ゴジータとの再会

ある日の電車内。
車内は海外からやってきた観光客が多く、わいわいと賑わっていた。
私はとあるガタイのいい男三人に目が行った。恐らく欧米の方たちで、一人の男性が大きな袋に手を入れニヤニヤしていた。ちなみに周りの二人もニヤニヤしていた。
懐かしい。
取り出したのは、『ドラゴンボール』のキャラクター、「ゴジータ」のフィギュアである。一応説明するとゴジータとは、言わずと知れた悟空とベジータが、フュージョンという方法で二人で一人になった姿である。
「とてもクールだぜ」だのなんだの言いながら、とにかくニヤニヤしていた。ニヤニヤするのも分かる。

私が小学生の頃、アニメ「ドラゴンボール」の話題でひっきりなしだった。しかし、その当時はまだ観たことがなかったため話についていけなかった。
日曜日になり、ふとテレビをつけると「ドラゴンボール・改」が放送している。それまでは全く興味なかったが、いつの間にか食い入るように観ていた。
「なんだこれは・・・!」
そこで初めてドラゴンボールの凄さに気づく。だからこんなに人気なんだと。

まんまとどハマりしてしまい、劇場版を観に行った。そこでゴジータが登場した。正直詳しい内容は覚えていないが、ゴジータの何もかもがとにかくカッコよかったのだけ覚えている。

それ以来小学校で会話からハブれることはなく、それどころか休み時間になるや否やドラゴンボールごっこに参加。そこで私はゴジータ役を、かなりおいしい役をもらっていた。
ちなみに実際にはフュージョン出来ないので、友達二人がフュージョンした間をくぐり抜け、ゴジータ役の私が登場するという段取りだった。

嬉しかった。それはただ単に日本のカルチャーにニヤニヤしているのを見たからという訳ではなく、どこの国でも少年心はみな同じなのだと。
そして、色んな素敵な思い出を思い出させてくれてありがとう、という気持ちにもなった。
そこで映画配信アプリでそっと劇場版ドラゴンボールを開いた。

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