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all day placeがall day placeになるまで

渋谷という街のステレオタイプ

「渋谷」と聞いて真っ先に思い浮かべる風景は?

スクランブル交差点を縦横無尽に行き交う人々
地上も地下にも張り巡らされた便利な交通網
キラキラ輝くネオンと、夜明けまで賑やかな飲食店
眠らないまち…

おそらく、それが渋谷という場所の一番ポピュラーな印象
東京、日本そして世界の中でもトップクラスで有名なまち、「渋谷」

ここ数年の渋谷は「再開発」という名の元、高層ビルが次々と完成し、
駅の入口出口はすっかり移動され、
整備されていく街並みにすっかり圧倒され、
少し足が遠のいてしまっていた人もいるかもしれない。

「あの頃は良かった」「渋谷の面影がなくなってしまった」

と思ってしまうのも仕方ないほど、
常に新しい何かが生まれて、トップスピードで変わり続けるまち

でも、よく目を凝らしてみてみれば、
路地裏には「こだわりの」個人店が並び、
街角にはまだ「古き良き」が佇んでいる。

昔ながらの古着屋、定食屋、居酒屋、レコードショップ、本屋、立ち飲み屋そこにはお店の名物になるような人がいて

みんなその人に会いたくて
顔馴染みが集まってくる、ちょっとディープな場所。
そんな地元の楽しみがまだまだ点在しているまち。


もし、ここにホテルを作るのならば、
渋谷のそんな一面も、伝えられる場所にしたいと思いました。

2022年春「渋谷」に、
ホテル「
all day place shibuya」をオープンします。


旅の原点に立ち返る

こんなにも毎日新しい何かが生まれている渋谷に、
これ以上必要なものが思いつかないような場所に
ホテルをつくるなら?

今まで多くのホテルを手掛けてきた私たちですが、
「渋谷」に必要なホテルなるものがなかなか掴めなくて、
今一度、「旅」の原点に戻ることから始めました。

旅した国
訪れた建物
食べた郷土料理
出会った人々

かつての旅の思い出を、スタッフで延々と出し合ってみる。

そうすると、出てくるのはガイドブックに出尽くした観光スポットの話なんかじゃなくて、
盛り上がるのは、

旅の珍道中
地元の人との触れ合い
ガイドブックに載っていない店
旅先での出会いが今も続いていること

どれだけ面白い体験をしたかを伝えたくて、いつの間にかみんなが白熱。


そうだ、ここに集まったスタッフは、みんな旅好きばかりだった。

コロナで旅が特別なことになった今、
特に恋しくなるのは、そんな旅の瞬間でした

旅は楽しい。
出会ったことのないものに会えるから。
新しい何かに触れられるから。

旅に出る理由は、いつだってそう。
知りたい、混じりたい、味わいたい。

もちろん、個性的で話題のある宿、著名人が愛した老舗の旅館、
憧れのデザイナーが手がけたホテルや海辺のラグジュアリーリゾート、
いろいろな宿があって、それぞれの楽しみ方があります。

でも、「旅」を振り返った時に見えてきたのは、
人、地域、文化との交流。


新しいものを発信するホテルがどんどん誕生する中で、
旅を取り巻く環境や私たちの価値観も変わりつつある今

「宿」にまず求めるものは
ベーシックに、安らげる休憩の場所であること
そして、今の感覚にあった「ちょうどいい」居場所となること

旅好きの私たちが改めて「渋谷」を考えたとき、
まちにとってのホテルの役割が見えてきたように感じました。


渋谷が私の居場所(オールデイプレイス)となる日

渋谷には、他のまちにはない「何か」があると思います。

10代の頃、「渋谷」を初めて訪れた時のワクワクを今でも覚えています。
人も、店も、街並みも、みんなが刺激的でいろんな情報が交差する。

あの角を曲がれば、何と出会えるんだろう
どんな風景が広がっているんだろう
って、どこまでも歩きたくなる感覚。

それは、大人になった今も変わらなくて、
例えば、仕事で失敗した日も、人間関係に疲れた日も
ここに来れば、相変わらず元気に闊歩したくなる

昼も夜も、目に見えないエネルギーで溢れている。
おそらく、それも渋谷というまちの日常。


ここで働く人、暮らす人、国内、そして海外からはるばる訪れる人
新旧さまざまなコンテクストの混ざりあい、
それを求めて人は渋谷を訪れるなら、
渋谷の日常の延長線にあるホテルにしたい。

渋谷を普段づかいする人たちも、一晩泊まってみることで
今までと違う景色が見えてくることもあるかも

「渋谷」というまちと交流しやすくなるように、
ホテルが「渋谷」というまちの居場所となれるように。

そんな答えに行きついて、

地元の人と旅する人が交差する
「パブリックハウス(=社交場)」としてのホテル

目指すことにしました。


こぼれ話「パブリックハウス」について


英国の「パブリックハウス」通称「パブ」と呼ばれる飲み屋は、
もともとは飲み屋の上階に宿泊機能のついた
「ホテル/宿屋」の原点となったような場所

1階の飲み屋は地元の人々で賑わい、
旅行者と街の人々が交流を重ねていたそうです。

一方日本でも、「旅籠」と呼ばれた食事付きの宿は
庶民の旅の中継地となり、
多くの人々が往来し、交流が生まれる場所でした。


私たちの「all day place shibuya」もまさにパブリックハウスの形式をとり、
まちに開いたコーヒースタンドやクラフトビールバー、
美味しい食事が取れるレストランを備え、
さまざまな用途で日常に寄り添う場所になれればと思っています。

1階と2階の飲食店については、また別の記事でお伝えします。


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