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3人用台本 『訪問者』

男1人女2人台本 1450文字 約5分

男 真面目なヤツと呼ばれている
女 寂しがり屋
訪問者 男の知り合いの女性

◯男の家
男の仕事は休みで家でゆっくりしている。

玄関のチャイムが鳴る。
男は面倒くさそうに立ち上がりドアホンで確認してから玄関へ。

 男「何?」
 女「今日休みでしょ?」
 男「そうだけど…」
 女「どうせ、何も食べずボーッとしてたんでしょ」
 男「別にいいじゃん」
 女「マック買ってきたから一緒に食べよ」
 男「ああ」
 女「入るよ」

靴も揃えずに無造作に中に入る。

 女「相変わらず散らかってるね」
 男「俺の家なんだし、別にいいじゃん」

テーブルにある邪魔な物をどけ、買ってきた朝食を置く。

 女「これ食べたら、どっか行こうよ」
 男「外行くの面倒くさい」
 女「職場とは正反対。ホント干物男だね」
 男「家では、ゆっくりしたいだけです」
 女「水族館、行きたいな〜」
 男「どうぞ、いってらしゃい」
 女「つめたーい」
 男「いただきます」
 女「無視するな!」

男は黙々と朝食を食べる。
女は不貞腐れている。
食べ終わり、女は片付けている。

 女「あーあ、今日暇だな」

男は眠たそうにスマホを見ている。

 女「そういえばさぁ、雨降ってないのに黒いカッパを着た変な人がいるんだって。噂で聞いた」
 男「そうなんだ」
 女「怖くない?」
 男「ただの噂だよ」
 女「今日一緒に帰ってくれる?」
 男「夜遅くまでいる気?明るいうちに帰りなさい」
 女「えー。いちゃダメなの?」
 男「ダメだよ。今日予定あるし」
 女「あんたに予定なんてあるなんて珍しい。ずっと家にいるくせに」
 男「知り合いが会いに来るんだよ」
 女「おんなー?」
 男「誰でもいいだろ」
 女「隠すってことは女だな」
 男「そうだよ!」

女は少し動揺する。

 女「へぇー、そうなんだ。邪魔したらいけないから早めに帰らなきゃね」

男は、相変わらずスマホを見ている。
女が男の横に座る。

 女「ゲームしようよ」
 男「嫌」
 女「もういいよ。ひとりでするから」
 男「はいはい」

数時間が経つ。

 女「もう帰るね」
 男「朝食ありがとね」
 女「止めないの?別にいいけど」
 男「予定あるから」
 女「そうでしたね!」
 女「(靴を履きながら)じゃあまたね」
 男「うん」

男がドアを閉める。

男「とりあえず寝るか」

起床後。
顔を洗い身支度をして連絡を待つ。

男「まだかな」

スマホが鳴る。
男はメッセージを見る。
「電車降りたからもうすぐ着くと思う」

玄関のチャイムが鳴る。
男は玄関へ。

 男「久しぶり」

訪問者は下を向いたまま。

 男「入って」
 訪「久しぶり」
 男「相談って言ってたけど、何?」
 訪「言いにくいんだけど…何も聞かないでお金を貸してほしい」
 男「お金か…」
 訪「もうあなたしか頼れる人が居ないの」
 男「幾ら必要なの?」
 訪「50万」
 男「そんな大金、すぐに用意はできないよ」

2人とも黙り込む。

 男「ごめん、50は無理だよ。だけど幾らかは貸せるよ」
 訪「…ありがとう」

その時、玄関のチャイムが鳴る。
ドアホンからは確認できない。

 男「あっ、ちょっと待ってて」

ゆっくり開けようとすると、勢いよくドアが引かれた。
そこに立っていたのは黒いカッパを着た人物だった。

 男「カッパ!」

黒いカッパを着た人物は小さい声で「もう夜だよ」と言った。

男は何が起きたか、わからない。
次第に鋭い痛みが。
押さえると血が溢れていた。
黒いカッパを着た人物はフードを取った。

 女「こんな時間まで何やってるの?」

男は倒れ込みながら、訪問者の方を見て手を伸ばす。
男は声が出ない。
女は血のついた包丁を手に歩き始める。

 女「初めまして」

訪問者は悲鳴を上げる。
女は、無言で包丁を振り上げ…。

女は顔についた血を触りながら言った。

 女「ふーっ。これでスッキリ!」

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