見出し画像

生成AIカレンダーの振り返りと来年の展望

今年もあとわずかになりました。
いかがお過ごしでしょうか。
本記事では今年の生成AIアドベントカレンダーを振り返り、来年の展望を想像していきます。
本記事は生成AIアドベントカレンダー最終日にあたります。

生成AIアドベントカレンダーの振り返り

今年のカレンダーを振り返ると、アメリカや中国が主軸となって、画像、言語、音楽などの多くの範囲で技術発展したことがわかります。また、その技術発展とともに、芸術の価値や生成物への責任といった我々の意識も変わりつつあるというがわかります。表現の自由や意思決定にAIが関わり始めていることもわかります。今年はAIと人間の関わりを最も深く考えるようになった始まりの年であるといえるでしょう。

そして、このようにアドベントカレンダーをかいている中でも、世の中は変わっていきます。最も顕著な例では、GoogleによりGemini Ultraが発表されました。Gemini Ultraは各分野の専門家たちが作った言語ベースの問題集であるMMLUにおいて人間のスコアを上回ることができました。これはこれで一つのマイルストーンが達成されたと私は考えています。

これらを踏まえて来年の生成AIの展望を考えていきます。

来年の生成AIの展望

ここからは私の妄想に過ぎませんが、来年以降から本格的に活発になると思われる問いをいくつか並べてみようと思います。

AIは「中央値の人間」の知能を超えられるのか

この問いはおそらく来年にYesという形ではっきり示されると思います。

AIの究極の形であるAGIには6段階のレベルが設定されています。レベル0はAIでなく、レベル1は創発した、レベル2は中央値の人間を超えた、レベル3は専門家を超えた、レベル4が高度な専門家を超えた、レベル5がすべての人類を超えたAGIとなっています。現状のGPT-4やGemini Ultraはレベル1に相当します。つまり、次のレベルで中央値の人間を超えることになります。MMLUの視覚言語ベース版であるMMMUにおいて、GPT-4やGemini Ultraは60点を出しています。MMMUはレベル3のAGIを測定するために作られていますが、おそらくGPT-4.5は80点近い精度を出してくると思われます。それはほとんど専門家のレベルであり、中央値の人間を超えているのではないでしょうか。振り返ればGPT-4は2022年8月にすでに開発されていたと後に明らかにされています。また、GPT-4.5はOpenAI内部で公開準備されているとサムアルトマンらの発言から予想されます。あとは彼らが公開するか否かの問題でしかないのです。つまり、我々にはまだわかりませんが、すでに実在する可能性があります。

AIが中央値の人間を超えるとはいっても、それが直ちに人間社会を変えるとは思えません。GPT-4もはっきり言ってまだそこまで浸透していません。たとえ、超えたとしても社会の課題を解くようなレベルで実装されるには数年の時間がかかるように思えます。

AIは究極の芸術を生み出すことができるのか

この問いはおそらく来年では難しいと思われますが、数年後近いうちに生み出す可能性が高いと考えています。

AIはこれまで狭い範囲のことをやってきました。囲碁はすでに人間をAIが超えることができました。では、創造の世界はどうなんでしょうか。これまでは全く及ばないとされてきました。人間と比較する価値すらないというのが普通の発想でした。それが一転して生成AIの登場により、視点が変わりました。現状では専門家のレベルに到達していると判断している学者もいます。ちなみにアイキャッチの絵は画家が書いたように見えますが、実はとてつもなく長いプロンプトをChatGPT4で作り、Midjourney v6で描いたものです。プロンプトはざっくりいうと、歓喜の歌のような喜びを描いた作品になります。当然これまでの私ならばこのレベルに到達するのは不可能でした。今後はAIを使いこなした人が既存の芸術を超える究極の芸術を生み出してくれるものと信じています。

おわりに

アドベントカレンダーに参加してくださった方、お読みいただいた方、ありがとうございました。今年はAIにとって福音の年であったことを願い、最後は人類最高の芸術である『歓喜の歌』で締めたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?