第百十九回 Gt 虎|MOVIE TORAVIA 虎年特別企画「厳選!一度は観ておきたい虎おすすめ名作ホラーMOVIE」(前編)

今年は寅年なんですってね。ま、同じ"虎"ということでね、せっかくなので今回はMOVIE TORAVIA初の特別企画でもやってみようかなと考えたんですよ。自分の中で「企画モノをやるならまずはホラーだろう」と思ったんで、自分が過去に観た中から厳選したおすすめのホラー映画を紹介していきたいと思います。

今回ね、"ホラー映画"というものについて色々考えたんですよ。まず、ホラー映画の根本を語るとするなら「誰でも簡単に作れる映画でありながら、誰にも面白く作れない映画だな」って僕は思うんですよ。なぜかというと、例えば「ホラー映画で面白かった映画は?」って聞かれたら、みなさんはどんなものを思い浮かべます?タイトルを挙げようとすると、誰もが知ってるような有名な映画しか出てこなくないですか?いくら考えても出てこないんですよ。出てきたとしても、それ以外は怖くもなければ面白くもない、かなりB級なものばかりで。中には、ギャグ路線に寄っちゃってそっちで観せちゃうホラー映画とかもある。趣向を変えた方向で最後まで観せたとしても、「それは純粋な意味ではホラー映画じゃなくね?」って俺は思うんで、今日俺が語るホラー映画とそれらはちょっと違うかなということで、そういう映画はあえて外したんですよね。単純に、「俺にとってどういうものが怖かったのか」という基準。そこだけで選んだんですよ。その"怖さ"って、ホラー映画は特にそうだと思うんだけど、それを観た時の自分の年齢がその作品の評価にすごく深く関わってくると思うんですね。子供の頃に観て「うわっ、怖いな」と感じた映画も、大人になってからそれを初めて観た人にとっては「これの何が怖いの?」って、たいして印象に残らなかったり、トラウマにもならないことがよくある訳ですから。だから今回紹介する映画も、人によっては「ギャクに寄ってるじゃん」と思えたり、「いや、これの何が怖いんじゃ。もっと他に『シャイニング』とか、怖い映画があるのに」って感じる人もいるかもしれないんですよ。でも例えば、今挙げた「シャイニング」とかは僕の世代じゃなかったんですよね。もっと昔の世代なんですよ。それで、小さい頃って自分で映画をレンタルしには行けないじゃないですか?だから、必然的にテレビで放送されてた映画を観ることになるんですけど、そういう環境下で観て「怖かった」というところで、俺が一番小っちゃい頃にグサッときたのが「ペット・セメタリー」だったんですよね。

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「ペット・セメタリー」 (1989)

内容だけざっくり説明しちゃうと薄いものになっちゃうんですけど、この映画は、「死んだペットを埋めると命が蘇る」というお墓が森の奥にあって、主人公の家族が飼ってた猫が死んだ時に、そこに埋めに行ったら猫が蘇ってきたんですよ。で、ある時その家族の子供が交通事故に遭って死んじゃうんですけど、その子供を、ペットが死んだ時と同じように森のお墓に埋めたら、蘇ってきたんですよ。だけど、蘇ってきた猫も子供も、昔とは中身が違う…。って、こうして内容だけを説明しちゃうと「何も怖くないじゃん!」って感じなんですけど、映画の作り自体がダークな世界観で、なんかすごく嫌な感じが漂ってくるんですよね。死んだ後にそうやって埋めて、蘇ってきたとしても中身は違うものになってる。「人間は単なる“入れ物”でしかなくて、魂が無くなってしまったら全然違うものになるんだな」とこれを観て俺は思ったんですね。それが小さい頃の変なトラウマになって、「死ぬのって怖いな。嫌だな」って初めて思った。そんなことを俺が考えた初めての映画がこれだったんです。これはね、前にも話してますけど、日本は火葬文化なので、絶対こういう「埋めたものが蘇る」というゾンビ的な発想にはならないんですよ。だけど、小っちゃい頃はそういうことまで分からなかったんで、俺にとって死の感覚、「死んだからこういう風になるんだな」というのを一番実感できた映画として、思い出に残ってるんですよね。自分が子供の頃、実際に猫を飼ってたというのも影響してると思います。小さい頃って動物への愛着が強いじゃないですか?だからそれも相まって「ウチの猫が死んだらどうしよう」「死ぬのって怖いな」「そういうのが夢に出てきたらどうしよう」っていうので怖かったところもあるんですよ。小っちゃい頃って、よく夢を見るじゃないですか。みんなは観たことあるのかな?ドラえもんの映画で「のび太のパラレル最遊記」。

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「のび太のパラレル最遊記」 (1988)

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限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…

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