情報を収集する時代から、情報を吟味して取捨選択する時代へ②【”情報発信者が誰であるか”が大事】
医療やお酒の話を消化器外科医の目線でお伝えする、外科医のアル研(Twitter / ラジオ)です。
情報を収集する時代から、情報を吟味して取捨選択する時代へ①【医療情報とどう向き合うか】の続きです。
前回は医療に関する情報収集について気になることをお話ししました。
結論から言えば、何らかの症状に困っているときは早期に受診することが一番ということです。
強いて調べるにしても、ザックリと、こんなこともあるんだな、くらいにしておいて下さい。
では、おまけの話です。
ちょっと調べた結果、何の根拠もないトンでも医療や代替医療を含め、色々な治療方法が紹介されており、中には標準的な治療について「こんな治療には注意!」なんて紹介されていることもあるかもしれません。
本当に混沌としているな、と感じることがあります。
もう、どれを信じればいいんだろう。
エビデンスを重視する方であれば、その治療の元文献(一次情報)を調べて評価できるでしょう。
だた、ほとんどの方には難しいと思います。
文面から受ける印象や有名な意見であるかどうか、という判断基準だけだと、トンでも医療に引っかかってしまうことがあります。
医療自体も進歩していき、一昔前まで当たり前だったことが、今では行われていないこともあります。
病院やクリニックで行われている標準治療が他の治療よりも100%優れているとはいえないかもしれません。
しかし、標準治療と言われるようになるまでには、それなりの人員や労力、お金をかけて臨床研究を進め、統計学的処理を行った結果を集めることで「この方法がよさそう」と言われる、長い道のりを経ているのです。
よって、単なる思い付きや良い印象、個人または少人数の経験談よりは治療効果が期待できると考えられます。
患者さんの希望が「病気を治したい」ということであれば、医療従事者が力を合わせて希望を叶えたい。
だからこそ受診していただきたいと思うのです。
ただ、皆がみんな「治したい」という気持ちだけではないと思います。
例えば、もう年だから、辛い治療はしないでこのまま家で暮らしたい。
この場合は、治療方法があるとはいえ、本人や家族の意思を尊重する姿勢が大事だと思います。
また、「病気になってしまった恐怖から逃れたい」という気持ちが最優先であった場合はどうか。
この場合は、適切な治療で病気が治れば恐怖もなくなりますよ、とお伝えしたいのですが、このような方の一部が標準治療からそれて行ってしまうことがあるのです。
正直残念に思うのですが、最優先にしていることが異なることが最終的な決断に反映されているのでしょう。
少なくとも素直に病気を治したいと思っている方だけは全員、医療従事者が考えるベストな治療を受けてもらいたい、それが私の願いです。
ということで、根拠のないトンでも医療に足元をすくわれないコツは何か。
当然内容を評価できればいいのですが、専門外の方には難しい。
簡単にできる方法はズバリ、その情報を「誰が発信しているのか」というところに注意することだと思います。
私自身もこの点注目しています。
厚生労働省や、国立衛生研究所(NIH)、国立補完統合衛生センター(NCCIH)、国立がん研究所(NCI)といった機関からの発信が信頼できるので、できるだけこのような情報を収集すると良いです。
また、個人が発信している場合はネットで調べれば、発信者が医師がどうかすぐに分かります。
医療情報で発信者が不明な場合は無視しましょう。
実は、医師であっても、標準から外れて変わった治療をしている人もいるので、この点は注意が必要です。
その医師が医学界で認められているのか、判断できるといいですよね。
この方法を紹介してみようかと思っています。
医師であれば全員知っているであろう方法ですが、看護師含めその他の医療従事者でもなじみがないかもしれません。
正直、ここまで調べなくても、医療に関しては受診した方が早いですよ。
あくまで、マニアックな話に興味がある方に向けた話になります。
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