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KAIDAN-KAIやろうぜ♯2/権堂怪談会

2017年、私は都市部で開かれている怪談会というものに参加したくてうずうずしていました。個人的に子供(ちなみにこの子がのちに信州怪談会のビジュアルイメージになったオバケを描いてくれます)も生まれてまだ幼く、1人で東京に遊びに行くことはできませんでした。つまり長野県で開催される怪談会に行くしか方法はないのです。


怪談会の検索はGoogleさんとの格闘です。『怪談会 長野』、『怪談会 松本』など、『怪談会 スペース 長野県の都市』と検索する毎日でした。そう簡単に出てくるわけでもないですが、ようやく見つけたのが地域情報サイトのジモティーです。「怪談会やりませんか?」・地域:長野市を発見、投稿者はシカという方でした。急いで連絡を取り、参加希望の旨をお伝えしました。後でわかったことですが、シカさんは怪談売買所でも有名な、怪談師として活躍されている宇津呂鹿太郎さんでした。


怪談会の名前は「権堂怪談会」。権堂は長野市民ならだれでも知っているアーケード街のある地名、以前に比べると廃れた気配のある商店街です。その権堂の公民館の一室でその怪談会は開かれました。予定されている部屋に入ると、部屋の明かりは薄暗く宇津呂さんが用意されたであろう幽霊画やドクロなど怖めのグッズが置いてありました。古びた公民館と古畳の和室が醸し出す独特の雰囲気に、ワクワクが止まりませんでした。


宇津呂さんから挨拶と、怪談会のルールを説明してから怪談会が始まりました。車座に座って参加者一人ずつが、体験談を語り継いでいく座談会形式というものです。1番目の人は観光雑誌を作られている方で、更新のためにとあるペンションに行ったらそこは更地になっていて…という話でした。聞いたことない切り口で面白かったと覚えています。私もなんとか話して、その後も続いていったのですが…


皆さん怪談を上手く話そうという気持ちがないのがわかりました。当たり前と言えば当たり前ですよね、普通の人なんですから。ただ、その場で体験した話しを淡々と語っていく状況、「話している人が誰かもわからない」、「知っている人は宇津呂さんしかいない」も相まって本当に怖かったです。驚かそうともしていないし、でもこれがリアルで、ヒリヒリする感覚がありました。この時思った気持ちが『怪談って上手く話す必要ってある?』という感覚と、『雰囲気は大切』ということです。


一番印象に残った話は「亡くなったお母さまを棺にいれて自分で…」という内容。話した内容もさることながら、その方の雰囲気も怖かった。60歳ぐらいの細身の方で薄手の白シャツ、白いステテコという外見。「雰囲気が怖い人が語りる怪談が一番怖い」と聞くことがありますがまさにこのことだなと思いました。雰囲気の怖い怪談師さんがいますが、正直言って舞台に上がって話している時点で「本当にヤバイ人ではないんだな…」と思ってしまいます。プロレスで言えば、ブッチャーがそのフォークを観客には向けないのと一緒です。ハンセンのロープはよく観客に当たっていますが…。すみません、話を元に戻します。


権堂怪談会でその人の話を聞いた時は、目の前でナイフをちらつかせて脅されているような感覚がありました。この時、「本当に怖い怪談は普通の人からなのか…?」という気持ちもわきました。ちなみにそれ以上に怖かったのはその人が、そこそこ長尺の話しの後に、続けて別の話しを始めたことですね(笑)。あれ?一人一話では…?おもわず、宇津呂さんの顔を見てしまいました。

わたしのnoteも長尺なってしまったようなので次に続きます…

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