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日記(2024/2/4)

最近、立岩真也の本を読み始めた。以下2つ。

  • 増補新版 人間の条件 そんなものはない

  • 人命の特別を言わず/言う

立岩さんは2023年7月に亡くなっている。亡くなったから読もうと思ったわけではなく、読みたいと思いつつ書店の本棚から手には取っては戻すを繰り返していた。そうしているうちに、何だか本当に読まずには居られない気持ちになって、買う本の目星をつけようとネットで調べていたら、最近亡くなったことを知った。

それだけ。

東京駅の丸善に追悼コーナーがあって、恐らく書籍として出版した本はだいたい揃っている様子だった。

『人間の条件 そんなものはない』は神保町の東京堂書店で買った。このお店のブックカバーは粘土みたいな匂いがすると思ったが、パートナーは新しい紙の匂いと言って何度も嗅いでいた。今はもう読み終わっていて、丸善で買った『人命の特別を言わず/言う』は東京堂書店のブックカバーを着せられて背筋がぴんとしている。気がする。


追記
昨日あまり寝れてなかったので8時頃には眠くなって、布団に横になったのが9時過ぎ。そのまますぐに眠ったと思う。

身体がものすごく熱を発していて目が覚めたのが11時。真冬だというのに膝から下を布団の外にさらしている。なのにやけどしたのかというくらいに熱い。

恐い夢をみた。林のような丘の上に住宅街と思しき一本道が続いている。僕は自分の家(アパート)に向かって歩いているのだが、どういうわけかその先には圧縮されて潰された町があることを知っている。自分の家が無事か心配だが、圧縮され、千切れた木材やなにかがむき出しになっているところまで近づくこと自体がとても恐ろしいことのように感じる。

晴れてはいるが、道を囲むように大きな木がいくつも茂っていて薄暗い。陽の光で道がまだら模様に黒く照らされている。

僕の前を女の人が歩いている。大学生だろうか。キャップを被り、ダークグレーのパーカーを着て、俯いたようにスマホを見ながら歩いている。彼女の足取りはややとろく、次第に追いついてしまう。あまりに近づきすぎると彼女を恐がらせてしまうかもしれないと思い、5メートルくらいまで近づいたところであえて少し距離を取ることにする。

彼女はどこに向かっているのだろう、とは思わない。

僕のアパートがあるところまで近づいてくる。枯れた蔦が這うような汚れを纏った壁の建物だ(実際に蔦は生えていない)。この黒くて背の高い家を通り過ぎて左手の少し奥まったところに、僕の家が…

ない。

確かにこの道、この場所のはずだと思うが、あまりの非現実さに戸惑いそのまま足を止めず横切ってしまう。まだ女の人はスマホを見つめてとぼとぼと歩いている。彼女との距離を保ちながら、左手に通り過ぎていく建物をひとつひとつ確認する。どれも、見たことはある。しかし僕の住む建物ではない。どれも見たことはあるのだが、ここは本当に僕が住む町なのか確信がもてない。

やがて幅の広いトンネルの前に辿り着く。長さは20メートル程しかなく真っ直ぐなので、昼だとそんなに暗くはない。でも、ここまで来ると明らかに僕の家は通り過ぎている。それに、何だかトンネルを抜けては行けない気がする。

彼女はスタスタとトンネルの中を通り、そのままどこかへ行こうとしている。そのことに少し安心してしまうが、理由は分からない。彼女も現実のものではないのかもしれない。僕は、そこで折り返す。今度は右手になった僕の家があるはずの道沿いを見つめて歩くが、やはり僕の家はない。ここにあるはずだというところの目の前までは着くのだが、物理的な存在だけが消えてしまったようにないのだ。

圧縮されてしまったのかもしれない。どういうわけか、「町」は地理的にではなく、「存在」の単位で集められ、すり潰されてしまったようだ。だから、ここにあるべきはずのものがない。

それなのに、何事もなかったかのようにそれは続いているのだ。

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