見出し画像

その小さな背中を

母がまだ生きていた頃
車椅子を押して
よく近所に買い物に出かけた。

母はひざに買い物カゴを乗せて
「ミョウガ買おか」と父の好物や
「そのゼリー入れとこか」と自分の好物を
わたしにカゴに入れるように言った。

小さな町のスーパーには
ベビーカーを押したママさんもいて
それを見るたびに、思った。

わたしも赤ちゃんだった頃
ああやって
母にベビーカーを押してもらってたんだ。

地上のすべてから
母によって守られて
母によって愛されて。

そして今
母の車椅子を押している。

日に日に小さくなる背中を
永遠に触っていたいけれど
それは叶わないことと
知りながら。

その切ない人生の順ぐりを
感じながら。

それから数年経たず
母はたましいに還り

それから数年経って
わたしは母になり

そして今
息子のベビーカーを押している。

母は孫を抱くことはなかったけれど
母のいのちごと、この子の内に包んで

日に日に大きくなる背中を
永遠に触っていたいけど
それは叶わないことと
知りながら。

その愛おしい人生の順ぐりを
想いながら。

母と、我が子を
ベビーカーに乗せて。

今日も。


ここから愛を感じたら、愛を循環させてみてください^^ LOVE & HUG!! 愛より愛こめ。