日本大学芸術学部オンライン芸祭「ALLGON」

こんにちは!
日本大学芸術学部非公認作品合評サークル「ALLGON」です。
このたび学生の有志で行われた「日本大学芸術学部オンライン芸祭」に参加する運びとなりました。
他の大学ではリアルで学園祭が催されているようですが、日芸は学園祭を開催しないということになり、それならばと学生がオンラインで学園祭をやろうと集まった団体がオンライン芸祭です。
コロナ禍の影響で一年生の勧誘もままならなくなり、おそらくどのサークルも新しく入る人は少なかったかと思います。そこで勧誘も兼ねてALLGONでは日々の活動の一部をお見せしようかと思います。

今回のテーマは「unknown」です!


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メンバーの所感

堀内「魔法と科学の区別が面白いと思った。ただ、狐が出てきた箇所がよくわからなかった。文体としては硬めラノベという風に読んでいた」
定直「書き出しのセリフで問題提起をすることで、世界観に引き込まれた。“僕だって万能じゃない”というセリフ、身体が動かせなくなる描写、■■は主人公が『知る』ことによって消えてしまう、などから始めは電気と機械の話だと思いました。違うと思うけど……。最後の描写が特に機械の中をかよっていく電気みたいだと思いました」
新宅「知ることによって科学に変化し失われる物、という風に読んでいた。深読みのしすぎ、考えすぎてしまうところがあったが、その分この考え方から導き出される物語が沢山あるように思ったので良いと感じた。知的好奇心を刺激されるような感じでワクワクした。ただ、どっちが喋っているのかがわかりにくい箇所がいくつかあった」
関口「自分が知ることによって殺すのだ、という箇所と、そこにあった羽は~という箇所が好きだった。ただ、ラノベやこういうファンタジー作品を読んだことが多くないので、所々設定がわかりにくいところがあった」
金子「他はすらっと読めたが、メドゥーサの瞳の部分は浮いているように感じ、引っかかってしまった。何それSFの話ならお断りだけど、という台詞の軽いノリが好きだった」



さだなお1

さだなお2

さだなお3

さだなお4

さだなお5

さだなお6

さだなお7

メンバーの予感

堀内「純文、太宰治のようななめらかさ・美しさのある作品だった。しかしストーリーに山のない話だなと思った。のどごしスッキリして、口の中でなくなっちゃった!と思う。そして、やはり内容は良くも悪くも「作者らしい」と思ってしまった。そこの良い悪いは決められないけど」
小野寺「自分は文体が作風にとても合っていると思う。ストーリーの意外性のなさは、むしろこの作風を引き立てていると感じる。ちなみに作品の中で、伯父が小説の中で遠回りに主人公のような女子を非難し、それにムッとする所が一番印象になった。とても面白かったと思う」
新宅「太宰治の女学生の言葉遣いにとても影響されていると思う。その文体が作風とストーリーにとても合っている。しかし、その文体と作風がしっくりき過ぎていて意外性がないと感じてしまった。技術と感情表現が素晴らしいため、もったいなく感じてしまう。作者の違う面を見られるような作品をもっと見てみたかった。でもそもそもめっちゃうまい」
金子「「花物語」(1920)という作品を思い出した。その作品も「、」が多く、その作品を意識したのかと思った。その作品もそうなのだが、女子学生の何気ない日常を描いている所がとても素敵だった。“どうして赤の他人が〜”という所がキャラの内面を描きながら、自分の考えを描くことが出来るのが素晴らしい。また百合好きとしてはこの文体で書かれた百合が読みたい!」



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メンバーの所感

堀内「漢字が多いのに読みやすい文章で凄いと思った。物足りないくらい平凡な顔つきというのは現実的に考えると中々いないので、人外や幻の類いだったのかなと考えながら読んでいた」
小野寺「死体を本と成す発想と、その狂人じみた考えを納得出来てしまう文章力、表現力が上手いと感じた。ピュグマリオンという言葉も知らなかったが、調べるとこの作品をより理解でき、書きたいことがしっかり出来ているのだと感じた」
定直「死因を解き明かすことを“(本の)ジャンルを見極める”と比喩するのが素晴らしかった。遺体の刺青(表紙)の表現もめちゃめちゃよかった。“キュビズムのごとく痛々しい青”は、黄色人種は黒色で入れたタトゥーが皮膚越しに青く見えがちってことでいい? 首吊りの青アザかも、とも思いました。最後の一文がなんとなくわからなかったかも。私の中に居る“彼”はもはや死人ではない、みたいな意味かな」
関口「知的好奇心を刺激されるまさに本のような作品だと思った。最初はわからない主人公の正体や動きが読み進める毎に明かされていくのが、想像のつかない展開のあるミステリーのようで面白かった。本と遺体の組み合わせや、主人公の思考に同調できる描写力が良いと思った」



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永遠の高校生2

永遠の高校生3

永遠の高校生4

メンバーの所感

堀内「漢字が少なめの滑らかな文章だと思った。『ユウリ』が唐突に出てきたので、ユウリとは誰なのか、と混乱してしまった。アキ君の最期はネット越しに知った物なはずなので、考察の余地が生まれて面白かった。一人称の切り替えが自然で良いと思った」
小野寺「細部の表現に意識を回しているのが凄いと思った。ネット特有の雰囲気や『それっぽさ』を感じて良いと思った。やはりアキ君のところは『実際はどうなのか』と考えさせられて面白かった。一人称の表記をネットと現実世界で変えているのがより作品の深みを出していて良いと思った。少し心の傷が……」
新宅「深夜の温度感や明度が作品全体から浮き出るようで、少し記憶をくすぐられる作品だった。幼い主人公の実体と精神性がリアルに書けていて良いと思った。サブカルともマイナーとも違うような現代感があって好きだった」



かねこ1

かねこ2

かねこ3

メンバーの所感

堀内「個人的に状況が分かりづらかった感じがあった。上手く言えないんだけど三人称的というか、神様視点、神様が語ってるのかなみたいに思って、それで勝手に自分の中で統合性を保っていました」
小野寺「純粋に短く収めようとしたから説明不足に感じたのかな。細かいところは皆さんと似た意見です」
定直「幻想的でとても好きです。読めば読むほど奥が深いなって思って、色んな解釈をしてしまったので、今度答え合わせみたいなのをしてみたい。ところどころ引っかかる表現があって、ちょっと分かりづらく感じたところもありました」
新宅「路地でノートを書くかなと思った。心の中だとしても文字とか書かない気がする。“魑魅魍魎~”のあとに、また“蠅の王とそれにたかる~”って比喩が続いているから混乱してしまうし、抽象的に感じてしまう。でも描きたい感情の動きみたいなのはわかる」
関口「前半が説明不足だと思った。『私』がどういう立ち位置で、どういう人間で、どういうものなのかを明確に描写した方がいいんじゃない? あまりにも不可思議で輪郭がぼやけちゃってるかな。最後の二行がかっこよくて好き、燃え上がってる」



くすたき1

くすたき2

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メンバーの所感

堀内「小説、と言っていいのかは分からないが面白かった。SCP風というかそのものだけど、最後まで読んですべて納得できてすっきりしたね。SCPをあまり知らない私でもオチがしっかりと理解できたのが良かった。文章自体も漢字とひらがなのバランスが個人的に丁度良くて、読みやすかった」
小野寺「今回のお題がunknownなので、SCPを引っ張ってきたのも、作品そのものも未知の恐怖という点で良いチョイスだと思った。まさかTaleを持ってくるとは恐れいった。Dクラス職員や作品そのものの背景を考えさせられて面白かった」
新宅「モチーフとしてはいいと思うけど、SPCを知らないと分かりづらい作品だね。“漠然とした不安では無い。”からのところ、「ない」が四回続くのはくどいかな。第一文を際立たせたいなら、ちょっと違う表現を探してもいいかも。あとは“もしこれの正体が”の一文はもうすこし分かりやすくした方がいいかもね」


今回は活動の様子を文字化・まとめていますが、和気あいあいと真剣に作品と向き合いながら合評を行っています。もし興味のある方がいらっしゃいましたら、当サークルの公式Twitter(@ALLGON5)までご連絡ください。