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世界中のアレルギー専門医が否定する「血中食物特異的IgG」抗体検査!

先日テレビで、”隠れアレルギー”や”慢性肌荒れ”の原因は「IgG型の食物遅延型反応だ」と断言されているのを見て驚愕した、Dr.おかよしです‼️

実はこれ、全く科学的根拠のない検査。
しかも陽性が出たら除去食を行うという・・・
いち専門医として、これを患者さんが信じてしまったら本当にヤバいなと感じています。
遅延型アレルギー反応は金属アレルギーなどの接触性皮膚炎を代表とするT細胞依存性の「過敏反応」をいい、決してIgGが原因ではありません。
ですから、IgGを調べても何も分からないのです。
IgE依存性の反応には、「即時型」と「遅発型」反応があります。また、自己免疫疾患は、自分のタンパク質などにIgG抗体を作ってしまうものです。

以下に日本アレルギー学会が、注意喚起をしている原文そのままを載せます。

【血中食物抗原特異的 IgG 抗体検査(IgG4 などのサブクラス抗体を含む)に関する注意喚起】

「米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおける IgG 抗体の診断的有用性を公式に否定しています。
 その理由として、以下のように記載されています。
1.食物抗原特異的 IgG 抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。
2.食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。
3.血清中の IgG 抗体の レベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。
4.よって、この IgG 抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。
 以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、食物抗原特異的 IgG 抗体検査(IgG4 などのサブクラス抗体を含む)を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。
参考文献:
Stapel SO, et al. Allergy 2008; 63: 793-796.
Bock SA. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1410. Hamilton RG. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: S284. 日本小児アレルギー学会ホームページ: 「血中食物抗原特異的 IgG 抗体検査に関する注意喚起」
平成27年2月25日 一般社団法人日本アレルギー学会 理事長 斎藤博久 令和元年 12 月 13 日(更新) 理事長 出原賢治

私もこの内容に同意します。
免疫学を習った医師であれば、この検査を患者さんに勧めることはありません。しかも保険適応外で高額です。

では、どうしたら良いのでしょうか?

第一に、あなたの肌荒れは、食物が原因ではない可能性もあります。
先日、私のところに来られた慢性蕁麻疹の患者さんは、一生懸命、原因を探して様々な食べ物を除去していらっしゃいました。

慢性蕁麻疹の約70%が「特発性」といって原因がわからない範疇に入ります。ですが、最近は、いわゆる自己免疫疾患であることがわかり、治療法があります。

実は、この自己免疫疾患には、ステロイド軟膏は全く効果はありません!
ですから、私の治療では、
ステロイドは使いません。

しかし、漫然と長い期間ステロイドを飲まされ続けている患者さんも沢山います。
日大アレルギーセンターでは、東京、東日本で、最も多くの慢性蕁麻疹患者さんを治療しておりますので、不安な方は、受診をお勧めします。

慢性の肌荒れがあれば、まず皮膚科専門医ブラスアレルギー専門医と名乗っている皮膚科を受診して下さい。
食物が疑われるかどうかは、食物日誌をつけましょう。
これに関しては先日書いた記事を参考にして下さい。
決して自己判断で治療しないで下さいね。
また、「血中食物特異的IgG抗体検査」を医師から勧められた場合は、しっかりと断り、他の良い先生を探して見ましょう!


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

「本サイトにおける主張は私個人のものであり、所属団体とは一切関係ございません。」

アレルギー専門医 おかよし


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