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バドミントンを観戦しよう~海外選手~

今回は東京オリンピックでメダル争いに絡んでくるであろう海外選手を紹介していきたいと思います。
注目選手の紹介の前にどんな国でバドミントンが人気があるかを知るために国別ランキングをみていきましょう。

①中国 ②日本 ③インドネシア ④タイ ⑤韓国 
⑥台湾 ⑦マレーシア ⑧インド ⑨デンマーク ⑩イギリス

みての通りバドミントンはアジアが圧倒的に強いですし、盛んです。インドネシアやマレーシアは国技でプロリーグも行われています。世界1位の中国も日本の国体のような各州の代表選手が争う国内の大会が人気です。

ここからは各種目で東京オリンピックのメダル争いをするであろう選手を紹介していきます。選手名は世界バドミントン連盟(BWF)で使用されているアルファベット表記をします。地上波の放送では漢字表記の選手名を日本での読み方で発音しています。選手名は固有名詞であるため出来る限り各国での呼び方に従うのが礼儀だと思っているので混乱するかもしれませんがご容赦ください。

男子シングルス

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SHI Yu Qi(中国)
1996年2月生まれ 世界ランキング7位
<主な成績>
・2018年 ワールドツアーファイナル 優勝
・2019年 アジア選手権 優勝

中国王朝の若きエース。東京オリンピックで桃田選手の最大のライバルになると思います。プレイスタイルはフィジカルの強さを活かしたパワープレイです。少しでも甘い球が来ると一気に攻め切られてしまいます。桃田選手とも年齢が近いので今後もライバル関係は続いていくと思います。

7月に左足首に大きなケガをしてしまい、世界選手権などを欠場しています。まだ完全に復帰していないのでオリンピックへの出場権を獲得出来るかが心配ですが、東京では素晴らしい試合をしてくれると期待しています。


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Viktor AXELSEN(デンマーク)
1994年1月生まれ 世界ランキング5位
<主な成績>
・2016年 リオオリンピック 銅メダル
・2017年 世界選手権 優勝

リオオリンピックでは北京、ロンドンの金メダリストLIN Dan選手を破り銅メダルを獲得しました。194㎝と他のデンマークの選手と同様に長身から打ちおろされるショットを最大の武器にしています。あの角度のスマッシュは反則です、私に身長を分けて欲しいです。。。また、逆を突かれて追い込まれた時に見せるトリッキーなショットも会場を湧かせます。

夏場は腰の状態が悪く欠場していましたが秋には復帰して状態も上がってきています。同年代の桃田選手とは相性が悪く現在12連敗中です。ただ、現在の男子シングルスの中で一番の攻撃力を持っているため東京オリンピックはメダル争いに絡んでくるはずです。


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Anthony Sinisuka GINTING(インドネシア)
1996年5月生まれ 世界ランキング8位
<主な成績>
・2018年 中国オープン 優勝
・2018年 ワールドツアーファイナル 予選敗退

バドミントン王国と呼ばれているインドネシアですが、2004年アテネオリンピックで金メダルを獲得したTaufik Hidayat選手以降に花形種目の男子シングルスで世界のトップと呼べる選手が出ていませんでした。2018年から同年代のJonatan CHRISTIE選手とともに世界のトップ選手に勝つようになり母国の期待を背負っています。

GINTING選手はまだビックタイトルは獲っていませんが、復帰後の桃田選手に3勝にしています。桃田選手は復帰後にBWFの試合で100勝以上していますが敗けは15回で、さらに2回以上敗けたのは中国のSHI Yu Qi選手と2人だけと東京オリンピックに向けて要注意な選手です。プレースタイルは170㎝と小柄ですが素早いフットワークと巧みなラケットワークで相手を翻弄していきます。


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CHEN Long(中国)
1989年1月生まれ 世界ランキング4位
<主な成績>
・2015年 世界選手権 優勝
・2016年 リオオリンピック 金メダル

リオオリンピックで金メダルを獲得してからは大会への出場を控えていたため調子を落としていましたが、オリンピックレースが始まり戻してきました。中国の選手はオリンピック、世界選手権、ワールドツアーファイナルと「世界一」のタイトルを獲った回数がユニフォーム背面にある名前の上の星を見ると分かります。CHEN Long選手は4つの星が輝いています。

プレイスタイルは守備型でスキがほとんどありません。厳しいコースに打たれても体勢を崩すことなく易々と打ち返しているようにみえ、最も崩すのが難しい選手といえます。何度もタイトルを獲得してきた選手なので東京オリンピックで若い選手たちの大きな壁になるでしょう。


女子シングルス

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TAI Tzu Ying(台湾)
1994年6月生まれ 世界ランキング1位
<主な成績>
・2016年 スーパシリーズファイナル 優勝
・2019年 世界選手権 第3位

リオオリンピックの時も金メダル候補に挙げられていましたが、予選で敗退してしまいました。リオ後は2017年から2019年までランキング1位を維持してきました。2019年の夏に一時明け渡しましたが東京でも金メダル候補の一番手は彼女でしょう。

プレイスタイルは攻撃型でフィジカル、スキルともにトップレベルで、この選手が敗ける時はリズムを崩しミスが続いた時です。調子がいい時に勝てる選手はいないと思います。東京オリンピックの後に引退するという噂もあり本当であれば残念なのですが、リオでの反省を活かして東京ではしっかりとした調整をして臨んでくるでしょう。


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PUSARLA V. Sindhu(インド)
1995年7月生まれ 世界ランキング6位
<主な成績>
・2016年 リオオリンピック 銀メダル
・2019年 世界選手権 優勝

リオオリンピックや世界選手権など決勝での敗けが続いていましたが、2019年の世界選手権で優勝を果たしました。インド選手としてはロンドンでSaina NEHWAL選手が銅メダル。リオで銀メダルと来ているので東京ではもちろん金メダルを狙ってくるでしょう。

プレイスタイルは179㎝の長身から繰り出されるスマッシュを最大の武器にしています。この選手に良い体勢で打たせたらレシーブできません。2019年の世界選手権決勝ではレシーブ力のある奥原選手を圧倒する攻撃力で優勝しました。母国ではスタイルの良さを活かしてモデル活動も行っています。


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Carolina MARIN(スペイン)
1993年6月生まれ 世界ランキング11位
<主な成績>
・2016年 リオオリンピック 金メダル
・2018年 世界選手権 優勝

最初に書いたようにアジア勢に圧される中、リオオリンピック唯一のヨーロッパ勢金メダリストです。リオでは銀メダル・銅メダルも1つ・2つでヨーロッパの選手がなかなかメダルを獲得出来ていません。MARIN選手だけでなく他のヨーロッパ選手の活躍がバドミントンをより盛り上げるはずです。

2019年の1月に右膝の靭帯を断裂しましたが、リハビリの様子をSNSで投稿するなど復帰に向けて意欲的に取り組んでいました。その結果9月に復帰しすぐにSUPER1000の試合で優勝しました。プレイスタイルは気迫を前面に出した攻撃型で、左手からの連続攻撃は脅威です。


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Ratchanok INTANON(タイ)
1995年2月生まれ 世界ランキング5位
<主な成績>
・2013年 世界選手権 優勝
・2018年 ワールドツアーファイナル 第3位

18歳の時に世界選手権を制し、その後は6年以上世界ランキングトップ10を維持しています。その後はなかなかビックタイトルには縁がありませんでしたが、世界のトップ選手であることは間違いありません。

プレイスタイルは教科書のようなプレイで全てのショットのレベルが高いです。TAI Tzu Ying選手はリスクを恐れず難しいショットを選択してくるのに対してINTANON選手は丁寧なショットを中心にラリーを組み立ててきます。バドミントンが強くなりたい方は彼女をプレイを参考にすることをおススメしたいです。


男子ダブルス

ギデスカ

Marcus Fernaldi GIDEON/Kevin Sanjaya SUKAMULJO(インドネシア)
1991年3月生まれ/1996年8月生まれ 世界ランキング1位
<主な成績>
・2017年 スーパーシリーズファイナル 優勝
・2019年 インドネシアオープン 優勝

リオオリンピックの後に頭角を現し、2017年9月より2年以上世界ランキング1位を維持しているペアです。2人とも170㎝程で小柄ですが超攻撃型のプレースタイルで常にフィニッシュに持っていくことを考えています。前衛のSUKAMULJO選手は天才と呼ばれ、相手のショットへの読み・シャトルへのタッチ感覚が非常に優れています。ラリーが続くことが少ないので試合時間も短いです。

ワールドツアーでは勝ちまくっているペアですが世界選手権では勝てていなく今年は緒戦で敗けてしまいました。東京オリンピックに向けてどのように調整してくるのか楽しみです。


セティアーサ

Hendra SETIAWAN/Mohammad AHSAN(インドネシア)
1984年8月生まれ/1987年9月生まれ 世界ランキング2位
<主な成績>
・2015年 世界選手権 優勝
・2019年 世界選手権 優勝

リオオリンピックに世界ランキング1位で挑みましたが日本の早川・遠藤組などに予選で敗れ敗退してしまいました。その後、一度ペアを解散して別の選手と組んでいましたが2018年に再結成しました。

北京オリンピックで金メダルを獲っているSETIAWAN選手のゲームメイクが巧みで自分たちのペースで試合を展開していきます。AHSAN選手は切れ味鋭いアタックが武器で、以前に比べると体力が落ちてきていますがペース配分を調整することで対応しています。ベテランとなった2人が東京でどのようなプレイをするか楽しみです。


リリュウ

LI Jun Hui/LIU Yu Chen(中国)
1995年5月生まれ/1995年7月生まれ 世界ランキング3位
<主な成績>
・2018年 世界選手権 優勝
・2018年 ワールドツアーファイナル 優勝

リオオリンピック後から中国王朝のエースダブルスを担っているペアです。2019年のシーズンは優勝がありませんでしたが、中国はビックタイトルへの調整をしっかりと行ってくるのでメダル争いに絡んでくることは間違いないでしょう。

LI選手が195㎝、LIU選手が193㎝とともに長身で迫力ある攻撃を武器にしています。バドミントンはスマッシュなどの攻撃的なショットをより高い位置から打つことで有利な展開になり易いです。これはショットに高低・左右ともに角度がつき相手の守る範囲が広くなるためです。中国のペアはこの身長による利を最大に活かした波状攻撃で相手をねじ伏せてきます。


ランシェティ

Satwiksairaj RANKIREDDY/Chirag SHETTY(インド)
2000年8月生まれ/1997年7月生まれ 世界ランキング13位
<主な成績>
・2019年 タイオープン 優勝
・2019年 フランスオープン 準優勝

RANKIREDDY選手は19歳、SHETTY選手が22歳とまだ若いペアです。インドはシングルスでは男女ともにトップ10の選手がいましたがダブルスでは入っていません。2019年の夏からトップ選手に勝ちだしたばかりですが、今一番勢いのあるペアだと思っています。

2人とも185㎝前後と長身で中国の選手と同様に角度のある攻撃を武器にしています。また、手足も長く身体の使い方も柔らかいので腕がより鞭のようにしなりレシーブのタイミングが取りにくいです。東京オリンピックで台風の目になるのではないかと思っています。


女子ダブルス

チェンジャ

CHEN Qing Chen/JIA Yi Fan(中国)
1997年6月生まれ/1997年6月生まれ 世界ランキング1位
<主な成績>
・2016年 スーパシリーズファイナル 優勝
・2017年 世界選手権 優勝

中国のエースダブルスです。右利きのCHEN選手が前衛でゲームメイクを行い、左利きのJIA選手が後衛から力強いスマッシュを打ってきます。CHEN選手は2017年に混合ダブルスでもタイトルを獲得していましたが2018年から女子ダブルスに絞ってきました。

北京、ロンドンでは中国の選手が圧倒的な強さでしたが、日本をはじめとした他の国も強化を進めてきたため状況が変わりました。また、ラリーのスピードもどんどん速くなっており配球やローテーションも男子ダブルスに近くなってきています。


イシン

LEE So Hee/SHIN Seung Chan(韓国)
1994年6月生まれ/1994年12月生まれ 世界ランキング5位
<主な成績>
・2018年 ワールドツアーファイナル 準優勝
・2019年 世界選手権 第3位

韓国はリオオリンピック後に代表選手の若返りを図りました。様々なペアの組み合わせを試し、2018年のはじめから4つのペアを確定してワールドツアーに挑んできています。

韓国は伝統的に粘り強いレシーブを武器にしていますがこのペアはその上にハーフ球と呼ばれるローテーションの隙をつくショットへの処理が上手くアタックを続けることが出来ます。日本の福島・廣田組に近いスタイルです。


キムコー

KIM So Yeong/KONG Hee Yong(韓国)
1992年7月生まれ/1996年12月生まれ 世界ランキング6位
<主な成績>
・2018年 世界選手権 第3位
・2019年 韓国オープン 優勝

このペアは2017年の末から組んでいます。2018年は日本の選手がワールドツアーで数多く優勝をしましたが2019年になり特に韓国が日本選手の研究をしてきているようで勝つことが増えてきました。東京オリンピックでは熾烈なメダル争いになることが予想されます。

このペアはKONG選手が気迫あふれるプレーで積極的に仕掛け、KIM選手が上手くカバーをしながら展開を作っていきます。守備も攻撃も粘り強く行ってくるので相手にすると嫌なペアです。


ポリラハ

Greysia POLII/Apriyani RAHAYU(インドネシア)
1987年8月生まれ/1998年4月生まれ 世界ランキング8位
<主な成績>
・2018年 世界選手権 第3位
・2019年 世界選手権 第3位

現在の女子ダブルスは日本・中国・韓国が強くランキング上位をほとんど占めています。そんな中で唯一対抗できるペアがこのペアです。POLII選手はリオオリンピックに出場し(ペアはMAHESWARI選手)、予選リーグを突破しました。30歳を越えるベテランでパートナーの強打を導きます。RAHAYU選手は若く力強いショットを得意にしています。

リオオリンピックで銀メダルを獲得したデンマークのPEDERSEN・JUHL組が引退して以来、日本・中国・韓国の選手に対抗出来るペアが出てきていません。このペアをはじめ東京オリンピックで女子ダブルスが盛り上がるためには3国以外の選手の活躍が必要です。


混合ダブルス

ゼンファン

ZHENG Si Wei/HUANG Ya Qiong(中国)
1997年2月生まれ/1994年2月生まれ 世界ランキング1位
<主な成績>
・2018年 世界選手権 優勝
・2019年 世界選手権 優勝

2018年の8月から世界ランキング1位を維持しています。2018年は9大会、2019年は6大会と勝ちまくっているペアです。東京オリンピックで全種目を通して金メダルに一番近いと思います。ただ、他の選手も研究をしており徐々に差は縮まっているようにみえます。

このペアの武器はZHENG選手の多彩な攻撃です。エースショットを複数持っているため相手に的を絞らせません。また、混合ダブルスでは女子選手に攻撃が集まりますがHUANG選手は男性のスマッシュも捌くのが上手くZHENG選手の攻撃につなげます。世界ランキング3位の渡辺・東野組が記者に対して「どうしたら勝てると思いますか?」と逆質問してしまうくらい強いです。


ワンファン

WANG Yi Lyu/HUANG Dong ping(中国)
1994年11月生まれ/1995年1月生まれ 世界ランキング2位
<主な成績>
・2018年 ワールドツアーファイナル 優勝
・2019年 世界選手権 第3位

中国の2番手にして世界の2位です。2018年、2019年と何回この2組で決勝を争ったか分かりません。混合ダブルスは常に中国の選手が世界をリードしてきましたが東京でも中国の強さを見せつけられそうです。

プレイスタイルは180㎝を超えるWANG選手の力強いスマッシュを中心に戦ってきます。HUANG選手も気迫を全面に出しネット前に詰めてくるため対戦相手への迫力は凄まじいです。


ジョーオク

Praveen JORDAN/Melati Daeva OKTAVIANTI(インドネシア)
1994年4月生まれ/1995年1月生まれ 世界ランキング5位
<主な成績>
・2019年 デンマークオープン 優勝
・2019年 フランスオープン 優勝

今年のデンマークオープンで上記の中国ペア2組を破り優勝を果たしました。同一大会で中国の2組を破ったのは今のところこのペアだけです。JORDAN選手はリオオリンピックに出場(ペアはSUSANTO選手)してベスト8でした。

このペアの特徴は何といってもJORDAN選手のスマッシュです。現役選手で一番の破壊力のあるスマッシャーだと思います。リオの時は上がってきた球全てにフルスイングする勢いでしたが現在はスマッシュを意識させて躱すショットも使ってきます。2018年から組んでいますがローテーションで迷っていることが未だにあるのでオリンピックまでにどこまで練度を上げられるかが勝敗を分けると思います。


チャンゴー

CHAN Peng Soon/GOH Liu Ying(マレーシア)
1988年4月生まれ/1989年5月生まれ 世界ランキング6位
<主な成績>
・2016年 リオオリンピック 銀メダル
・2019年 世界選手権 第5位

マレーシアはバドミントンを国技にしていますが今までオリンピックで金メダルを獲得出来ていません。国民的スターでバドミントン界のレジェンド、男子シングルスのLEE Chong Wei選手も3大会連続で銀メダルでした。マレーシア悲願の金メダルは東京で叶うのでしょうか。

プレイスタイルは万能型で全てのショットをそつなくこなし、チャンスとみるやGOH選手はネット前に詰め、CHAN選手は後衛から切れ味鋭いスマッシュを打ってきます。

#バドミントン #東京オリンピック

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