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【P-MODEL】「LIVE電子悲劇 COLOR-3」(1998.02.01.SUN 名古屋CLUB QUATTRO)

【概要】

LIVE電子悲劇 COLOR-3
1998年2月1日(日)名古屋CLUB QUATTRO

■LIVE電子悲劇とは(出典:平沢博物苑
http://www.pinkytrick.com/p/img/flier/1998lived_1.jpg
■簡単に言うと
要はP-MODEL版インタラクティブ・ライブ
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1. ライブ中に難関が発生
2. 会場の観客が決めたプロジェクト名と共に、P-MODELがオンラインボイジャー(要は宅オ、以下OV)へ救援を依頼
3. OVが問題解決ページにて解決策を探し、次のライブ会場へ託す
4. 次の会場でそのプロジェクトを開き、問題解決していればライブ続行
5. 解決しない場合はツアー中止となる。だってそうでしょ?だってそうだもん。(平沢さん談)
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というのを合計8日間、7回続けます。
病原体ENOLAを撃退するには、COLOR-0にある「COOSHIN(くうしん)プロトコルの書」が必要なので、我々はP-MODELの乗船する「Black in White船団」と共に旅をする、というお話です。
■他の日のレポート
COLOR-6(東京) COLOR-5(仙台) COLOR-4(札幌) COLOR-2(大阪) COLOR-1(博多) COLOR-0!(東京)

【セットリスト】

B-FILE(COLOR-6とのアンコール違い)
1. ASHURA CLOCK
2. HIDDEN PROTOCOL
3. BA-DA-DHA
4. Rocket Shoot II
5. LAYER-GREEN
6. COLORS
7. BOGY
8. ENN
9. 衛星ALONE
10. はじまりの日
11. AFFIRMATION
12. ソリトン
13. BIG FOOT
14. Black In White
15. Spiritus
16. OH MAMA!
17. ENOLA
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18. Heaven
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19. Solid air

【開演前】

この憎たらしい(4DEMの)声優は誰なのだ!(航海日誌より)

小西さんのRoland JP-8000のロゴに貼り付けられた缶バッジは、COLOR-4と同じ。あれが最終形態なんですね…。
さておき、今回もOV達は解決に挑みます。

■COLOR-4の難関おさらい
・アイテムとこけしのおかげで船団スピードは確保できた
・しかしモニターからLAYER-GREENが消失してしまった?!
⇒プロジェクト名「gomuningen」でOVに調査を依頼

今回はテキストばかりのヒントが続出。

1. LAYER-GREENは、よく見たらTerry Greenというアメリカ人だった。この物語は無かったことにする。
2. 平沢が嘘をついているので、有給をとらせて物語を作り直させる。
3. モニターカメラに大量の蟹がへばりついてるので捕獲して進む。
4. LAYER-GREENは爆発四散した。戻る道もないので先に進む。

期待をかけたいのは3ですが、4…4は困りますね…
祈るような気持ちで本日も小西さんと福間さんの答え合わせコーナー開幕です。

【前説】

観客「gomuningen!」

という訳でラバーメン改めgomuningenのプロジェクトを開くと、大量の蟹やらテニスサークルの集合写真(Terry Greenさん)やらでいっぱい。そんな中にあった、小西さんの書き込みを開いてしまう福間さん。

[告白。スマン]
「すまん。蟹と言えばあの忌まわしくも遠い記憶が脳裏に浮かぶものがある。実は昔、罪深い私は蟹道楽などと言う名の音源定着物を制作した覚えがある。しかし定着された音源の響きは耳にした事がない。画像が小さいのがせめてもの救いでもある」

(当時の書き込みより引用)

80年代に小西さんが手がけた曲に「蟹道楽」というタイトルのものがあるというのは有名でしたが、当時でもなかなか見つからないソノシート音源でした。それを御自ら告白してネタにするとは…!現在は「4-D 1982→1985 Die Rekonstruktion」に収録(AFTER DINNER PARTYも収録)されています。

小西「福間ぁ!これは見せるなと言っただろう!」
福間「すっ、すいませんん!」

などという小芝居を挟みつつ、あるOVの調査メッセージを確認すると、そこにはハッブル天文台から撮影されたとされる、星の爆発写真。

4DEMによるとこれが「LAYER-GREENの爆発写真」だそうで、ええーよりによって4が正解なのおおお。さらに悪いことに、写真にあるリング状の光は、爆発によって引き起こされた「非局所性津波」とのこと。

それが何なのか、詳細は説明されませんでしたが、とにかくその「非局所性津波」に追いつかれる前に、航行を開始しましょう、ということに…。えええちょっと待って本当に爆発しちゃったのおおお。

【開演】

『ASHURA CLOCK』
ツアー(航路と言いなさい航路と)も折り返しに来たせいか、ライブ中の平沢さんの「うわのそら感」がだんだんと減っていくのがありありとw。

単純に会場の音の鳴りの違いというだけなのかもしれませんが、今日は全体的にアレンジをちょっと替えました?というぐらいバキバキとした音と、隙のないピリッとしたステージング。

ちなみに当時の航海日誌(ネットでライブのたびに更新された公式のツアーレポート)によると、セットリストはアンコールを除き「ENOLA始まり」と「ASHURA~始まり」の2種類とされていて、今日はいわゆるBファイルです。

『HIDDEN PROTOCOL』
初日からずっとやってきて、ようやく歌詞を間違えなかったですね…!そしてツアー中、ドラムは聴こえるのに、タイナコが静止画のままで曲半分くらい進んでしまう、ということが何曲かあったうちの1つがこれ。福間さんのトリガー操作が音だけで終わってしまって切ない。

『BOGY』
これもツアー初日から正直ずーーーーっと「(福間さんの声小さいな…全然聴こえん…)」と思ってましたが、今日は最初から大きな声で!活舌もいい!歌いながら手持ち無沙汰のポーズもしてない!立派になって…!(号泣)

今日は音楽的なトラブルもないので、ステージング含めてやはり皆さん調子が良い様子。

『ENN』
この曲のイントロ(問:どこまでをイントロとしてるんですか)では、小西さんが印を組んだり手の平を外側に向けたりする一連の動きがありますが、ここにきて、これまでと動きを逆順にするなどの変更が。小西さんまで振り真似をするファンをおちょくってますね…!

【航行ストップ】

『Affirmation』
ここで4DEMにより航行がストップ。
先ほどのLAYER-GREEN爆発によって引き起こされた「非局所性津波」に、ついに追いつかれてしまったとのこと。このままやり過ごすしか手はありませんが、注意点が2つ。

・非局所性津波の中では皆さんと、皆さん以外の全てのものとの境が無くなる
・もしも相手のことを「あなた」や「キミ」と呼ぶと、宇宙から放り出されてしまう
→よって、通り過ぎるまで、決してお互いを2人称で呼び合ってはいけない

これを破ると「非局所性定義致死」という死が待ってるという4DEM。待ってるんだからしょうがない。舌噛みそうな名称ですね。

そうこうしているうちに非局所性津波がやってきて、場内が暗くなり、まぶしい光だけが舞台奥から客席へわあっと流れ、ゴーっという轟音が会場全体を足元までビリビリと奮わせながら這っていきます…。(めちゃ怖かった)

何とかやり過ごしましたが、この先もまた非局所性津波が来たら大変なので、OV達に調査と回避方法を依頼します。

【プロジェクト名を設定】

観客から挙げられたのは「パンダイルカ」。本日も平沢さんからの口頭補足が入り、文字数やスペルなどの問題が無いか、小西さんへ確認が取られましたが、

小西「スペルは良いです。しかし何ですかそれは…」
平沢「私には計り知れません…」

画像1

おじさまがた…!🐼🐬

ちなみに今回から、OV達の集うチャットルームは、会場側が「ATTENTION」と打ってから「SAY」と打つまでは何もせず、おとなしく会場からのメッセージを待つというシステムが採用。また、HTMLタグを使って目立とうとしないように自粛規制も出たとかで、比較的穏便な進行でした。

といっても1998年のネット回線状況なので、レスポンスはもったりグズグズなのですがw、何はともあれ航行再開です。

【航行再開】

という訳で、本日COLOR-3の難関は下記のようになりました。

■COLOR-3の難関
・LAYER-GREENが爆発し、消滅してしまった
・その結果「非局所性津波」が発生してしまった
・今後も来るのか、回避方法はあるのか、調べてほしい
⇒プロジェクト名「pandairuka」でOVに調査を依頼

『BIG FOOT』
昔の曲はライブで聴く機会が少なくなる所為か、別の理由か、すごい盛り上がり。そしてここでスクリーンの留め具が外れてしまったらしく、タイナコの右腕に当たる部分だけが床に落下。LAYER-GREENに続いてTAINACOの右腕まで消失とは…!

それでも、無い右腕から太鼓の打音は響き渡ります。
SFチックで夢があるな、Virtual-Drummer。

『OH MAMA!』
間奏は、小西さんが改造パワーグローブでステージを右に左に大暴れ。今回は小西パートになるらしく、その間にそっと休む平沢さんと福間さん。そして二人で温かく小西さんを見守るw。観すぎ観すぎ!

▼改造パワーグローブとは
既成品のゲームコントローラーを改造して、指の曲げる角度や加速度センサー等でMIDIをリアルタイム制御している自作楽器

間奏ラストで小西さんが客席に改造パワーグローブをブン投げたので、えっすごい、大盤振る舞いしちゃうの?!と思っていたら、接続されていたケーブルを引っ張って、引き網漁のようにゆっくりステージに戻すw

ケーブルがちょうど平沢さんの立ち位置に被ってしまってましたが、そのコードをよけて歩く平沢さんが何だか可愛らしい。この曲のラストはメロディに合わせて、両Systemが交互に片手を素早く挙げるという振りですが、これもまた可愛らしい。みんな真似してましたね。

【MC】

『ソリトン』→『BIG FOOT』→『BLACK IN WHITE』→『Spiritus』→『OH MAMA』と矢継ぎ早に続いたせいか、ゼエゼエになってしまって全くちゃんと喋れない平沢さん。いや、落ち着いてからでいいんですよ…。それでも鬼の形相(※息が苦しいため)で喋り続け、

平沢「病原菌ENOLAをやっつけろ、のCDエクストラ、を、ツアーにおきまして、リアルワールドで展開、してい、るわけ、です」

喋らなくていいんですよ?!しかしこんなに息苦しくても、COLOR-5の時と同様、キーボード横のピックを剥がしたり付け直したりする手癖をずっとやっていてw、お好きなんですねそれ…。

LAYER-GREENが爆発してしまったと報告する平沢さんにいつも通り(?)「えーー」と返す我々でしたが、

平沢「だから最初から悲劇だと言っただろう!」
観客「ヒューーーー!!」
(大歓声)
平沢「…そんなに悲劇が嬉しいのか」

そういえば悲劇でしたねこれ…。概要何度読んでも「P-MODELの船団が事故った結果、我々が尻拭いさせられる」物語だと思うんですけど、うん、まあ、確かに悲劇ですね…。
そんな悲劇の物語はまだ続き、COLOR-0で完結しますという話に「がんばれー!」という声援が飛ぶと、

平沢「(頷いて)悲劇をがんばろう」

本来はこんな風に観客と会話することを嫌う(という体で本人はいるつもりの)平沢さんですが、今回は内容が内容だし、名古屋のお客さんのノリが当時としては独特だったので、致し方なし。

平沢「…そして今一つ、悲劇をお伝えしなければなりません…」

急にとてもシリアスな雰囲気になったので、まさかギターが壊れたとか?TAINACOがもう動かないとか?まさかまさか、このツアーでこのメンバーは解散するとか…?みな息をのんでいると、



平沢「最後の曲です」



観客「えーーーーーーー!!💢」

平沢「ENOLA」(してやったりの顔)

『ENOLA』
2020年現在のレーザーハープもそうですが、この時代の平沢さんも、片手で集中してシンセを叩く時、もう片方の手は宙を彷徨ってアワアワしております。ピックを剥がしては付けを繰り返すのも左手だし、平沢さんの左手はいつも可愛いな!!

【アンコール】

平沢さんが登場すると次々に投げ込まれる花束。この時代はこういうのほんとOKでしたね。その花束を全部拾い上げて(キャー)、

平沢「これは…全部私宛ですか。ありがとう」

と言いながら、福間さんの下手側シンセの上にディスプレイ(「悲劇の華」ということだそう)。拾った上にお礼も言って、しかも飾ってくれるなんて、さすが地方公演の平沢さんめちゃくちゃ親切説…!!などと思っていると、福間さんのアンプから強烈なバリバリ音。

この時ちょうど、小西さんの前に落ちていた差し入れにも言及しようと、プレゼントにレーザーポインターを当ててた平沢さんでしたが、音が耳に刺さってクラっとしたのか、その場でくるっとターン💃

そのリアクションのあまりの可愛らしさにキャーキャー言われた結果、「喋れば喋るほど良い人だという印象をもたれてしまう…」と急に自省しだす平沢さん。

平沢「(なので)今日からお客様のことは「お前ら」と呼びます」

平沢「お前らに紹介する!system2、小西健司!」
平沢「お前らに紹介する!system1、福間創!」

ちゃんとsystemの数字言えましたね!(そこじゃない)
お前ら云々は、アルバム「SCUBA RECYCLE」のブックレット(P26)にも出てくるセリフですね。

もちろんTAINACO-2の紹介も。COLOR-4に続き、本日もレーザーポインターでみっちり紹介してくれましたが、実は先ほどのバリバリ音に伴う、マシントラブル対応の時間稼ぎでもありました。そこそこ説明した後、福間さんに

平沢「…もっと話したほうが良い?ダイジョブ?」
福間「
(こっくり頷く)

この時の平沢さんの話しかけ方が、とにかく穏やかで優しく、お父さんみがすごかったです。大変心温まるシーンでした。

平沢「それでは、お前らのアンコールに応える!」

ヤッターやっぱり良い人でしょ平沢さん!!

『Heaven』
紹介後なのだから見せ場にも関わらず、動かないTAINACO-2。しっかりおし…。ちなみにVerアップで顔のアップが実現した際は、名前の由来に基づき、サングラスの向こうにつぶらな瞳が見えるようになるそうですw。ほんと田井中さんのこと好きだな平沢さん。

【アンコールその2】

福間さんが先に出てきて、小西さん、そして平沢さんも出てきたので、2回目のアンコールはこの曲しかありません。

『Solid Air』
イントロが始まる前から福間さんがとにかくニッコニコ。間奏の3人同時デストロイでは、もうほとんど笑ってらっしゃいました。

平沢さんと小西さんも見たことないような激しいデストロイぶりでしたが、タイミングを揃えて各々の機材を床にたたきつけるアクションでも、福間さんはJP-8000(重い/花束の乗ってないほう)を高々と持ち上げてから叩きつける大技を。

こんなにキレッキレなのに、平沢さんへのきっかけ出しも忘れることなく完遂。ラストでは床に置いたシンセを足で踏んで弾いていて、とにかくカッコよかった…!!新譜発売おめでとうございます!!!あれっ、この新譜、このライブの時のメンバー揃ってるじゃないですかヤダー!(くどい)

メンバーが退場すると20:50頃。
明日大阪だけど帰るね!と言って東京の自宅に帰ったのが23時頃。近い!名古屋は近い!もっと気軽にライブしてください!(※この翌年の音廃~バトルス前座までの20年、1回のライブも行われない不毛の土地となります)

さあ、次はCOLOR-2!(つづく)

という感じで改訂レポを終わります。

【お知らせ】
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