④走り抜けた5週間最後の舞台制作ノート(小道具)

続いて今回の肝となるサロメの願いにより殺された予言者の首の制作。
“ハロウィン“、“食べる“、”顔“などと検索していたらヒットしてきた生ハムで作られた人の顔とその作り方。当初これを参考に最後のシーンの印象付ける小道具を作ろうと考えていましたが、本当は自分の生首だったらとも考えていました。

生ハムでゾンビのような生首でもいいのですが、ドーム型の料理蓋を取った時に自分の生首だったらそれはどんな意味合いを持つのかと考えると、なんとか自分の顔にできないものかと思うようになりました。

で、これは本当に運が良かったのですが友人のラウンジバーのスタッフが特殊メーク専門学校の卒業生だと判明。早速日程調整して顔の型取りをしてもらうことになりました。

そこからは一気にアイデアが出てきます。

生ハムをケーキに変更。アメリカの3Dキャラクターケーキの作り方を探して探してそれに使用される材料を見つけ出し、準備は着々と進んでいきます。土台になるスポンジ生地は脆いのでマフィン生地でどっしりとしたものにし(合計6個のスポンジケーキが必要なのですが家庭用ではとてつもなく時間がかかるため今回は知人のパティシエに無理を言って焼いてもらいました)、バタークリームで土台造形を行いその上に砂糖粘土(シュガーペースト)を被せます。仕上がってきたシリコン製の自分のライフマスクにも同じく砂糖粘土(シュガーペースト)を内側から押し当てていき乾燥するのを待ちます。

が、ここでトラブルが。本来乾燥してカチカチになる(と言われている)シュガーペーストがまる2日過ぎても粘土状のまま。これではシリコン型から外した途端グニャリと崩れてしまいます。

本番まであと4日と迫る中、焦りが募ります。意を決して型から外しもう一度練り直して、今度はシリコン型側に粉糖をまき、もう一度押し付けます。そうするとみるみる固くなっていき。型から外してもお面のような状態になりました。

成功!
あと着色だ!

と食紅をお面に着色するような要領で塗っていきます。

が、ここでもトラブル発生。
着色の水分を吸って再び砂糖粘土が軟化してしまいました。もうどうしようもない状態で、購入した砂糖粘土もあと僅か。

予定を変更して着色するのではなく予め食紅をシュガーペーストに混ぜて青みがかった色にし、赤い色素を混ぜマーブル状の赤い幾筋もの文様が浮き出たようなデザインに変えます。

あとは乾くのを待つだけ。

食紅を大量に入れてしまったせいで中々乾かず、本番直前にようやく少し硬くなったので、急いで土台になる頭部の型に被せます。本番はどうにか微妙な型崩れだけで自分の顔の印象が残っていたため、ドーム型の蓋を取った時には会場が一瞬どよめき、最後のシーンの頭部を食べるシーンへと緊張感が高められたように思います。

⑤走り抜けた5週間最後の舞台(あとがき)に続く


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