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創立70周年記念公演!劇団四季「ひばり」舞台観劇にご招待いただきました


ご招待いただいたせめてもの御礼に。

ゲネプロ公演観劇@2023.12.23

この度は僭越ながら貴重なゲネプロ公演日にて観劇をさせていただきました。開場前の観客席やフロアは厳かでありながら温かい雰囲気でした。舞台に携わってきたと思しき業界人な方々の歓談が多く見受けられたり、舞台監督席が設けられていたりと、普段の劇場とは一味違った雰囲気を感じることができ、得難い経験となり光栄でした。

ジャンヌ・ダルクの人生


「ひばり」を観終えて、今までの劇団四季舞台の数々とはまた一味違う、深い感動がありました。

心から「救われた」という感動でした。

世界史の中でも屈指の悲劇的な歴史を、粋で清々しいラストシーンの瞬間へ昇華されていました。
史実への深い理解や考察を重ねて練られた「ひばり」の舞台は、ジャンヌ・ダルクを悲劇の人として史実を追うばかりでなく、1人の少女であり苦悩と信心を抱えた人間として、慈愛を以て包みこんで作り上げられていたと感じます。

劇中ジャンヌ・ダルクを取り巻く数々の苦悩や残酷な尋問と糾弾が注がれるたびに、人間にはここまで理性的に内包した残虐性があると思い知らされ、しっかり絶望できました。
それでいて端役の台詞の一つ一つにさえ毎度ハッと胸打たれるほど、格言のような、物事の本質を捉えた台詞が続くのです。
もうがむしゃらに舞台にのめりこんでいるんですよ、心が苦しいけど本質を捉えた台詞のやりとりに脳がヒリヒリして一瞬も目が離せない。
ずっと奇跡みたいなことが起こるのを待ち続けるような時間なんですよ…

そんな極限の葛藤と苦悩を経て、ラストに感動が飛び立つんですよね…劇団四季の舞台だからこそ「ひばり」の1番美しい瞬間に昇華できていたのだと思います。


高く高く光の中を、誰よりも高く飛ぶ、爽やかな姿でした。
私は見たままを言っていますが、ジャンヌ・ダルクの一般史実だけを知っている方には全くわからない話に見えるかもしれません。
人が創造した奇跡だからかもしれません。

舞台の起こす奇跡


観劇するまではあんな瞬間を見れるなんて思っていませんでした。劇団四季舞台の凄さは、「原典ふくめ予備知識のない立場の人間であっても、自由で健やかに感動が舞い降りること」だと思います。
「ひばり」の主人公ジャンヌ・ダルクについて、私は世界史の授業での知識のみでした。それでも、キリスト教の教えと天啓、神託を受け取り心のままに従った人々の苦悩や、ジャンヌ・ダルクの人生について、ずっと悲劇的な渇いたイメージが付き纏っていました。


「ひばり」の舞台を通して、歴史に対する捉え方や構え方が根本的に変わった気がします。何をしてどう死んだかでなく、どんな輝かしい瞬間を己の真心で享受できた人なのかを歴史から見出すこと。
リスペクトの本質かもしれないとすら思います。
どんな最期かばかりでなく、丁寧に歴史に向き合い、時代と人に希望や美しさを見出して創り続け伝えることが、後世に生きている者の仕事なのかもしれないとすら思い至りました。

茨の道であるからこそ

すっかり恒例となった観劇後のファンアートです。
「ひばり」を描くにあたり、象徴的な比喩モチーフが必要だなと考えました。
ジャンヌ・ダルクの人生と、使命を阻む道に現れた有象無象の持つ残酷さをあらわすとしたらと考えた時「ノイバラ」が頭に浮かびました。

主に野生植物であるノイバラの生態は、辺りの動植物を傷つけながらトゲだらけの茎を伸ばし、むしろ自身の茎同士が傷つけあうことさえ厭わないほど絡み合いながら、すぐに散る花を気紛れに咲かせながら、根深くしぶとく越冬します。

ノイバラの生態の持つ逞しい合理性は、混乱の時代に緩慢な時間と権力を持て余した人間の作る社会のように見えます。

そんな中を、傷だらけになることを理解し苦悩しながらも故郷を捨てて青春を捨てて1人で分け入っていく直前の、悲劇の始まりのようなシーンを描きました。
茨の道。歪な左右非対称、努めて明るく笑おうとする少女。咲いたそばから散る数少ない小さな花と、保身と攻撃を兼ねたトゲ。
そんな茨へと道を照らす光。


「ひばり」の最も美しい姿は舞台で見ていただきたい。茨の道であるからこそ。

『もう彼女が自身の誇りと信心を守るには、死よりも辛い決断をするしかなかった』そんな絶望的な史実を、美しく気高い瞬間へと爽やかに変えた、奇跡みたいなラストシーン。

「ひばり」の凄さ、舞台演劇の凄さに心から恐れ入ったラストシーンでした。
この舞台がずっとずっと公演され愛されているのは、舞台が起こす奇跡だからかもしれないと思います。こうして表現者の姿勢、学びや閃きを賜っています。

重ね重ね素晴らしい舞台にお招きいただき感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!

ここまで読んでくださった方もありがとうございます!劇団四季の舞台ってすごいと伝わりましたら至極幸いです。

etc…

自由劇場そばの旧芝離宮恩賜庭園に立ち寄りましたら
奇跡みたいな光を拝むことができました。
「ひばり」な光!
2023.12.23
ゲネプロならでは?
キャストのお名前が収められていない貴重な状態でした
ほんとにすごいよ、浅利慶太さんは…
あらたまって私が申しあげるまでもないほどに
弩級のレジェンドでありますけども
もう何度でも言いたい
すごい方だ…


迷路をテーマにしたアートグラフィックの制作を中心に活動中。イラストレーション、キャラクター、ロゴデザインなど幅広く手がけています。