チャペック『ロボット』感想
絶対に間違わず、完璧に仕事をこなしてくれる存在がロボットがだとしたら、現代人の理想の姿がロボットなのかもしれない。
人間が自由に生きるためにロボットが量産され続けたことで起こった恐ろしい事件、という二兆回くらい聞いたSFのテーマの原点ともいえる作品。
なぜ、突然子供が生まれなくなったのか?
なぜ、突然ヘレナとプリムスは変異したのか?
理由は明示されていないけれど、なんだかわかる気がする。
楽園追放を思わせるラストやラテン語の「主」を意味するドミヌスなど宗教色はもちろん感じるけれど、1920年発刊の本書は社会主義の画一的な恐怖も連想させる。
驚くことに、ヘレナとプリムスの件でとても切なくなって泣きそうになった。これから二人は全く新しい世界を築いて行くのだろうか?
ちなみにロボット、ポルカ、ピストルはチェコ語が日本語になった例なんだってさ。
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