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柳生十兵衛がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!

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【完結しました。文庫一冊サイズで綺麗に大団円!実況タグも絶賛の嵐!】柳生一族が支配する柳生バースの暗黒現代日本を舞台に、 死都・町田を舞台に柳生十兵衛と町田に住む変人軍団が壮絶な…
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2020年8月の記事一覧

第五話 黒冥党の男たち【柳生十兵衛がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!】

(これまでのあらすじ:己の惰弱さによりウォーモンガーたみ子に愛想を尽かされた百手のマサは、二兆億利休の茶室に流れつく。その戦闘問答の果て、マサは己の本心と向き合う決意を固め、物語は過去へと遡る) 20年前。町田ではないどこか。 瓦礫、死体、瓦礫、死体、死体、死体、死体、瓦礫、死体。 「おう、おう、おう、おう。これはまあ、想像より遥かに酷いザマよのう、全滅かよ」 瓦礫と死体を避けながら男たちが闊歩する。 「柳生の連中ときたら、相も変わらず清々しいまでの殺しぶりだのう」

柳生ベイダーに言葉はいらない【柳生十兵衛がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!】

多摩市。隠れ里。夕方。 子供たちが駆け回って遊んでいる。それは一見穏やかな光景だが、良く見るとある子供には腕が無く、ある子供には足が無く、ある子供には片目が無い。五体満足の方が稀だ。 「みんな、ご飯の時間よ」 穏やかな声が子供たちの笑い声を遮る。 「カナ姉ー今日のご飯何ー」 「わたしニンジンいらないー」 「太郎丸がねーカナ姉の作ってくれたご飯が一番おいしいってー」 「い、言ってねえし!」 カナと呼ばれた女は年の頃二十三、四。野暮ったさの残る顔立ちであるが、額の

第六話 デンデンデンデン ドンドン【柳生十兵衛がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!】

(これまでのあらすじ:記憶の中で己を包んだ情愛と向き合ったマサは、自身の本当の目的が"十兵衛の首を獲ること"ではなく、"町田を守ること"だと気づく。そして、黒冥党の男たちの物語は終わる) 内臓館。 応接室、円卓を囲んで四人の男女が並んでいた。 一人は、怒れるサイキック・ゴルゴン  二兆億利休「早く話を付けようか、儂の大頭を無理やり縮めておるでな、頭痛がたまらぬ」 一人は、柳生一族最悪の忌子、黒仮面の魔剣士  柳生ベイダー「コーホー」 一人は、美貌の武器商人にして

疾風の轟轟丸【柳生十兵衛がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!】

今日も母の甲高い怒号が飛んだ。 父は何も言い返さなかったが、20分ほど言われるままにすると、突然母を張り倒して一人で布団に入った。 母は泣きながら自分に縋り付いてきた。 「ゆうちゃんはあんな風になっちゃだめよ…ゆうちゃんは由緒正しい武家の子なんだから…こんな町にいつまでもいちゃ駄目なんだから…」 それが人生最初の記憶。 ◆ 父親の印象は曖昧だ。優しかった思い出は、ある。 しかし次第に、父が自分を見る目が変わってきたことに気づいた。 母を見る時の冷たい目と同じ目