第三十三回「ゴミ拾いベイビー」
最近の僕らは新しく音楽をリリースした。
どちらも大切な曲になったと思う。
そんな中でこの音楽をリリース記念として東京都23区のゴミ拾いを行なっている。
今現状では13区。残りは10区にまでなった。
こうしてゴミを拾っているといろんなものが見えてきて、どことなくその街の”性格”なんかが顔を出したりもする。
中でも先日行った新宿は本当にその姿が分かりやすくて一歩足を踏み入れただけでタバコの吸い殻がまるで馬鹿でかい灰皿をひっくり返したような感じだった。
東京に対して憧れがあった。
特にこうして田舎から出てきた人間は東京という大都会に夢を抱き、
明日を信じた。
その街がゴミの山と化して「自分は悪くないですよ」「まぁ、新宿だからね」みたいな顔をして皆通り過ぎて行った。
もしかしたらこんな事を書いている俺もこのゴミ拾い企画をしなかったら同じような感想を抱いたかもしれない。
けれど、そんな街のゴミを拾いながらなんとなく悲しくなってしまった。
上っ面のキラキラした街のネオンや綺麗な女性、かっこいい男性の足元は
誰かが捨てたタバコや缶チューハイで溢れていた。
おしゃれは足元から。という言葉を耳にするがその足元って自分の足元じゃなくて自分が今踏み締めている地面からなのではないだろうか。
高いスニーカーで汚い街を歩けばそれはとても勿体無いことなのではないだろうか。
めちゃくちゃお洒落な誰もが見惚れてしまう男女のグループが街を掃除していたらそれって所謂”一つのカルチャー”になるのではないだろうか。
そんな事を考えたりもした。
かっこいい街にいるかっこいい自分の足元もゴミひとつなくカッコよかったら。それは本当の意味での”かっこいい”なのではないだろうか。
名古屋に麗麗というV系のバンドがいる。
そのバンドは定期的に大須という街をファンの方々とゴミ拾いしているそうだ。
そんなかっこいいことができるバンドはやはり魂も骨太だし、それが音楽にも繋がっていると俺は思う。
だから、今回のこの企画の後。
俺たちは「はい。これで終わりでーす!」とはせず、なんらかの形で定期的にゴミ拾いをしていく。
別に俺たちはこれを「かっこいいこと」と思ってやっていない。
なんなら街のためとも思っていないかもしれない。
だからといって いやいややっているわけでもない。
ただ。
楽しみたいのだ。人生を。
ゴミ拾いをしていい汗をかいて運動して「ちょーきもちいー!」
俺はこれでいいんだと思う。
それが誰かに影響を与えるとか、いいことをしてるって言われたいとか
そんなの考えながら誰もやってない。
俺はゴミを拾って楽しく人生送って音楽やって漫画読んでゲラゲラ笑っていたいのだ。
俺たちの行動を見て何を思うとかは見た人が勝手に決めることで
その範疇にもはや俺たちはいないのだ。
俺は俺のためにゴミを拾うから、みんなもみんなのためにゴミ拾ったりしてほしい。
多分そっちの方が楽しい。楽しい方が絶対にいい。
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