主人公の不在
・強烈な個性の出場者
・大量の人死に
・先の読めない展開
・適度なハプニング
・上質な試合運び

と、トーナメント物として面白くなる要素を
ほぼ全て兼ね備えています。

ここまで来ると、もう作者から読者の読み手への挑戦状のようなもので、こちらとしてはキャラ性能は勿論のこと、キャラ間の因縁や、大会全体の流れや作品の構成、どこで『ハプニング』が挿入されるかまで含めて全力で予想して、そして全力で外したくなる誘惑に溢れた作品となっています。
(選手消化が終わって第一回戦の『組み合わせ』を見ただけでも悶絶できる)

更には、読み終わってからも「一回戦の組み合わせがああじゃなかったらどうなってた!?」とか「あのキャラとあのキャラがぶつかってたらどうなってた!?」と無限に咀嚼が楽しめてしまうタイプの作品でもあります。

幸いなことに、この『異修羅』は今まさに連載中であり、そして幸いなことにこれから知名度が広がっていく、まだその過程にある作品です。不意打ちでネタバレを踏む可能性も今なら限りなく少ないでしょう。

それが故にわたしは、バキ狂いとして、普段なかなかファンタジーやWEB小説には食指が伸びないあなた方友人に対して、今敢えて『小説家になろう』の異世界最大トーナメント小説『異修羅』を強くオススメします。

アイアン・マイケル対柴千春戦や本部以蔵対金龍山戦、更には愚地克己対花山薫戦や、愚地独歩対渋川剛気戦のような名勝負を産み出しうるポテンシャルを持った作品であることを、わたしは自信を持ってお伝えできます。

残念ながら、食い物への偏執的な描写だけはありませんが・・・ 
#オリバステーキ #餃子 #烈さんの中華 #熊刺し  #モニュ… #ナポ…

それは十六の全く異なる”無敵”を持つ闘技者をその内に備えている。
それは個別の主人公を持たず、故に一切の予測を無効化する展開を持つ。
それは”無敵”同士の激突から生じる、極めて上質な戦闘を産み出すことができる。
現在進行系で展開される、新たな最高傑作の一つである。

小説。ファンタジー。
異修羅。

(おわりです)

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