npnトランジスタ(Hパラメータ)
定期試験や大学院試では、hパラメータが出やすい。
定型パターンを示す。
初めに、網羅的な回路を題材にする。
hパラメータ
そもそも、Hパラメータは何なのか?
何に使うのか?
定義
Hパラメータは、トランジスタの特性を表し、
2端子対回路において行列で定義される。
※箱$${h}$$は回路の要素でブラックボックスを示している。
この2端子対回路をH行列式(ハイブリット行列)で定義します。
$${\begin{pmatrix} v_i\\ i_o \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} h_{11} & h_{12} \\ h_{21} & h_{22} \end{pmatrix}\begin{pmatrix} i_i\\ v_o \end{pmatrix}}$$
計算をすると、
$${v_i=h_{11}i_i+h_{12}v_0}$$
$${i_o=h_{21}i_i+h_{22}v_0}$$
$${(1)v_o=0}$$
$${h_{11}(=h_i)=\displaystyle \frac{v_i}{i_i}}$$ (入力インピーダンス)
$${h_{21}(=h_f)=\displaystyle \frac{i_o}{i_i}}$$ (電流増幅率)
$${(2) i_i=0}$$
$${h_{12}(=h_r)=\displaystyle \frac{v_i}{v_o}}$$ (電圧帰還率)
$${h_{21}(=h_o)=\displaystyle \frac{i_o}{v_o}}$$ (出力アドミタンス)
fは順方向(foward)
r は逆方向(reverse)
iは入力(input)
oは出力(output)
その後ろにエミッタ・ベース・コレクタそれぞれの接地で添え字が変わる。
$${h_{ie},h_{rb},h_{oc}}$$など
小信号等価回路
Hパラメータを使って、トランジスタの等価回路を作成する。
初めに、トランジスタのみを考える。
冒頭の抵抗やバイアス電圧等を全て取り除いた回路である。
2式を満たす回路を作成します。
$${v_i=h_{ie}i_i+h_{re}v_o}$$
$${i_o=h_{fe}i_i+h_{oe}v_o}$$
一度トランジスタは増幅特性を持つことを思い出してみる。
つまり、小さい(入力)電流・電圧成分が、
大きい(出力)電流・電圧成分になる。
このことから、
入力インピーダンス$${h_{ie}}$$と電流増幅率$${h_{fe}}$$は大きい。
電圧帰還率$${h_{re}}$$と出力アドミタンス$${h_{ie}}$$は十分小さい。
したがって、指示があれば(重要)、
電圧帰還率$${h_{re}}$$と出力アドミタンス$${h_{ie}}$$は無視できる。
煩雑な計算が必要になるが、言及されていなければもちろん無視できない。これが、Z/Y/K行列ではなく、H行列にするメリットである。
ただし、BCE接地で、電流は増幅するが、電圧はしないということはある。
電圧増幅率
では、この回路の電圧増幅率を計算する。
初めに等価回路を図示する。
ポイントは、電圧$${E_c}$$、GNDは短絡すること。
さらに、$${i_i,i_o}$$は、エミッタ抵抗に流れるので網はつながる。
$${R_E(i_i+i_o)}$$となるが、入出力電圧に無関係だから、
$${R_E}$$は書き込まない。
$${v_i=h_{ie}i_i}$$
$${v_o=-h_{fe}R_ci_i}$$
したがって、電圧増幅率$${A_v}$$は、
$${A_v=\displaystyle\frac{v_o}{v_i}=-\displaystyle\frac{h_{fe}R_c}{h_{ie}}}$$
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