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『神様になった日』第二話備忘録

第二話!今回も笑って泣いてと素晴らしい密度とテンポ感でしたね!!

 OPについて

とうとう解禁されたOP「君という神話」

麻枝准自身がここ数年で一番の出来と太鼓判を押した曲だが、本当に素晴らしい。麻枝准の曲は「時を刻む詩」(『CLANNAD AFTER STORY』)や「CANOE」(『Rewrite』)などの変拍子、変態曲のイメージが強いが「Karma」や「Life is like a Melody」(『智代アフター』)など 渾身の神曲は4/4拍子なのである
「君という神話」は「karma」や「soldiers 」ほど聴く人を突き放すような遠いところには行かず、それでいて曲のクオリティは一歩手前レベルまで研ぎ澄まされてる。アニメOPらしいポップさと麻枝准のオリジナリティが極めて高いレベルで融合しており、10年代以降麻枝が挑戦していた比較的高BPMの曲の完成形、まさに傑作と言えると思う

早くフルが聴きたくてたまらない。イントロの最初に八分休符を挟むだけでここまで意外性のあるメロディーを作るのは麻枝曲の真骨頂

映像は全体的に「眩しく煌めく」イメージ、『神様』の絵は『AIR』を彷彿とさせるような夏の光、透明なのではなく白く、半透明なヴェールがかったような画面になっている

そして鍵っ子の多くが思ったことだろう、このOP映像にはデジャブを感じると。夏のノスタルジックな感じだけではない、既視感。そう、『AIR』のイメージだ

OP映像 『AIR』的なイメージ

それでは、細かく各シーンを見ていこう。

(画像の引用は権利者の利益を侵害しないよう、OP映像のみからに限定した。引用元は上記ニコニコ動画、VAの公式動画である。正直スクリーンショットがSNSなどで投稿されることに、宣伝効果を含め特に申し立てが行われていない以上、この程度の引用は問題ないと判断した

すべての画像の著作権は©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project及び © VisualArt's/Key/翼人伝承会 に帰属する) 

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タイトルバックに目を閉じて、背中合わせの陽太とひな。そして羽根が舞う

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そう、アニメ版『AIR』のタイトルでも羽根が舞う。AIRの翼人、AB!の天使など羽根のイメージはこれまでも明確に麻枝作品に現れていたが、『神様』でも出てくるのだろうか(そもそも神様の使い=天使なのか?)

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続いてこのシーン、ひなが塀の上でちょこまかと動いていてとてもかわいい

このカットを担当されたアニメーターさんの呟きだが、やはり明確にロケをしている場面のようだ。Key作品で高低差と聞くと、これを思い出さざるを得ない 

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そう『AIR』の海岸である。主人公往人とヒロイン観鈴が出会うのは堤防(塀)のうえであり、当時大きな議論を呼んだあのEDの少年と少女は堤防の下の海岸にいる。塀の下から上を見上げる視線は麻枝作品において重要だと個人的には考えている

(「灰色の翼」を想起するのはこじつけが過ぎるが、一応書き留めておく)

ああ空だけは続くどこまでも  ああ鳥のような羽根があったなら  ああこの壁を越えて君のもとへ  ああそんな二人で遠い海へ  ああそんな夢を見ていたんだ僕ら
その夜ひとりの少年が  壁を乗り越えようとした  ——「灰色の翼」

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位置関係という意味ではこちらのカットも言及せずにはいられない。ひなが両手を翼のように広げながら歩く半歩後ろを陽太が続く。そう、『AIR』の往人と観鈴の位置関係そのままなのだ。流石にこのシーンは「うわぁ!AIRだ!!」と声に出してしまった

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阿修羅くんのバイク、これも晴子さんを思い出す

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ひなが一人だけのカットはとても印象的。やはりひなは陽太たちにとっての「異邦人」なのだろうか。みんなで花火をみてる画から一人で海?を臨む後ろ姿はかなり寂しい。ヒロインは光の中、一人で佇むのだ

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と、半ばこじつけのように『AIR』と結び付けてみたが、なにもこれはアニメスタッフが明確に『AIR』をオマージュしているといいたいわけではない。むしろ、上記のツイートにあるように夏感が出るロケ地を選択し、そのイメージを大切に描いているに過ぎないと思う。つまりそれだけ「夏」というノスタルジックなイメージは私たち、もしくはKey作品において共有されているものではないだろうか。「入道雲」のような記号的なものを含みつつも、新海誠作品などの他の夏とは明確に異なるKeyの夏だ

ゲーム・カメラ・金魚

その他気になったカットを。ゲームは第二話本編でもひながプレイしていたうえ、EDの「ゲームみたいにリセットで」という歌詞から何かありそう。いろいろと予想すること自体はできるけど、いずれもつまらないので敢えて書きはしない

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『神様』では妹が映画を撮るという時点でカメラはとても重要なのだけれど、前作『Charlotte』で友利がカメラで記録をしていたように近年の麻枝作品ではカメラは明確に意図されて登場している。「他者」を思うこと、その絶対的なすれ違いを描いたCharlotteで、スマホなどが普及している時代設定でありながら友利が記録媒体としてビデオカメラ越しに世界を見ていたことは意義深い(長くなるので割愛するが、別の記事で書いてみたい)のだが、『神様』ではより直接的に映画を撮るものとして登場している。

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タイトルロゴに生き物が描かれているという点でも『AIR』と共通(AIRは鳥)している『神様』だが、その生き物である金魚がOPにも登場している。後述するが、第二話では金魚は風鈴や金魚鉢(不在)としてしか登場しておらず、今後どう関わってくるのか楽しみだ。夏と金魚というと、やはりお祭りの金魚すくいだろうか……?(にしては立派な金魚だが)

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そのほかに気になったのは陽太とひなの背中合わせの関係だ。タイトルバックの構図でも思ったが、陽太とひなは横になって歩いている位置関係と、背中合わせの位置関係の二つがある。

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『神様』の背中合わせというと第三弾キービジュアルの鈴木少年とひなも背中合わせだ。二人とも平凡な苗字(佐藤と鈴木)という点が共通しているが、今後どう絡んでくるのか(鈴木少年側と思われるCEOも名前の個別性が奪われたキャラクターだ)

とOPに関してはこんなところだろうか。次に本編で気になったシーンを列挙していく

Aパート(~09:58)

ひなは今世紀の名づけランキング一位とのこと。ザっと調べてみたが、2003・05・06・08・09・11・14年の一位でほかの年も二位や三位にランクインしている。(明治安田生命 名前ランキング調べ)『天気の子』との被り疑惑は無罪やったんや!()

そしてひなちゃんは成神家の遠い親戚だそう。まぁホントかウソかはわかりませんが、少なくとも成神父母は何か事情を知っていそう

空ちゃんの語尾、「~だし」なんか聞き覚えがあると思ったら『サマポケ』のしろはか!若干コミュ障っぽいところがとてもかわいい

「こっちは自称なんだよ~」ひなちゃん予知とかは兎も角、名乗ってるのは自分からなのね……

贅沢・・・これは単にひなが置かれていた状況に比べて贅沢という意味なのだろうけど、単純に今の世の中から見て成神家がかなり良い暮らしになってしまうのが何とも世知辛い

「良い思い出はないな、そんなのがあれば人は幸せでいられるんじゃろう」  ——ひな (05:26)

逆に思い出があれば、幸せなのだろうか(『AIR』も『Rewrite』も良い記憶を希求した物語だった)

八幡大学、ちゃんと神様の名前…さらっとPVの鈴木少年のコンピュータ画面に映っていた文字列なんだよな

「ゲーム」という言葉は知っていても遊んだことはないひな。単にそういった境遇だったのか、全知がそういうものなのか

ゲーム機がPS4っぽいのにゲーム画面はかなり簡略な感じ(「Final Sword!」)これは単なる手間暇の問題か、それとも?(『Charlotte』で有宇が遊んだアーケードゲームがしっかりと描写されていただけに)

陽太くんの部屋バスケコートになってたりかなり好きなのね、一軒家じゃないとボールの音が響いてできたものじゃない

ひなの瞳が黄色が差し色として入っているのに対し、伊座並さんは緑色

母親を亡くしているのはKey作品だと主人公に多いが、今回はヒロイン(?)が

伊座並さん中学生のころから岩波文庫読んでいらっしゃる…タイトルは識別できなかった

普通に考えて伊座並さんが陽太の告白断ったの、受験期だからじゃね?と思うがだーまえの描くキャラは普通じゃないので多分理由は別にある

Bパート(09:57~22:29)

怒涛の名作映画パロディ。自分はこちら方面にはめっぽう疎いので元ネタは全然知らなかった(アルマゲドンとロッキーとシザーハンズと…?)

金魚柄の風鈴(15:32)これだけ金魚が前面に出ているのに実際の金魚は登場しないという……というか今のところ人間以外の動物登場したか?

音楽!伊座並さんは映画が好きで音響監督を目指している…「音の心理学」と繋がりましたね

ひな、即座に作曲は出来ても、弾くことはできないのか。全能……

「それこそ弾けたら奇跡だわ」(18:54) 麻枝准といえば「奇跡」というイメージがあるが、個人的には奇跡そのものではなく、「奇跡に対して人は如何なる行動をとれるのか」という方に力点が置かれているように思う。特に前作『Charlotte』は明確に奇跡を捨てる物語だと思うので

ピアノ演奏のシーン

早くもここで少し泣いてしまった。自身がピアノを弾くからこそ、陽太の気持ちもそれを見つめる伊座並さんの気持ちもひしひしと伝わってきた。この曲の作曲はだーまえとMANYO氏どちらだろう…和音のつなぎ方がMANYO氏っぽいのだが、麻枝作曲だとしても編曲をMANYOがやっているので本当にわからない。とはいえピアノソロからヴァイオリンを入れるのはMANYO氏の十八番。この辺の曲が好きな方は是非『殻ノ少女』シリーズを・・・・・(注R18作品です)

「神様が、舞い降りて」  ——陽太(20:49)

曲のアウトロを流しつつ、このセリフは卑怯。二人とも少し頬を染めて笑っているのが……

まさにひなは舞い降りたものなわけだけど、救世主というわけではない。(世界の終わり自体は止めようとしていない)陽太の恋に付き合っている神様

ピアノの演奏シーンは指運びが細かいからこそ、アニメーションの力を強く感じる。Keyでピアノと言えば『Angel Beats!』OPの天使ちゃんを思い出す

そして最後はけがをした様子の空ちゃんでEND 世界の終わりまであと24日

1→2話で六日も過ぎていることを考えると後半ゆったりになるのか、6話とかで世界は終わるのか

ED映像

金魚が輪でできた回廊を通る映像。『Angel Beats』『Charlotte』と緻密に描かれた静止画で魅せてきただけあって少し意外。後半はステンドグラス風の花々とキャラクター達。そして空の金魚鉢が夏の光を受けて眩しく煌めいている……なぜ空の鉢で金魚は影(シルエット)でしか登場しないのだろう

 まとめ

やはりこうして毎週感想を書くのはコンテンツを追っている感があって楽しいですね!(読んでくださっている方は本当にありがとうございます)Key作品は自分にとって決して一番好きな作品というわけではないのですが、このようにリアルタイムで反応して盛り上げるのは一番楽しいコンテンツだな、と感じます。

来週にはKeyの新プロジェクトの発表もあり、非常に楽しみですね。ギネティック・ノベルは『planetarian』が結果的にいくつもアニメが作られる大きな作品となりましたが、『Harmonia』は優等生タイプの並な作品に留まってしまったので次回に期待です。新規Media Mixは情報が全くないのでそちらもワクワクです


最後に

この20年代=ゼロ+20という自分の発想は今年度を通して探っていきたいですね。「ゼロ年代」という言葉の独り歩き感を、ちゃんと現在に固着させてみたいと思っているのですよ。昨年の『天気の子』、今年の『神様』や『ひぐらしのなく頃に 業』など、ゼロ年代という言葉が(自分を含め)多くの人の口から発せられていますが、実際アニメ・ノベルゲーム業界はどのような20年代を歩んでいくことになるのか、その最初の一年である今年から捉えることができれば、と考えてたりしています。









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