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【平沢進】'98夏「ベルセルク」エンジョイ&エキサイティングフェスティバル(1998.08.28.FRI 有楽町よみうりホール)

【追記】2021年5月6日(木)、『ベルセルク』作者の三浦建太郎先生がご逝去されました。生前のご活躍に魂から敬意を表しますと共に、心よりご冥福をお祈り致します。

【概要】

ヤングアニマル特別企画
'98夏「ベルセルク」エンジョイ&エキサイティングフェスティバル
1998年8月28日(金)
開場:16:00 開演:17:00

■出演
森川智之
白鳥由里
三浦建太郎
平沢進(サポート:福間創)※ミニライブのみ出演

ヤングアニマル本誌(1998年13号か14号)の応募券でハガキで応募、当選した500組1000名のみ入場。入場特典は「ベルセルク」のポスター。

▼当時のヤングアニマル本誌での告知(出典:平沢博物苑
http://www.pinkytrick.com/p/img/flier/1998berserk_event.jpg

【開場】

雨の中を有楽町へ。座席は入場引換チケットを渡すことで、受付スタッフが引いたくじ(観客が引くわけではない)によって決定。引換チケットの裏は「ベルセルクについての質問をどうぞ」の欄があり、引き換え前に書いておくと、イベント内のコーナーで答えてくれるかもとのこと。

物販にはベルセルクのグッズや会場限定アパレル、平沢さんのCDなど。

画像1かっこいい

なお、このテンションの高いイベントタイトルは、ベルセルクに出てきた黒犬騎士団の、団員心得です。ありがたく心の中で復唱。
あくまでベルセルクのイベントだからとはいえ「平沢進と『エンジョイ&エキサイティング』の語感を同居させたのすごいぜ…」と思いながら開演を待ちます。

【第1部その1:森川さんと白鳥さん】

オープニングは「剣風伝奇ベルセルク」(1997年10月7日~1998年3月31日放送)の映像。イベント用の特別OPに続いて、第1話を上映。

その後、進行役の森川智之さん(グリフィスの声)と白鳥由里さん(シャルロットの声)が登場し、ご挨拶。サントラの曲が流れる中、アニメ版のベルセルクの裏話などをしてくれました。

森川さんは最初、ガッツの役のオーディションを受けたそうですが、イメージが合わずに落ちてしまい、代わりに与えられたのがグリフィスだったそうです。白鳥さんはオーディション無しに、直接依頼が来たとか。

■プロによる生アフレコ
せっかくだから、実際にアフレコをやってみましょうと、アニメ第10話『貴きもの』での「宮廷の噴水の前で、グリフィスがシャルロットに『友とは何か』を語るシーン」のアフレコを、何とリハ無しのぶっつけ本番で!

通常、アフレコはテレビモニター程度のサイズで映像を観ながらの収録ですが、今回はホールの大スクリーンで、しかもステージからの視覚では映像もボヤけて大変なのでは…?という感じでしたが、そこはさすがプロ。入り方の難しいシーンもキュー無しでスッと入り、カットのズレもなく終わりました。お見事!

無事終わってホッとした森川さん、

森川さん「もう後は怖いものないですね!」

この後のミニライブで怖いおじさん出てくるけどね!

【第1部その2:森川さんと白鳥さんと三浦さん】

ここで原作者の三浦建太郎先生がスーツ姿で登場。
確かこの時が、作者として公式に人前に出るのが初だったはずです。自画像(本誌告知にあるもの)と似てますが、印象は大分違いますね?!?!!?
ガタイの良い(太っているのではなくガッチリしている)、しかし若くてとても凛凛しい風采の方でした。

■アニメ化について
最初は「画や作品全体の出来などが、自分のこだわりはもちろん、ファンの期待を裏切るものにならないか不安だった」そうですが、出来上がりの第1話を観て、あまりの凄さに「これなら任せられる」と、太鼓判を押されたとのこと。作者だけど、第1話は普通にオンエアーされたものを観たとかw

声の配役に関しては監督に一任。
グリフィスの声が男性に決まったのは、ちょっと意外だったそうです。
アニメ版のパート2は全く予定はなく、ファンの皆さんが盛り上がればあるかも…というお話でした。

なお、このお話から14年後の2012年には劇場版三部作、18年後の2016年7月からはアニメ版パート1の続編にあたる、パート2が放送されています。パート1からはスタッフも声優もほぼ一新されていますが、妙な歌の人だけお変わりなく、現在に至るのはご存知の通り。

■ゲーム化について
続いてアスキーの担当者さんを交えて、ゲーム化についてのお話。
「挌闘ゲームRPGで使徒と闘う」ということで、新キャラも登場するオリジナルストーリーを、三浦先生自ら担当、絵コンテを描いている最中とのこと。この方も平沢さん同様、お仕事大好き人間か…!

会場の参加者からもゲームへのリクエストを募集しつつ、発売は来年の寒い頃に出るか出ないか…というお話でした。

約束通り、翌年の1999年12月に『千年帝国の鷹篇 喪失花の章』が発売されています。

このゲームで平沢さんの曲が使われるのかどうかは、このイベント時点ではまだ言及されていなかったのですが、無事(?)主題歌で『FORCES II』、エンディングで『INDRA』が使用されました。

■イベント第2部について
この後は休憩をはさんで、音楽を担当された平沢進さんのミニライブです、というお話の中で、

森川さん「(客席に向かって)三浦先生は平沢さんの大ファンなんですよー」

もうこれだけで三浦先生、デレデレw。わかるぞ。
森川さんもアニメ版のサントラは既に持ってるとのことで、

森川さん「白鳥さん持ってる?」
白鳥さん「持ってないです…」
森川さん「ロビーで売ってるんで買ってください!」
白鳥さん「か、買います!」

この間も三浦先生、ニコニコw
あんなダーク過ぎるダークファンタジー描いててガタイもいいのに、何故だかとにかくキュートな方でした。

【第2部:平沢さんと福間さん】

15分ほどの休憩を挟み、ミニライブへ。

正味な話、当時ベルセルクファンはさておき、声優ファンから見たら「平沢進って誰…?え、音楽担当?そんなBGMなんて覚えてない…」ぐらいの感じだったハズで、そんな人たちの前で、ましてや主催の白泉社の面前で、一体どんなライブをやらかすつもりなのか、かなりハラハラ。

スモークの香りが立ち込めてきて、暗転。
幕が開くと青い照明の中、God Hand mixのイントロが流れる、我々にはいつもの平沢テイスト、普通に考えたら大変不穏な雰囲気w
いや、ベルセルク的にはイメージ通りなのでセーフセーフ。

『FORCES』
イントロの旋律(ここからはGod Hand mixじゃないほうだったはず)と共に照明がつくと、センターに平沢さん、右側に福間さん。福間さんは客席ではなく、平沢さんのほうを向いたセッティング。

■今回の衣装
衣装は福間さんが黒のスーツ、平沢さんが(平沢さん曰く)「黒い厚手のコートからダクトが生えている」、つまり最高に変な服。観客は全員何かしらのオタクで、突飛な世界観にも慣れているとはいえ、一般人の前でそんな珍妙な服を!やったぜ!(?

ざっくり言うと、ネットでたまに見かける例の黒いホースの衣装なんですが、FC会報 GN Vol.2の24~25P『19971206 P-MODEL in THAILAND』(タイのロックフェスに初出演した時のもの)の写真と、同じです。

ってことはこれ、初登場の場所で着る、文字通り勝負服だったんですね…!

■今回の機材
機材は(当時の)いつものJP-8000他。

「珍妙な楽器しか使ってない2020年」から考えると、普通の市販のシンセを、普通の市販のキーボードスタンドに乗せてるので、逆に「何で……?いや正しいのか…正しいとは何だ…?」って気持ちになりますね…。おいどうしてくれるんですか…。

福間さんのキーボードスタンドには、当時P-MODELライブ時使用のキーボードスタンドにも貼ってあったタイ王国のシールが。

画像2この3つのどれか。確か左下の、ラーマ9世在位50周年記念のやつです。

そして平沢さんの胸元から足元へ伸びているダクトホースのうち、右半身側の1本は、何故か鍵盤の上、手前から客席側へ渡し掛けたような状態に。

いやそのダクトホース本当は邪魔なんですか?!
その置き方も鍵盤の邪魔ですよね?!

『救済の技法』
ツッコミを入れる間もなくこの曲へ。
曲に合わせてシンセに拳を振り下ろす、(当時の)救済の技法スタイルでお届け。このフリは福間さんも隣で一緒にやっていて、

いそげよ|ニューロンの|ニューロンの|た に ま へ
拳    拳      拳      2本指で4回

という感じで(伝わって欲しい)シンセをぶっ叩いてました。

『庭師KING』
立て続けにこの曲へ。MCありません!だろうな!
福間さんはスクリーンのアニメにちょいちょい視線が釘付けになってて、師匠の前ではもう少し集中なさってくださいw。しかし打ち込みだから問題ないんだろうな等と思ったり思わなかったり。

ライブ全体通してそうでしたが、平沢さんと福間さんで完全に「静」と「動」に分かれていたのも面白かったです。平沢さんはビジュアル的にひたすら「なんか怖い人」役ですw。

『TOWN-0 PHASE-5』
さらに間髪入れずこの曲へ。
背後でPV(平沢さんの顔が街を闊歩する例のやつ)かかったらどうしよう…と思っていましたが、流石にベルセルクのイベントなので、スクリーン映像は引き続きアニメ版の抜粋映像。

この曲と言えば間奏のギターですが、その衣装で、しかも鍵盤にダクトホース掛けてる状態でどうする気だ?と思っていたら、

1. ダクトホースを元通り足元へ垂らす
2. ギターのストラップを右肩にのみ掛ける
3. アンプに足をかける
4. 弾く
5. 弾き終わったらギターをスタンドに戻し
6. ダクトホースを再び鍵盤に掛ける
(どうして)

以上です!Yin-Ya!!

アンプに足をかけるのは、ストラップを片掛けしてる都合、安定させるためだったのでしょうが、その格好でロックなポーズなのでファンは大盛り上がり。そして一斉に(ダクトホースを)「(…戻した?!)」と心で思った1曲でした。

以上4曲で幕がスーッとしまり、ミニライブは終了。
一言も喋らず、そしてこの後も一切出てこずでした。まあ、ベルセルクのイベントなので、ヒラサワというだけで盛り上がるのも失礼だったことでしょう。いやー濃密な4曲でした。

【第3部:質問コーナー】

引き続き森川さん、白鳥さんが登場。
平沢さんの代わりに、森川さんが10月のインタラ(1998年のワールドセル)の宣伝をしてくれましたが、ずっと「(このインタラクティブ・ライブって何だろ…?)」というお顔をされていて、むしろ嬉しくなってしまう平沢ファンの悲しい性よ。

宣伝の後に三浦先生が登場すると、なんとヘッドセットマイクを装着済。

森川さん「…先生?!平沢さんに影響されたんですか?!」

三浦先生、デレデレw
このイベント会場で一番キャーキャー言われるべき三浦先生ですが、もはやただの平沢ファン状態で最高でした。

ここからはヤングアニマル編集部からベルセルク担当の方も交えて質問コーナー。入場時の引換券の裏のやつですね。ちなみにこの担当の方もヘッドセットマイクで登場して、再びきゃいきゃいとはしゃぐステージ上の方たちと、それを観てほっこりする場内。

当時は単行本16巻が出たばかりの頃なので、その宣伝も行われましたが、

森川さん「僕は全巻持ってます。白鳥さんは?」
白鳥さん「持ってないでs…」
森川さん「…」
白鳥さん「か、買います!外で買います!」

このコンビかわいい。

質問は、券そのものをくじ引きにして選択。妖精パックについてのことが多かったですが、三浦先生自身への質問や、中には「ガッツの髪形は一体どうなってるんですか」という質問も。ちなみに「上手い事なでつけてある」そうですw

自身の今後の展望については「本当は他の作品もやりたいが、まずはベルセルクに注力して、全て終わった後に手を付けてみたい」とのことでした。

なおこの日から22年経った2020年、まだ完結していません!Yin-Ya!!

【第3部:プレゼント大会】

第3部はプレゼント大会。

■くじ引き
三浦先生がくじを引いて、出た座席番号の人にプレゼントが当たるというもの。

プレゼントは香港版、台湾版、イタリア版、タイ版のそれぞれベルセルク単行本セットやグッズ福袋、ジグソーパズル、サイン付きアニメ台本(全冊!)、本誌つながりで『ももいろシスターズ』のコミックス等々、全て三浦先生のサイン色紙と握手付き。豪華!!

イタリアでは(当時)ドラゴンボール→ドラえもん→ベルセルクという順で人気があるとか。また、タイは戒律の厳しい国なので、例のガッツとキャスカが激しくイチャコラするシーンは一部カット、女性の胸が出てはいけないので、すべて効果音(擬音)の描き文字で隠してあるとのことw。そっちのほうがエロいのでは…。

実はこのタイ語版コミックスは私が当てたのですが、本家より相当エロかったです…。本は引っ越しの際に置き場所がなく、欲しい人に譲ってしまいましたが(ごめんなさい)、サインはまだ持ってます。

画像3※チラシは翌年のものですが、ついでに掲載

■じゃんけん大会
先生と勝負して最後まで残った1人に、描き下ろしの原画(ガッツ)+ベヘリットのフィギュア(ただし深紅ではなく銀色)をプレゼント。

■シールくじ引き
担当者の方が「描き下ろしは1点で良い」と言ったのに、三浦先生がグリフィス・キャスカ、シャルロット、ジュドーの絵も描いてくれたとのことで(先生よ…)、これも大放出。

「今座っている座席の裏(元の状態に戻した時に一番下になる部分)にシールがある方が当選です」と言われ、ザワつく会場。座面の裏ではない為、通常なら絶対気付かないところに貼ってあるという、これはいい方法。
空いてる席からシールを探し出した強者も居ました。

『あっぱれパックの絵』のシールが貼ってあった人に上記原画がそれぞれ当たり、『毒パックの絵』だった人には、駅に貼ってあるバージョンのポスターとサイン色紙。
こちらのサイン色紙は全部違うイラストが添えられていて(いやほんと先生よ…)、大スカはミッドランド国王のアップ。ひどいw

【三浦先生からごあいさつ】

最後は三浦先生からご挨拶。
連載から8年も経つのにファンサービスの1つもせずにすみません、とのこと。

三浦先生「その時間の分を作品の方に注いでいますのでお許しください。今日は雨の中、本当にありがとうございました」

最後にヤングアニマルの編集長がご挨拶をして閉幕。
『BERSERK~forces~』のカラオケ版が客出し音楽でした。

【終わりに】

あれから劇場三部作も公開され、声優のキャストも代わったアニメ版パート2も2期放送され、このイベントから19年後の2017年4月2日には、再びベルセルクのイベントと平沢さんのミニライブが行われましたが、

岩永さん、これは相当かがんでらっしゃいますね…!(言うな

それは進というにはあまりにも小さすぎた みたいなやつですね?!
(岩永さんは187cm、平沢さん16…略


さておき、当時は平沢さんと三浦先生の生トークも聞きたかったな…と少し思いましたが、平沢さんのいつもの「人の度肝を抜いて、そして返さない」ライブが観れて良かったです。抜かれてから返されることなく数十年経ってますが、このまま一生返さなくて結構です。

そして三浦先生、お疲れさまでしたと言うにはあまりにも急逝で、とても驚いています。ステージ上で握手をしてもらった際、緊張しすぎて思わず左手を出してしまいましたが、驚くほどガッチリと力強い握手をしてもらったことを覚えています。どうぞ、安らかに。

以上で改定レポを終わります。


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