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LHTRPG ギミック類を雑に考える

■最初に

この記事は、ログ・ホライズンTRPG(LHTRPG)に登場するエネミー種別の一つである〈ギミック〉類についてyu-jinの個人的な覚え書きをざらっと述べたものです。

LHTRPGにおいて〈ギミック〉はエネミーが必ず持つ8つの大種族(人型、自然、精霊、幻獣、不死、人造、人間、ギミック)の内のひとつである。
MMO、もしくはTRPGにおいて(LHTRPG内においても!)「ギミック」という単語自体「(戦場における)独自の仕組み、仕掛け」を差す単語として認知される傾向にあるので、この記事内ではLHTRPGの大種族を差す場合は「ギミック類」、戦場などにおける仕組み、仕掛けを差す場合は「戦場ギミック」と呼び分けていきたい。

■ギミック類の特徴

LHTRPGオンラインサプリメントである『セルデシアガゼット16』においてギミック類は以下のように説明されている。

ログ・ホライズンTRPGにおいて、〈ギミック〉とはモンスターとプロップの中間に位置するような存在だと定義されている。ダンジョンやフィールドなどに設置あるいは配置されており、〈冒険者〉の存在を感知すると攻撃を行う「自らの行動(行動値とメインプロセス)」を持つプロップの総称であり、〈ギミック〉という種類のモンスターが存在するという訳ではない。

セルデシアガゼット16

つまりギミック類は[ギミック]であると同時に[ゴブリン]であったり[巨人]であったりしても良いわけだ。
彼らギミック類はLHTRPG内においてかなり独特な特徴を持つ。「プロップと同じ出自」「《意思なき機構》」「防御は固定、攻撃は判定」「HPは二分の一」「行動力0」などがそれだ。
順に焦点を当てて少し考えてみたいように思う。

①プロップと同じ出自

ギミック類はプロップ(罠や地形)と同じく[機械][天然][魔法]のいずれかの出自を持つ。これはそれぞれハーフアルヴの《トゥームレイダー》、狼牙族の《ブッシュウォーカー》、エルフの《ヴィジョナリー》の対象となる。
ただし〈浄眼の巻物〉や〈看破の宝珠〉の対象にはならないことに注意したい。

②《意志なき機構》

ギミック類はすべて共通で特技《意志なき機構》を持つ。
この効果はざっと整理すると以下の通り。

・ヘイトルールを無視して対象を(選択できる範囲で)ランダムに選択する。
・ヘイトダメージを与えられない。
・ムーブタイミングを持たない。
・解除値(そのCRの困難)を持ち、解除されると[戦闘不能]となる。

これらの特徴から、ギミック類はヘイトトップ以外にある程度圧力をかけるようにデザインされているのではないかと考えることができる。
加えて、ムーブアクションを持たないため、攻撃と同時に移動してくる(仮称〈体当たり〉)か、移動しない固定砲台(〈仕掛け砲台〉と呼称される。ガゼット16参照)、もしくは一定の場所を周回し続ける(〈迫りくる巨大物〉と呼称される。ガゼット28参照)ような挙動をとることになる。
解除値に関しては、《ディスミサル》などに代表されるようなモブ排除特技では排除されない代わりに、《プロップ解除》がそうした排除特技として機能するようにデザインされている。

③防御は固定・攻撃は判定

ギミック類の防御判定の達成値はモブと同じく1Dの出目を3に換算した固定値だが、攻撃判定はダイスを振って達成値を求める。これはモブとは異なり、〔達成値:n〕等の複雑な実行条件を設定できる反面、処理はやや煩雑になるデザインだ。

④HPは二分の一

ギミック類のHPはモブと同じく通常の二分の一となる。これはアーマラー、フェンサー、グラップラーの防御型以外のタイプならば、ある程度強引に叩き壊すことができるHPであると考えられるだろう。逆に考えると、防御型のエネミータイプを選ぶと程よく戦場に残って手数を消費させる可能性があると考えられる。

⑤行動力は0

ログ・ホライズンTRPG エネミーデータガイド(高CR対応拡張版)には記載されていないが、現在公開されている公式データにおけるギミック類の行動力はすべて0に設定されているので、共通の特徴なのであろう。

■ギミック類に対抗する

ここまでギミック類の特徴についてざっと概観してきた。ではPCレベルにおいてこの厄介なエネミーに対抗するにはどのような手段が考えられるのだろうか。
これは「解除する」「叩き壊す」「やり過ごす」の三択になってくる。それぞれの枠内で有効になる手段についてあげていきたい。

①解除する

ギミック類のエネミーはそれぞれ解除値を持ち、《プロップ解除》によって戦闘不能となる。
そのため、《シックスフィンガー》や《エクスプローラー》などを持ちこんだ武器攻撃職には比較的たやすい相手だ。とはいえ《プロップ解除》の射程は1Sq。この射程をいかに埋めるかは課題になるだろう。また4Sq先から《プロップ解除》を行える魔法攻撃職の《メイジハンド》も有効な手段だ。
どちらの手段も、1アクションでエネミー1体を無力化できると考えれば割はあう。また《スピーディワーク》があればマイナーアクションで、さらにそれにネームドアイテム〈業師の手甲〉があればインスタントアクションでこれを実行することができる。狐尾族なら、さらに有効な「悪さ」もできるだろう。

②叩き壊す

ギミック類はモブと同じく、通常のエネミーに比べてHP的にぜい弱で、オブジェクトと異なりBSも有効だ。叩き壊すのはそれほど難しいことではない。特に、スピアータイプに代表される攻撃型のエネミータイプとしてデザインされたギミック類は、十分に成長した攻撃職なら容易に破壊可能だろう。
また、あなたが妖術師で、かつ《グリモワールシンタックス》を取得しているならば、それはギミック類にとって致命的な効果を及ぼすことが多い。一般的なエネミーなら容易に退避可能なこの特技であるが、ギミック類は行動力と移動の問題でもろにこれを浴びることになるからだ。
一方でアーマラーに代表される防御型のエネミータイプとしてデザインされたギミック類は叩き壊すのが少々手間となる。そうした場合はやはり「解除」してしまうのが手っ取り早い選択肢となるだろう。
また、ギミック類は他の大種族のように特効プレフィックスが設定されていない。そういった面なども含めるとギミック類はモブよりは「頑丈な」、もしくは厄介なエネミーであると感じることも多い。

③やり過ごす

ギミック類の行動力は0であり、かつムーブアクションを持たない。これはよほど特殊なつくりをしていない限り、こちらが彼らの攻撃範囲に入らずに待機すれば、彼らは行動終了を選択せざるを得ず、やり過ごすことが可能であることを意味している。戦場にあまりにもギミック類が多く配置されている場合、こうした待機が最適解であることはあり得るだろう。
とはいえ、待機はその分通常のエネミーに先手を譲ることになるので、「①解除する」や「②叩き壊す」に比べて消極的な選択肢といえる。

■ギミック類を運用する

デベロッパーとしてギミック類を運用するならば、これらの性質どのように利用してPCの行動選択に影響を及ぼしていくかが焦点になる。代表的なものは「①後列への圧力」「②戦士、回復職の見せ場増強」「③待機の検討」「④移動の強要」あたりだろう。

①後列への圧力

ギミック類は《意思なき機構》によってヘイトトップ以外をランダムに対象にとって攻撃を行うことができる。これは回復職からの支援が行われていない、比較的防御が薄いキャラクターへ適度なダメージを与えて「慌てさせる」機能として考えられる。こうした状況が一番得意なのは施療神官であり、一番苦手とするのは神祇官である。逆に言えば、後列に攻撃が仕掛けられなければ神祇官は無類に強い。ギミック類の適度な投入は環境の硬直を防ぐものとして考えられるだろう。

②戦士、回復職の見せ場増強

一定のCRを超えると、攻撃職のダメージ能力が大きく上昇しボスを簡単に始末しすぎて、戦士や回復職の見せ場がなくなってしまうという問題が起きる。そうした際に危険な(つまり攻撃型エネミータイプの)ギミック類を1~2体戦場に投入しておくと、これらは解決されやすい。
投入されたギミックに戦士職や回復職がカバーリングや回復で対処する展開(急戦志向)でも、攻撃職が解除したり叩き壊したりする展開(安定志向)でも、結果的に戦士職回復職の特技使用率は上がるからだ。

③待機の検討

ギミックは射程外で待機すれば行動終了する。逆にこれを見せ札にして、PCの思考に圧をかけるということも可能だろう。
戦場を作る際に、射撃陣地のような有利な位置を設定しておくことによって、「待機はしたい、しかしそれをすれば敵に地の利を与えてしまう」という迷いをPCたちに与えることができる。

④移動の強要

こちらは逆に初期配置からギミックの射程内にPCが置かれていたり、〈迫りくる巨大物〉の範囲に置かれていたりする場合だ。特に〈迫りくる巨大物〉は複数体を無慈悲に巻き込んでいくものが多い。それによって初期位置から大急ぎで移動することを強要できる。
また強制移動や[硬直]でそれを妨害するといったような移動系のアクションが大きな意味を持つようになるのも特徴だろう。

■まとめ

ギミック類について大まかな特徴を上げたうえで、どう対応するか、どう運用するかといったことをつらつらと、とりとめもなく語ってきた。
ギミック類はヘイトルールをかき乱し、退屈な戦場に乱数を与えるランダマイザだ。詰将棋のような、精緻な戦場も良いかもしれないが、そうした戦場に疑問を覚えたとき、ギミック類は大きな助けとなってくれるだろう。
またPC側からすれば数値以上の恐怖の対象なのだということを覚えておきたい。
良い冒険が、良い戦場があなたにあることを願って筆を置く。

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