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映画・アニメ・小説・ゲームの感想

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いろいろな映画・アニメ・小説・ゲームの感想を雑にまとめたものです。
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#ネタバレ

映画『シン・ウルトラマン』『バブル』に登場する「宇宙を支配する数式」と、地球外知性に対する人類側のメンタリティ

(前半ネタバレなし、後半ネタバレあり) 映画『シン・ウルトラマン』と映画『バブル』に出てくるガチ数式が実は同じものっぽい、というネタを肴に、この2つの映画の似てるところ、違うところ、特に地球外知的生命のメンタリティあたりをゆるく語るだけの記事です。……いや、正直に書きましょう。noteの数式機能を使いたかっただけの記事ですw 実は、この記事を書き始めたのは実は2022年6月だったんですが、なんだかんだで書きかけのままほったらかしになっちゃってました。ですが、先日久しぶりに

信頼できない語り手たちの信頼できる狂気——『ミウ -skeleton in the closet-』を勝手に深読みしてみる

(ネタバレあり)乙野四方字先生の『ミウ -skeleton in the closet-』を読みました。 ライトなミステリ、といった風情の作品であり、実際そうなのだと思うんですが、『僕愛』『君愛』や『正解するマド』といった四方字先生の過去作品群を読んでしまっていると、もはやそのままライトに読めない自分がいるんですよね。何かギミックがあるのではないかと勝手に勘ぐってしまう。 作中ではある殺人事件が提示され、最終的に犯人とその犯行動機やトリックが鮮やかに曝かれて、物語はきれい

原作への敬意とガチSFに溢れた唯一無二の映画体験——『僕愛君愛』映画版が描くもう一組の並行世界の物語

2022年10月に公開された映画、『僕が愛したすべての君へ』と『君を愛したひとりの僕へ』。 先に原作小説を読んでいたのでドキドキしながら鑑賞しましたが、めちゃくちゃ良かったです! 小説の映像化にありがちなコレジャナイ感が皆無で、よくぞここまで原作の世界観を映画にしてくれた、というのが第一印象でした。プロット的には決して原作そのままの映像化ではなく、むしろ改変要素がかなりあるのですが、それすらも非常に納得の行くものと感じました。 原作小説についての記事は以前書いたので、今回

『僕愛君愛』ロケ地マップを作ってみました

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』『僕が君の名前を呼ぶから』について、小説・映画にまたがったロケ地マップを勝手に作ってみました! 随時更新していきます。聖地巡礼のお供になれば幸いです。 https://www.google.com/maps/d/embed?mid=1G4kD0XbGYmk2TMpOOpvtkHrNxH9meWs&ehbc=2E312F&ll=33.252527791008845%2C131.59581168292098&z=12 作って

虚質科学を武器に、すべての世界を肯定したい——『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』を雑に解釈してみる

(前半ネタバレなし)どちらから読むべきか悩ましい『僕愛』と『君愛』。めっちゃエモい並行世界SFでした! 付け焼き刃で学んだ「虚質科学」を武器に、まずは原作だけ読んだ状態で語り散らかしたいと思います。 (追記:映画観ましたがすごくよかったです!本記事は映画の参考にもなるかもしれません。映画だけ観た方への注意点をこの記事に追記しました。また映画の感想は以下の記事に書いています↓) 自分なりに図や表を描いて解釈しようと試みていますが、全然自信がないので、他の方の考察もぜひ教えて

「ヒトの視点」から問い直す『正解するカド』の衝撃ラスト——オンエア5周年記念短編『カド -ゴ-』を読む

2017年に放映されたTVアニメ『正解するカド』。2022年6月末、オンエア5周年を記念して、後日談を描いた短編小説『カド -ゴ-』がFebri上で無料公開されました。本記事はこの小説と『カド』本編に対する雑な感想です。 「ゴ」——「五」、あるいは「後」の物語。『カド -ゴ-』の舞台は、現実世界と同様に本編から5年が経過した世界。つまり、2022年6月です。こういう、現実と作中の時間経過が同期してる作品が自分はめちゃくちゃ好きなのですが、自分はリアタイ勢ではなかったのでリア

「指揮される側」の切なさ——『ヘブンバーンズレッド』4章DAY0が突きつけるこのゲームのリアル(ネタバレあり)

『ヘブンバーンズレッド』(ヘブバン)4章をついにプレイ開始したんだけど、冒頭DAY0の時点でもう何か書かずにいられなくなってしまったので書かせてほしい。 当然、4章DAY0までのネタバレを含むので、未プレイの方はそっ閉じしてください。またDAY0までしかやってないので、DAY1以降を読んだら全部ひっくり返る可能性がある諸刃の剣なんだけど、そこはご了承を。DAY0読んだだけの状態で書くってどう考えても頭おかしいのだけど。そして、たぶん公式はこんなこと全然考えてないし、あくまで

Twitter以上note未満——いろんな作品のふせったー感想を整理してみた

映画やアニメ、ゲーム、小説の感想をつぶやきたいけどネタバレになるし140字では伝えきれない、とはいえnote記事はしっかり書くのに時間が掛かる、ということで最近はふせったーを「Twitter以上note未満」な感想置き場として活用しています。 雑でいいのでとにかく拙速にアウトプットしていくスタイル。そのなかであらためてちゃんとまとめたいなと思ったものをnoteに昇格させていく感じです。またnoteは完走後に書くパターンが多いのに対し、こちらは現在進行形でどんどん書いていく方

フィボナッチ数列から感じるガチめのSFマインド——映画『バブル』の雑な感想と幻聴

(ネタバレあり)鳴り物入りでネトフリ先行配信した映画『バブル』なんですが、ネトフリ先行組からは否定的な感想が、映画館組からは肯定的な感想が上がってきてて、なんだこれはどういうことだ?? と思って正直観るかどうか迷ってました。劇場で観ると化ける作品なのかな? お話よりパルクールや映像美が圧倒的なのかな? と。 しかし、どうも「フィボナッチ数列」が出てくるらしいとか『未知との遭遇』のオマージュとなる音階が出てくるらしいと聞いて、ガチSFの片鱗を嗅ぎ取りまして、レイトショーに足を

君を忘れても僕は連れてくよ——『ヘブンバーンズレッド』の雑な感想と幻覚強めの妄想(2章まで)

(2章までのネタバレあり)別にゲーマーってわけじゃないんだけどゲームは本質的に結構好きです。そんな中で今かなりハマってるのが『ヘブンバーンズレッド』(以下「ヘブバン」)、Keyの麻枝准さんとWFSが手がけるスマホ用RPGです。 ゲーム内のとあるキーワードが「Hello world」であると知って、この文字列をフィーチャーする作品にハズレはない!という確信でプレイを開始した次第なのですが(同タイトルの映画を観たきっかけもそれでした)、「いい予感」は当たるもので、ゲームもシナリ

『正解するカド』、メタ視点で観たらこんなに面白いってことを全力で訴えたい

2017年のTVアニメ『正解するカド』を今頃になって観たらラストまで含めて個人的にはめちゃくちゃ面白かったのですが、世間の声を見ると面白かったという境地に辿り着いてない人が多いみたいで、もったいない!! ということで、『カド』のここが自分は面白かったんだー!と叫ぶだけの記事です。 もちろん自分の解釈が「正解」である保証なんてまるでありません。解説や考察からはほど遠い、贔屓目と相当に変態的な見方に基づいた、ただの妄想であることは自覚してます。ラストが賛否両論なのも当然だとは思

これはアシモフの正統な翻案だ——映画『アイの歌声を聴かせて』の雑な感想

(ネタバレあり)この記事は映画『アイの歌声を聴かせて』の雑な感想を垂れ流したものです。 ミュージカル映画のもつ「不気味の谷」の扱いが巧すぎるまず、これはすでにあちこちで散々言われているっぽいけど、強く思ったのは「ミュージカル映画」にこんなに巧くメタな必然性を持たせた映画を観たことがないってことだ。 たいていのミュージカル映画は登場人物が突然歌い踊り出すし、彼ら側に感情移入させようとする。慣れてない観客は若干面食らうし、ノリノリの登場人物との間に「壁」を感じてしまう。ところ