見出し画像

微熱の朝、海底掘削ロマン

 突然の発熱、というのではもちろんなかった。
 前日から喉の調子が悪く、暗雲立ちこめてはいたのだ。いつもこの段階で悪あがきするのだけれど、もう逃げられないことを知っている。どうせ逃げられないのだからという気持ちもあり、昨日は迫り来る体調不良に目を背けながら当初の予定を遂行した。
 海上要塞海ほたるに設置されているカッターフェイスの見物と、公営プールでウォータースライダー。メインイベントはカッターフェイス、のほう。
 カッターフェイスというのは、東京湾アクアラインをも掘り進めたシールドマシンの最前部、ガリガリと回転しながらトンネルを掘削する爪の沢山付いた巨大な円盤である。東京湾の海底にチューブを掘ることができるなんて凄い。いや海の下にチューブを掘るなんていう発想がもうすごい。その中を車がビュンビュン走っていることも。
 シールドマシンはその大きさから運搬コストが嵩むため、穴を掘り終えたら取り出されずにそのまま地中に埋められることも多いそうだ。何かの記事でそれを知り、東京の地下に黙ってじっと封印されし数々のシールドマシン達のことを想った。
 海ほたるPAには、カッターフェイスがモニュメントとして展示されている。これは見に行かない手はない。なぜ今までこんなにもロマン溢れるものをスルーしていたんだろう、海ほたるには何度も行ったことがあるはずなのに。物事の背景を知ることは重要なのだな!
 海ほたるの1階にそれは展示されている。本来なら海底で沈黙しているはずの円盤、それが青空の下、カモメの飛び交う中、海風に晒されながら鎮座。冷たい海底の土を掘り進めたカッターフェイス。。。手を触れると海底を掘削する振動が伝わってくるかのようだ。
 モニュメントには解説が添付されております、東京湾アクアラインを掘り進めたカッターフェイス、世界最大規模の、、、嗚呼、最大ではないけど半端にそこそこ大きいんだなこいつ。ちょっぴり残念な気持ちも芽生えつつ、でもこんな湾の真ん中に晒されているのなんて世界でお前だけだよな!
 海ほたるにカッターフェイスを見るためだけに行くなんてことはあまり無いと思いますがロマン溢れるスポットなので激推しです。
 東京側から湾を渡り切った先には富津ジャンボプールがある。複数のウォータースライダーを割と、そんなに、思ったほどは、並ばずに滑ることができていい感じ。波のプール、流れるプールなんかもあるし。
 そうして、おおよそ体調に不安を抱えし者が遂行することがなさそうなプランを遂行し、予想通り今日は喉の痛みと発熱で寝込むのである、青空の下で輝くカッターフェイスの夢をみながら。。。
 満足である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?