metamorphoses あとがき


今日例年より遅めですが雛飾りを出しました。
これから半月ほどロビーで干しを兼ねて鎮座します。

さて、怒涛の広島発表会。
会場のヲルガン座の16歳の誕生日。
本当に怒涛でした。

最後の記念撮影


何から話していいか分からないくらい、濃ゆく素晴らしい舞台になったと思います。クオリティという部分では全然だけれども、発表会という意味合いではとても素晴らしかった。昨年1年間を通して開催したWSの集大成ですが、男組5名と女組9名がそれぞれ異なったアプローチで各々の色気について取り組んだこの企画は、コンテンポラリー(ステレオタイプ的に例えると)ダンスのような印象的な照明とストーリー性を含まないけれど表情を含めた身体の微細な使い方を見せる男組。
ヒールで踊ることで体幹の使い方や鍛錬を(卵が先かヒヨコが先かでいうヒヨコが先)踏まえて1曲を踊りきる+自分の個性を上乗せして楽しく踊り見せる女組。
そして無音で20分間。視線表情身体と環境音を駆使して即興を行う僕のソロの3部構成で実に2時間もの長丁場になりました。

男組では、彼らに個人個人に伝わるボキャブラリーを探しつつ、彼らが僕の言葉で路頭に迷わないように、飽きないように進めていくことが大きな課題でしたし、そもそも各個人の特性を生かしたクリエーションをするには時間が極めて制限されている中でのWSで、皆がよくもあのレベルまで自己鍛錬をしてくれたものだと驚くしかありませんでした。全然違う見た目で特技も皆違うのに、一様にシュッとしていたのは、とても嬉しかった。

一方、女組は僕が作った茶番劇「ザ・オーデション」の流れに沿って、即興の小芝居を交えながら、最後は1曲を3人1チームの3チームに分かれて、これまた驚くほど自由に踊りきっていました。振りを揃えることは、第1回目のWSを開催した時点で、参加者のキャリアがダンス経験0からキャリア数十年のプロまで混ぜこぜという時点で無理ゲーだと考えていたので、1年考えた末、見に来た人たちに「ダンス上手くてびっくりした」ではなく「ダンスあんなに楽しそうに踊ってて羨ましかった」という感想をもらえるような場づくりをするように心がけました。結果、女組は爽快なぐらいにそれぞれ違う印象に、でも本当にすごいなと思ったのは振付は誰も間違っていない。でも個々の魅力はバッチリ出てる。とても素晴らしいステージになりました。

役者でもないのに芸達者
華やかの一言に尽きる


以下はそのオーディションの構成です。

時は2024年2月18日
場所:ヲルガン座 京都歌舞練場
時間:午前10時

振付家イネシㇰがヲルガン座新作レギュラー作品を発表するためダンサーオーデションを開催。そのオーデション会場に集まった個性豊かなダンサーたち。彼女たちの熱く長い戦いが今始まろうとしています。

シーン①ダンサーの出席チェック3分
ダンサー舞台上に集合している皆ジャージ姿にゼッケン(白ガムテ)をつけている
一人一人番号で出欠確認を取られる

「はい、皆、V字並んで番号がよく見えるように整列してくれ」
(順番に番号呼ばれると返事する)
「あれ?一人足りないじゃないか。10番は今日は来てないのか?」
「ん?何?日韓共同プロジェクト美魔女46のオーディションに今韓国だと!?」
「はぁぁぁ、最近はアイドルだけでなく美魔女まで巨額投資始めたのかあちらさんは!」
「まぁ、いいこのメンバーで始めるぞ」

シーン②チーム分け2分
任意のチーム分けが行われる
これは番号順ごとにチーム分け(本番とは別)

「今から課題曲の振付を見るために3人ずつのチームに分かれてもらう」
「1~3番はAチーム、4~6番はBチーム、7~9番はCチームだ。それぞれチームに分かれるように」
「皆、課題曲はしっかり覚えているか?振付も覚えているな?」
「よし、では先ずはAチームから。残りは後ろに下がって待機してくれ」

シーン③課題振付披露15分
各チーム5分
最初のワンフレーズを披露し審査員からコメントを受ける
このシーンはゼッケン番号で呼ばれる
全員壇上で待機
チームが踊っている間は舞台奥でその様子を見てる小芝居

所感はアドリブで進める。

シーン④選考3分
モノローグ(録音)
「今日のオーディションは中々面白い連中ばかりだったな。」
「組み合わせによっては面白いショーが作れるかもしれないが、そこまで欲張れるほどの予算もこのショーには掛けていられないんだ」
「とはいえここまで個性勝負の連中が集まると...」
「4番...パワー推し、5番ベテラン、8番...愛嬌推し、7番のアッハンウッフン度も大概だな」
「2番、3番はオールマイティー型か...、6番はしぐさにハマる太客が付きそうだし」
「1番はすねた猫系表現がうまい、使えるな」
「9番はステージがまるで台所のような家庭的な雰囲気に塗り替える力を持っていやがる」
「くそ!どうすればいい!どうすればいいんだ私は!」
「この9人の中で新作の顔になるやつを決めなければ!」
「ぐうううううううう」

シーン⑤発表3分
「これより今回のオーディション合格者を発表する」
「呼ばれたものは一歩前に出るように」
「6番、7番、9番」
「君たちは合格だ」

間を置いて
「次にー...」
「2番、3番、8番」
「君たちも合格」

「残りの3人」
「1番、4番、5番」
「君たちは残念ながら...合格だ!」

オルガン座の外で
ジャージから着替え4分(場をつなぐ小芝居)

「余りにもキャラが被らなさ過ぎてこれならば色んな客を引っ張てこれると踏んだ」
「興行的にはちと厳しいが、未来への投資だと思って全員合格となったよ」
「さて、君たちはこれから本格的にトレーナーの元で更にダンスの技術を磨いてもらうことになる」
「ショー初日までに必ず仕上げていくようにしてくれたまえ」
「期待しているぞ」
「彼女たちは全員合格という奇跡を起こしました」
「やがて厳しい訓練を積みいよいよ新作ショーの初日を迎えることとなりました」
「9人の新人ダンサーたちは3人1チームの3チームに分かれ
火・金曜日 菫組(バイオレッツ)
水・土曜日 桃組(ピーチズ)
木・日曜日 嵐組(ストームズ)
と名づけられ華々しくデビューを飾ったのでした」

シーン⑥ショータイム8分
構成
曲を3回リフレインしたものを作成。曲かけっぱなしでチームが交代していく。

と、まぁ、この通り茶番劇だったわけですが、その最後に生き生きとしたダンスが披露されて、それでプラマイゼロという感じになりました。


さて、次は土曜夜京都メトロでクラブイベント。
主催が古着リメイク販売をしているsalon de hitozokuなので、その主催とその友達にも頼んで作ってもらった新しい衣装を着て踊ります。めちゃカワイイ!!

色んなところに仕掛けが仕込まれてます


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