【動画メイキング】トレイルランレース映像制作の裏側
こんにちは。フリーランスのビデオグラファー(動画クリエイター)のTAKUです。
僕は、企業のPVやWEBCM,ブランディングムービーetcを制作しています。企画から撮影、編集をワンオペで行う、いわゆるビデオグラファーです。
まずは上の動画をご覧くださいませ。
大会のダイジェストPVですね。トレイルランという山を走るレースがあるんですが、今回のレースは長崎の大村という場所でのレースです。
レースダイジェスト動画の場合は絵コンテは作りません。もともと決められていた絵を撮影するのではなく、現場では臨機応変に撮影します。ただ撮影隊のメンバーやクライアントとどのような完成動画になるのか、あらかじめしっかり共有を行います。
以下レースの概要です↓
■【修験者コース】中・上級者向け
距離:約40km
累積標高:約3,400m
制限時間:10時間30分
■【フォレストコース】初級者向け
距離:約19km
累積標高:約1,460m
制限時間:5時間
うん。えぐいでしょ(笑)そもそも山走るってどうゆうこと。変態さんの集まりですね(笑)僕もトライアスロンやってたのであまり大きい声では言えないのですが。。
早速、撮影の裏側をご説明します。
依頼から大会まで
ドローン空撮の手続き。これが大変。現場長崎空港の付近で長崎空港事務所長の許可が必要な区域です。(緑色の面は、上空での飛行が禁止される制限表面)ドローンの法整備は不完全で、常に情報を追うことをお勧めします。そして簡単に飛ばさないことです。ドローンを飛ばせるための知識や経験はそれだけで価値があるものなので別料金(オプション設定)を設定して安売りしないことを心がけたいですね。
国土地理院「地理院地図」より↓↓
詳細図↓↓
長崎空港事務所とやりとりをして以下の許可書をゲットしました。
前日ロケハン/撮影隊2名
僕の拠点は福岡で、長崎大村市までは車で2時間ほどです。前日に長崎入りしロケハンを行います。アシスタントさんと一緒にドライブです。撮影でいろんな場所に行けるのは、ビデオグラファーの醍醐味ですよね。
まず撮影隊2名について。うん。少ないです。ただ出来ないことはないです。最悪1名でも出来ます。負担はものすごくかかりますが。。それと、撮影できる「場所」や「バリエーション」が限定されます。
これはクライアントにしっかり説明しなければならないとこで、例えば「山頂での映像は不可能」「ゴールを撮影するために途中のエイドステーションでの撮影は不可能」「ドローン空撮は不可能」等事前に説明することが重要です。少人数だとできることが限定されてしまい、ある箇所の撮影を断念せざるおえません。
2名の場合は、「前方での撮影」と「後方での撮影」2箇所撮影ができますが、1名の場合単純にこれが半分になります。当然のことですよね。
レース動画撮影はもちろん規模にもよりますが、4名は欲しいところです。2人、2人に別れて行動し、連携もとりやすいです。
撮影隊A(カメラ+アシスタント(運転手)の2名)
撮影隊B(カメラ+アシスタント(運転手)の2名)
撮影チームとしては上記が僕の中でのベスト。レース規模に合わせて人数を増やしていけるのが理想。
もちろん予算の問題もあるので、話し合いが重要だと考えます。そこまでのクオリティをクライアントが求めていないのに、予算がかかる方を提案するのは作り手のエゴですからね。
これは僕がすごく大事にしている部分ですが、「WIN WINを意識すること」です。よく言われている言葉ですが、本来商取引というのは一方が得をして一方が損をするという取引の構図は必ずどこかで破綻します。
お互い長期的な成長を行うためにはお互いベストな価格設定を決定しないといけない。交渉は本来そうゆうものであると認識しています。
話が脱線しましたが、
ロケハンは通常通りです。移動距離が長い分時間もかかります。丸一日はかかりますね。山に入ってベストポジションを探します。ポジションは、「いい表情が撮れる場所」
「景色のいい場所」
「スピード感が表現できる場所」etc
を意識しました。もちろん「スタート」「ゴール」は必須。
当日の入念な打ち合わせ、計画、移動経路などを撮影隊と共有してロケハン終了。
その後大村の美味しいものを食べて、機材の最終チェック。当日のイレギュラーはザラです。何事も準備は大事ですね。
ここまでで5割は終わったようなものです。
本撮影
撮影機材/カメラマンA(TAKU)
SONY a7iii+Roninsc+SONYGM24mmf1.4/Tamronn28-75f2.8/SONY G70-200f4/三脚/ MavicAir2
設定 FHD120fps/4k24fps/ピクチャープロファイル8(slog2)/WBオート
※状況により手持ち撮影
撮影機材/カメラマンB
SONY a7c+Roninsc+SONYGM24mmf1.4/一脚+ジンバル
設定 FHD120fps/ピクチャープロファイル8(slog2)/WBオート
撮影機材は上記で臨みました。ちなみに朝は4時起床。朝早くてもしっかり熟睡して本番(当日)に臨む姿勢は私たちの仕事には必須。
さて、簡単に説明をします。
なんといってもSONYのオートフォーカス優秀すぎ。動く被写体を捉えるのにすごく役に立ってます。SONY様ありがとうございます(笑)
僕の中で、基本はジンバルに乗せて24mm広角側のレンズを付けるのが標準装備です。動く被写体を画角に収めるのは24mmくらいあったほうが良きです。ただ画角が似通ってしまうので、他のレンズを傾向し、ある程度どんな状況にも対応できるようにしてます。傾斜面でのレンズ付け替えは大変ですが慣れました。
4K撮影の理由は、「書き出し」はFHDですので編集時にアップ(クロップ)ができるようにです。1080pで撮影した場合編集時にアップした場合、画質が荒れます。
屋外で明暗差があるロケーションでしたのでlog撮影しました。ハイライトの収録範囲が広いので白飛びしにくいです。
ジンバルオンリーでの撮影を避けた理由は、やはり見る人が飽きてしまうからです。例えばゴール付近は手持ちで撮影することにより「臨場感」を演出します。
最終ゴール者が17時くらいだったかと。長期戦ですね。体力がないと、このレース撮影は出来ないです(笑)
この動画の最後にもあるんですが女性がゴールして泣いていました。このようなドラマに立ち会えるのはすごく嬉しいことです。しっかり撮影して使わせていただきました。ちなみにここは手持ち撮影です。
↑↑タイムアップした女性を待つ仲間たち↑↑
↑↑女性の涙。無条件で絵になります。逆光がまたいい演出。手持ち200mmで撮ってると思います↑↑
↑↑笑顔で終わる(ハッピーエンド)。もうこれドラマだろ!(笑)↑↑
「挑戦したすべての方が勝利者です」
この文言は入れたかった。
撮影した瞬間ここはエンディングで使おうと考えていました。
てな感じで無事撮影終了!!二人ともクタクタです。その日に福岡に戻ります。睡魔が襲ってきて、帰宅途中の高速パーキングエリアで2時間爆睡(笑)帰り着いたのは22時回ってました。。
いい素材が撮影できたので満足でした。
編集(おまけ)
さぁ編集。。二人分のデータを確認。確認作業だけで8時間。。通常コンテがある制作の場合はそのカットを撮影したら良いので編集は割と早く終わります。
レース撮影の場合量を撮るのでそんなわけにもいかず。ピントが合っているのか等確認します。納品が早かったので急ピッチで仕上げましたとさ。
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