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お酒を飲んだ後にラムネが良さそう?【科学的根拠を検証してみました】

「お酒を飲んだ後にラムネを食べると翌朝すっきりするんだよ」という噂を聞きました。何度も試してみたが、ラムネを食べるかどうかで実際明らかに違う、とのこと。

本当に効果があるのか、またどのような理由で効果があるのか、早速調べてみました。

まず、なぜ「ラムネ」なのか。

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画像出典:森永ホームページ

ラムネの成分について調べてみると、意外な事実を知ることになりました。森永ラムネのホームページを見てみると、

ぶどう糖90%配合。小さな子供から頑張る大人まで、シュワッと溶ける爽快なひとときを!

とあります。

そう、成分のほとんどが「ブドウ糖」なのです。糖質は消化吸収を経て最終的にブドウ糖に分解されてエネルギー減として利用されます。直接ブドウ糖を摂取すると素早く血糖値を上げることができます。

では、お酒とブドウ糖の関係について。

アルコールの代謝に伴なって血糖が変化しますが、血糖上昇のために重要なのが肝臓に蓄えられているグリコーゲンです。

以下の図のようにグルコース(ブドウ糖)となって肝細胞から血中へ流れていきます。1)

グリコーゲン分解

アルコールを分解することでピルビン酸から乳酸への変化が進み、逆の変化は抑制されます。すると、ピルビン酸や乳酸からブドウ糖への変化が抑制されてしまいます。1,2) 過剰の飲酒によって低血糖を引き起こすことがあり、アルコール性低血糖として知られています。

一方で、アルコールはアドレナリンやグルカゴンといった血糖を上昇させるホルモンを分泌させます。肝臓にグリコーゲンが十分ある場合はこれらのホルモンの作用で高血糖をきたします。ラットの実験では、エタノールとブドウ糖負荷と一緒に摂取すると血糖を下げるインスリンが効きにくくなると報告されています。3)

つまり、余計に糖分を摂取してしまうと、血糖値が大きく上昇し、なかなか下がらなくなってしまうかもしれません。

「アルコール性糖尿病(Alcoholic diabetes)」という概念もあるくらいですので注意です。

飽食の時代ですのでグリコーゲンが不足している方は少ないとは思いますが、何も食べずに飲んでいる方は上記の理由で低血糖に注意が必要です。一時的ではあれ、低血糖になりうる状態、つまり空腹を感じるような状態になるためにシメのラーメンが食べたくなるのでしょう。そこでラムネを摂取すると余計な油分は摂取することなく、素早く血糖値が上昇するため有用なのかもしれません。

深酒した際に「ラムネ」試してみようかな。

ちなみに、脳がエネルギーとして主に利用しているのがブドウ糖である点に注目して、「勉強のお供に」というコンセプトでブドウ糖製品が販売されています。

私も学生時代、受験勉強中や部活の合間によく食べていました。そこで、ラムネもブドウ糖業界に参戦してみましょう。

ここで、「アマゾンで購入できるブドウ糖」と「ラムネ」のまとめ買いにおいて、グラム当たりの値段を比較してみると・・

アマゾンで購入できるブドウ糖は一粒3gだから・・・3.633円/g

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一方ラムネは一本29gだから・・・2.607円/g

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ラムネの方が安上がりです。

ちなみに、ラムネはボトルがオシャレではありますが、「大粒ラムネ」という袋タイプも2018年から発売されているようです。知らなかった。

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ついつい癖で計算してしまうと・・・2.390円/g

最安値!

普段から頭を使っていらっしゃる皆様、ラムネでリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。


医療やお酒の話を消化器外科医の目線でお伝えする、外科医のアル研(Twitter / stand.fm / Instagram)です。

<参考文献>

1. 堤 幹宏. 【アルコール依存症】検査とその読み方 アルコール性肝障害. 臨床検査. 2012;56(13):1435-1440
2. Kreisberg RA, Siegal AM, Owen WC. Glucose-lactate interrelationships: effect of ethanol. J Clin Invest. 1971;50(1):175-85.
3. Singh SP, Patel DG. Effects of ethanol on carbohydrate metabolism: I. Influence on oral glucose tolerance test. Metabolism. 1976;25(2):239-43.

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