グーグルフライトの研究


これは、2017年8月から9月にかけて、書いたものである。

格安航空会社のピーチを使って、10月25日11時45分に福岡を発ち2時間20分後、札幌、新千歳空港に降り立つ。また復路は10月31日13時20分に、札幌を発ち2時間30分後、福岡に帰ってくる。このように予定を組めば、片道5690円、往復1万1380円で、北海道旅行が楽しめることが分かった。

同じ日に、成田と札幌を往復すれば、最安値はジェットスターの9740円。ただし、復路は成田着が22時15分と、かなり遅い時間になる。

2ヶ月単位で料金が一覧表示されるグーグルフライトのおかげで、最安値の便を使って自由に旅行の計画を立てられるようになった。

Google フライト

博多から夜行バスに乗って、名古屋に向かうとき、9月の最安値が片道6800円かかるのをみても、ピーチの航空運賃は破格の値段といえよう。2時間20分後、博多を出た夜行バスは、まだ広島にも到着していない。

福岡と札幌の間を1万1380円で往復できるのなら、福岡と東京の間の往復運賃は、最安値なら5000円ぐらいではないかと考えても許されるだろう。

しかし、福岡から羽田空港へは、9月下旬から1万7580円の往復料金が表示されるだけで、この価格以下では無理のようだ。

そこで、目的地を羽田と成田の両空港に変えるとしよう。グーグルフライトでは、複数の空港を入力できるからだ。そして福岡発を11月28日、成田発を8日後の12月6日にすると、なんと驚くなかれ、価格は4740円。もちろん往復料金である。数日後、この最安値のチケットはもう売り切れてしまっていた。このときの最安値は9940円。往路は後述する夜の便ではなく、12時45分成田着である。

ジェットスターが提供している、この太っ腹の料金には、カラクリがある。成田着が22時20分と、空港から外へ出るときは、真夜中近くなってしまう。帰りの成田発も、早朝の7時10分と、かなりの早起きを要求される。しかし、成田空港内にあるカプセルホテルを利用すれば、深夜の到着と早朝の出発にも対処できるのではないか。その分、出費がかさむことになるが。

もちろん、ひどく安いだけに、大きな荷物を預けると、別に料金を取られる。しかし、手荷物は7キロまでなら、機内への持ち込み自由。食事もお茶もコーヒーもお菓子も娯楽も何もないが、たかが2時間ほどのフライトである。機内は気圧の関係で、特に喉が渇くので、水筒は欠かせない。それに文庫本1冊が手元にあれば、ほかに何もいらない。クレジットカードを持たない身としては、コンビニ決済のとき、手数料が取られるのが痛い。ヤフオクを見習ってくれ。

この夜遅い成田着と朝早い成田発のジェットスターの便と比べて、福岡と札幌を結ぶピーチの格安便は、値段だけでなく時間的にもすぐれている。往路は札幌着が14時10分、復路は福岡に到着するのが15時55分。

グーグルフライトでは、先に目的地に複数の空港を入力できると述べたが、これはもちろん、出発地でも可能である。たとえば、佐賀空港の近くに住んでいる人が、ほかに付近の空港として、福岡、長崎、熊本の各空港をプルダウンメニューから選んで入力できる。

前述の4空港を入力して、目的地を台北にすると、検索結果は、すべて福岡発の便であった。往復運賃の最安値は、エバー航空の2万7981円。10月3日12時20分、福岡発の2時間20分のフライトである。奇しくも、これは札幌への飛行時間と同じである。そして、福岡から札幌へは、台北への半額以下で飛べるとは嬉しい驚きである。国際線に比べて、国内線は運賃が高いとこれまで、ずっと言われている。

先日、旅行会社の横を通ったとき、大きなポスターを見かけた。10月27日まで、福岡からヘルシンキへ、週3日、フィンエアーが直行便を出しているという。日本航空との共同運行である。

福岡からヘルシンキへ向かい、しばらく滞在し、それからロンドンへ行き、帰りの便もヘルシンキから、福岡への直行便を利用したいとき、出発地欄の上にある複数都市をクリックすると、入力欄が追加されるようになっている。

福岡とヘルシンキ、ヘルシンキとロンドン、ロンドンとヘルシンキ、ヘルシンキと福岡と8箇所の空欄に入力したあと、直行便のある日を選べば、全行程でフィンエアーを使うのが、最安値だと判明した。

10月4日10時に福岡を出て、ヘルシンキ着が14時25分。所要時間は10時間25分。6日間の休暇を楽しんだあとで10月10日14時05分ヘルシンキから英国の首都へ。3時間05分後、ロンドン15時10分着。

ロンドンでは1週間以上も滞在した後、10月19日07時30分、ヒースローを発ってヘルシンキ着が12時40分。4時間近く待たされたあと、16時30分に福岡行きのフィンエアーに搭乗、到着は翌日の8時。12万1930円。

福岡とヘルシンキを結ぶ、フィンエアーの直行便の最安値は、9万円弱。それなら、ヘルシンキとロンドン間は、格安航空会社を利用したら、もっと安くなるのではないか。確かに、ノルウェーの会社を使えば、最安値1万2000円ほどで往復できる。ロンドンの空港は、ヒースローではなくガトウィックになるが。

出発日を入力する欄の下には、ほかに乗り継ぎ回数、料金、列車、時刻、その他と表示されている。使い方は、いたって簡単。初心者でも、すぐに使いこなせるであろう。

列車で思い浮かぶのは、ユーロスターなので、ロンドンからパリへ行くとき、電車と飛行機で、どのくらい時間と料金に差があるのか、調べてみよう。

10月4日、ガトウィック空港9時40分発なら1時間20分後には、パリのシャルルドゴール空港に到着、料金は往復で7739円。11日のロンドン着は20時20分。

一方、ユーロスターは、セントパンクラス駅から出て、パリ北駅へ、所要時間は2時間16分、往復で1万0150円。

航空機を利用するときは、市内から空港まで、また空港から市内へと電車やバスが必要なので、かえってユーロスターのほうが、時間も料金も節約できて、便利なのかもしれない。

長崎を出発地に、羽田と成田を目的地に、また日程を9月19日と23日に指定して、往復航空券を検索すると、最安値は、スカイマークの2万4000円ほど。このとき、日付に関するヒントが緑色で表示された。往路を9月20日、復路を25日にすると2500円、安くなるという。

左端に出ている金額2万1580円をクリックすると、今度は空港に関するヒントが出てきた。出発地を福岡にすると、7920円安くなるという。再び、左端の金額1万3660円をクリックする。復路を27日にすると1540円安くなるという。みたび、左の1万2060円をクリックすると、ジェットスターの往復料金1万2000円が表示された。ただし、成田着は22時20分である。帰りはピーチの航空機を使って、福岡着は11時05分。

このように、日付と空港を変えたら、どのくらい運賃が安くなるかを、人工知能が教えてくれる。出発地を長崎から福岡に変え、往路と復路の日を少し変えるだけで、往復料金が半額になることもある。

長崎と福岡を結ぶ高速バスによる往復料金は5140円、所要時間は2時間20分。福岡空港の国際線ターミナルで下車すると、国内線ターミナルへは無料のバスが出ているので、利用価値はかなり高い。4枚つづりの回数券を買えば、往復料金は4114円。これは使用期限なしだから、重宝する。

左上にある「フライト」をクリックして「地図で探す」にすると、日本地図が出て福岡から札幌へ青い線が引かれている。札幌の横には1万1380円と最安値の往復料金が見える。東京の横には、4740円、石川県の小松空港の横には10万7590円。

どうして、こんなに高くなるのか。福岡から一度、仁川国際空港(以下インチョン)へ出て、それから小松空港へ向かうからである。

インチョンは、アジアのハブ空港になっているようだ。アジアでは130都市、日本でも39空港に定期便がある。だから、この国の地方空港から、ソウル郊外のインチョンへ出て、世界の各地へ飛ぶことができる。

福岡からロンドンまでインチョン経由なら7万0448円、ただ途中で16時間半も待たされることになり、空港で夜を明かすことになるが。11月1日出発、9日帰国の便である。

グーグルフライトは、てっきり、英語でしか使えないものと思っていたが、左上にあるフライトの文字をクリックして、言語と通貨を変えられることがわかった。

英語から日本語へ切り替えるとき、なぜか出発地がフランクフルト・アム・マインとなっていた。これは、ドイツの都市に違いない。この地から旅を始めるとき、日程を11月の2週間、場所をヨーロッパ、趣味関心をハネムーンに指定して、人工知能がどんな旅を提案してくるのかみてみよう。これは「旅程を探す」というトップページにあるサービスである。

表示されたのは、全部で18箇所。トップは、ギリシャのザキントス島、11月1日から17日まで、26万4206円から。次が、スペイン領カナリア諸島のひとつ、ランサローテ島、11月12日から26日まで、1万5721円から、そして、アテネ周辺。これにしよう。なにしろ安い。

どこに泊まるとしようか。今はやりの民泊にきめて、某大手が運営しているサイトを覗くと、アテネ市内の素敵なアパートが見つかった。持ち主の名はスパイロス、ウィンストン・チャーチルの写真が添付されている。11月16日から28日までの12泊の料金は、ふたりで3万9000円ほど。ユースホステルに泊まるよりも安くて、申し分ない。

人種、宗教、セクシャルマイノリティに関係なく誰でも大歓迎。でも人種差別主義者とナチ信奉者は、おことわり。アパートは改装したばかりで、地下鉄の駅すぐそば。グラフィック兼ウェブデザイナーの提供者は、同じビルにオフィスを持ち、困った時は、パートナーと一緒にいつでも相談に乗ってくれるという。

寝室には、大きなベッドとテレビ、洋服掛けがあるばかりで、ガランとしているが、無線でネット接続できる。ほかに小さなキッチンがあるので、簡単な料理ならできそうである。もちろん、バスルームもついている。気になる点は、民泊をはじめてから1年半になるのに、まだ宿泊者の評価が、全然ないことくらいか。

フランクフルトからアテネまでの往復料金は6703円。
11月16日7時05分に発つと、アテネまで3時間のフライトである。帰りは11月29日、11時30分、アテネを発ち、フランクフルト到着は13時45分。時差の関係で飛行時間は3時間15分。航空機は、ライアンエアー、格安航空会社であろう。

ライアンエアーというのは、価格破壊の料金で運営しているに違いない。フランクフルトからアフリカ大陸沖にあるランサローテ島へ4時間40分もかかる直行便が、とてつもなく安い。11月29日に発って1週間後に帰国すれば、往復料金は8853円。

ロンドンからだと、最安値の往復運賃は7000円ほど。ユーロスターや航空機を使って、パリへ往復するよりも安い。所要時間は4時間15分。ランサローテ島の年間の平均気温は22度なので、冬の避寒地として、また夏は避暑地として訪れる人が多いのではないか。

2014年のイースターには、英国のキャメロン前首相も家族を伴って、この島で休暇を楽しんでいる。宿泊したのは、400室を擁する豪華ホテル、プリンセサ・ヤイザ。

アテネではなく、カナリア諸島のランサローテ島でハネムーンを過ごすなら、このホテルに泊まりたい。65平米の部屋、大西洋を見下ろす10平米のテラスつきを14泊予約すると、料金は50万円ほど。

それにしても、フランクフルトからランサローテ島への往復料金が、1万円以下とは羨ましい。11月下旬、札幌から台北に飛ぶと、所要時間は3時間35分、往復料金はピーチの2万0700円である。また、フランクフルト中央駅からパリ東駅まで11月1日、列車を使うと、所要時間はおよそ4時間。11月8日に帰ってくると、往復料金は1万0063円。これに比べて、フランクフルトとランサローテ島を結ぶ往復料金は、格段に安い。

ヨーロッパの各都市を結ぶ航空運賃が、これだけ安いと、日本からヨーロッパへ行くよりも、ヨーロッパから日本へ来るほうが安いのではないか、という疑問が湧いてくる。

パリはシャルルドゴール空港から東京羽田への直行便の往復運賃は、11月下旬、全日空が9万5877円、エールフランスが10万3103円。羽田発シャルルドゴール着でみると、全日空が12万6620円、エールフランスが13万6120円、日本航空が14万7020円。やはりヨーロッパ発のほうが3万円近く、安くなっている。

11月下旬のパリ上海往復料金は、中国東方航空もエールフランスも、直行便は同じ6万3041円。上海パリ直行便は、中国国際航空が8万1769円、エールフランスが8万8166円。ここでもヨーロッパ発が2万円前後、安くなっている。

それでは、パリとニューヨーク間ではどうか。パリ発の往復料金は、エールフランスとデルタ航空の直行便が6万2561円、英国航空なら6万2230円。しかし、もっと安い直行便がある。格安航空会社と思われるノルウェー・エアシャトルを使えば3万9587円。

ニューヨーク発にすると、エールフランスの直行便は8万3136円、英国航空なら7万0219円、アメリカン航空なら7万0550円、デルタ航空なら8万3467円、ユナイテッド航空なら5万2887円、そしてノルウェーの直行便は3万6839円。ユナイテッド航空と北欧の格安航空会社を別にすれば、いずれもヨーロッパ発のほうが安い。

ヨーロッパ発の航空運賃並に、もう少し安くなるまで、海外旅行の自粛をしたらどうだろうか。航空会社にお灸をすえる必要がある。海外に出る若者が少なくなったと老人は嘆いているが、案外、高い航空運賃に抗議の声を、無言のまま、あげているのかもしれない。


2017/08/23 19~21時
2017/08/29 10~12時
2017/09/11 10~12時
上記の時間に調査

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