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アルバイトの経験話②

《留学時代》

渡米したのは7月。夏休み期間は大学の『留学生専用の基礎講座』みたいなクラスを毎日受講。
州立のコミュニティカレッジなので、学生のほとんどはニューヨーク州の人ばかり。留学生は20人以上いたが、なんせ学費は高い。(その州に住んでる人は安いらしい)たしか年間200万円くらいだったと思う。

ベビーシッター

なんとかして費用を浮かせたい、と考えた私はミールプラン(大学内の食堂で食事のときに使える回数券)を削って自炊したり、寮→ホストファミリーと同居したり、成績を上げて少額の奨学金をもらったり…と細々とした努力もしつつ、ホストファミリーの親戚の子どもたちのベビーシッターのアルバイトを斡旋してもらった。日本と違ってアメリカではごく普通にベビーシッターを利用する。しかも、無資格でできる。単なる「子守り」だけど、当時でも時給1500円くらいもらっていた。
親戚の子どもたちは当時5歳&8歳、基本的にいっしょに遊んであげれば良い。ただ…難しかったのは言葉の壁。大人相手であれば私の英語はほぼ通じたし、多少困ったとしても相手が気長に待ってくれる。しかし、子どもたちは容赦無い。『ねぇ!〇〇〇〇して!』て言われてもその単語ナニ…? 彼らもまだまだ言葉が幼く、正しい英語を話していなかったり、なにかの略語?とか子どもならではの言い方をするので聞き取れないケースがあったのだ。とりあえず適当に相づちを打ち、身振り手振りで状況を把握し、合わせて遊ぶ…ふつうに日本の子ども見るよりも疲れた。

工場のライン作業


アメリカの大学生の夏休みは長い。6月〜9月、およそ3ヶ月くらいある。その期間もちろん帰国。
夏休み限定の工場のライン作業(車のハーネス組立)のアルバイトを見つけた。作業板がゆっくり回転する中、各自の立ち位置(2mくらい)の間にそれぞれ決められた色のハーネスを配置してセットしていく、という流れ作業。自分の場所で間違ったり間に合わないときは紐を引っ張ってラインを止めて、指導者のおじさんたちを呼んで修正してもらうことになっていた。期間限定だったので全員が初心者で作業を覚え始めたから、ラインが頻繁に止まるのも珍しくなく、お互いにミスを責め立てる雰囲気はない。私は覚えが早く手を動かすのも速かった(若者だったし)ので、時々工程が増えたり(ハーネスが新しく追加されたり)しつつ、いかにラインを止めずにスムーズに組み立てていくか…とリズムよくやるのは楽しかった。なんといっても、手さえ動かせばあとは何も言われないのでペアを組んだ女の子と友だちになりずーっと世間話をしながら作業できたので、楽しく作業し続けることができた。古い工場だったから暑くても扇風機しかなくて過酷だったけど、私はしゃべってさえいれば気分は上がる。

別の夏休み期間は、大企業の工場で掃除機を組み立てるラインの仕事もした。掃除機にシールを貼る作業が多かったけど、作業はもくもくと黙ってやらなくてはならずしかもシールのゆがみは許されないので、大雑把な私には合わなかった。そして長年働いてる人が多くすでにコミュニティができていて、そこには入れなかったので居心地悪いしすぐに辞めた。

オフィスの受付

はじめ私が所属した学部は2年間の準学士号のみだったので、別の大学に編入し学部を変更してさらに2年間ニューヨークで過ごした。仲良くしていたホストファミリーもいない場所なので、2年間寮住まい。
やはり何かしらお金は欲しいし…と【留学生の窓口オフィス】でアルバイトをすることになった。

このオフィスでは海外からの留学生のサポートと、海外留学希望のアメリカ人生徒のサポート両方を兼ねていて、私は授業の隙間時間に受付に座って電話対応やら事務仕事を任された。ここでの電話対応がすこぶる難しい。アメリカ人からかかってくる電話は聞き取れるが、問題は不在時のメッセージを受ける際に相手の名前がまるでわからんのだ。KevinとかMaryみたいなわかりやすい名前はいいけど、なんか聞いたことない名前もたくさんあって口頭では伝えられるがメモにできない(スペルがわからない)ことも多々。とりあえず『あなたの名前のスペルを教えてください』と言ってわざわざ言ってもらったりもしたが、向こうが軽快に「あー、いま彼女(私のボス)いないのね〜まぁいいわ!〇〇が電話したって言っといてーじゃあね!」とこちらが戸惑う隙もなく電話を切ったりする。
もっと厄介なのは海外の受入大学の方からの国際電話。英語で話しているのにその国のアクセントがクセ強くてわからない。こちらはアメリカ在住3年目の日本人だが、電話相手はそんなこと知る由もない。言葉のわからない者同士が「???」となりながらやり取りしていて、今思うとなかなかカオスだ。

しかしながら、スタッフはみんな優しい人ばかりで、私のことは留学生だし…とミスも大目に見てもらっていたと思う。アメリカでは基本的に自分に自信を持ったらいいという風潮があるので「私には無理…まだ英語できないし…」と後ろめたい発言は無意味だ。「アメリカに来て3年なのよ!まだまだわけわからなくて当然なの!」と開きなおるくらいがちょうどいい。結局1年以上はお世話になったアルバイト先。授業の合間にさくっと立ち寄り数時間仕事してまた授業へ…の生活はラクだったなー。


4年間のアメリカ生活を経て、帰国。


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