電車に揺られる

電車で毎日家に帰る。

心理療法の教科書的な本を買う。中古で、ほとんど新品の状態のものが千円で売られていた。大学生が講義のために購入して、学期終わりにすぐに売ったのだろうかなんて考えは浮かばない。ただ、何だかつまらなさそうに棚に並んでいた。

駅まで歩くのに、最初はビニール袋の手持ち部分に中指を引っかけてぶら下げていた。20分ほど歩く必要があったので、その内同じ持ち方に飽きて抱えるようにして歩き始めた。ビニールの袋から本の表紙は透けない。でもそのことを確かめるように二回手のひらで持ち直した。

僕が読む本なのかは分からない。誰もすべてのページを開くことなく、捨てられてしまうかもしれない。購入したのは単に気まぐれだった。

電車の中は空いていたけれど、僕が座ると誰かと隣り合わせになってしまうような間隔で、男の人や子どもを連れた母親が座っていた。座りたいわけではなかったので、そのまま立つことにする。本を少しだけ強く抱きしめた。

Hiatus Kaiyoteを聴きながら電車に揺られる。あるいは、揺れているのは自分だと思う。リズムが小刻みで心地良い。上半身をリズムに合わせてほんの少し動かした。座席に座っている20代くらいの女性に見られている気がした。

明日は頭痛内科に行く。

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