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キブツってなに?

イスラエルにはキブツ(Kibbutz)という変わったシステムがあります。

ヘブライ語で集団とか集合を意味するそうで、当初は農業を主産業とした共産主義的なシステムで運営されるコミュニティとして設立されたそうです。

昔社会の授業で習ったロシアのコルホーズとか、中国の人民公社などが似たイメージのシステムとしてありますが、キブツの発生は1910年頃なのでタイミングとしては先行してます。

なぜ今更共産主義システムの話かと言うと、海外の旅行者にとって滞在費がタダでイスラエルで暮らせる仕組みとして有名なもの、という側面があるからです。

どういう仕組みかというと、キブツ内の居住者は農業に限らず色々な産業や、キブツを維持するための仕事に従事する代わりに、その対価を給料ではなく衣食住やキブツ内の娯楽などのサービスとして受け取るというシステムになっています。

イスラエル国民としてキブツ在住者になるためには制限がありますが、海外からのボランティアの受入れは積極的に行っており、このキブツのルールに従って労働を提供することで滞在費がかからないということになっています。

現在では280ほどのキブツがあるとか。そのうちボランティア受入れを行っているのは28か所だそうです

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キブツにはヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアなど世界中からボランティアが参加しているため、共通言語は英語だそうです。
なのでキブツに参加すれば住む場所と3食が無料で英語漬けの生活ができ、さらに他のボランティアと仲良くなればその出身国に繋がりができるという色々と魅力的な特典が付いてくる制度なのです。

またキブツのシステムで面白い点として、身分の平等と、家族の枠の薄さがあります。

身分の平等とは、キブツ居住者にはステータスがないということです。
例えばキブツ出身の政治家がいます。普段は政治の世界でバリバリ仕事をしていますが、キブツに帰省した際は住民はその人を政治家としては扱わないそうです。

家族の枠が薄いとは、子どもは他の住民と生活を共にし、家族のもとに帰るのは基本的に週1回だけだそうです。食事、洗濯、掃除など身の回りのことはキブツ内で役割をあてられた人が行います。

日本人からすると非常に変わっていて中々イメージしづらいシステムですが、キブツの住民はこの生活を平和的だと言って気に入っているそうです。
こういった日本とは全く異なるシステムで回っている社会集団にボランティアとして参加して、一緒に生活しながら眺めるのも新しい価値観を得られて面白い経験だと思います。

と、ここまで偉そうに語ってきた私ですがキブツ経験者ではありません。今回は短期滞在なので残念ながら最短2カ月以上というキブツ参加の条件を満たせず、この機会での参加ができませんでした。

生活の様子など詳細のレポートは、来年イスラエルに来る後任に任せたいと思います (^Q^)

いいことばかり書いてしまいましたが、「話が違う!」となるのは好きではないので、最後にいくつか注意点を列挙します。

・ボランティアビザ発行、保険、登録料などで4万5千円ほどの費用が必要(正直、往復チケットが10万円位からなので、それと合わせると初期費用はそれなりにかかります)

・日曜から金曜まで週に6日8時間の労働(日本で同じだけ働けば滞在費以上に稼げます。あくまでキブツを労働で支えるというボランティア精神が必要です)

・割り当てられた仕事によっては労働時間中全く英語を使わない(1人現場や英語があまり喋れないイスラエル人や他国ボランティアと一緒になることもあるそうで、そうなれば黙々と仕事をしなければならないケースもあると思います。

・部屋は共同(人数はキブツによるかもしれませんが、一人部屋ではないので共同生活に耐えられない人は難しいです。。。)

・英語力ゼロで2カ月間だけだと英語が伸びない(回りが英語ペラペラな環境で、リスニングもままならない状態では積極的に英語を使うのも難しいと思います。英語力強化も事前準備に含めて下さい)

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ボランティア受入れのとりまとめを行っているのはKPCという団体です。事務所の写真を撮り忘れてしまいましたが、入居ビルの6階で運営してます。ちょうどキブツ50周年を祝い、キブツとボランティアについて考える国際会議がありましたので参加してきました。

※この記事は2018年10月29日にFacebookに書かれたものを転記しています。

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