アパレル業界で私が知ってること(予算管理篇2):ブランド単位は先行して予算構築してるのでつじつま合わせが大変。

 さて、月別ブランド別店舗予算が出来上がるのって、期末か期初にたたき台がでそろいます。まあ考えりゃわかるんですけど、企画としてはこの段階で夏物生産に入ってたりするんですよね。春物なんか下手すりゃ店頭にあります。

 ですから、月別ブランド別合計予算はもっと前の段階で組んでおく必要があります。でも、まあ至近になればなるほど精度が上がるのも事実ですし、出退店の情報とかもでてきますから、この段階で決めるのはプロパー/マークダウンの比率を考慮した生産量を決めるっていうのが本義です。

出店退店の情報ってのは、それなりに早期から未確定情報として入ってきますから、未確定情報は未確定情報として取りこんでおく必要があるんですね。でも、まあ予定は未定な話ですから、概ね90%位をここで決定しておいて、あとから生産を増やすってのが常套手段です。ちなみに春物はロスが大きすぎますから、放置です。笑。

 都合が良いのは夏物は比較的工程が少ないっていう事で、冬物は販売期間が長い上に最後にプロパー販売の山がくるから案外微調整的な生産は可能なんです。難しいのは防寒衣料とかでしたね。工程が多すぎて間に合いません。

 商品がショートしそうな時は、基本的には次のシーズンの商品を作ります。例外は冬物くらいですかね。春物が不足したら夏物の晩期企画を立ち上げるんです。全体展開を前倒しにして販売期間を延ばしながら消化率を確保するって考え方です。秋物も同様で、秋物が不足したら冬物を追加生産するんです。そうすれば生産期間が長く取れます。
 この時点で店頭MD計画の微調整とかが必要なんですけど、まあ、そもそも季節変動の影響が受けやすい業界ですので、余程のレベルでミスをしない限りこれでなんとかなります。そもそもの設定がプロパー消化率60%目標ですからね。

 逆に売れなかった場合、案外放置してました。予算通りで消化率60%を取れる材料の90%しか作っていませんでしたから、調整が利くんです。いずれにせよマーケティング的な事を行ったりなんかもしましたし、できる限り予算と実績を近づけるようなアクションを行ってはいました。

 この時、近視眼的に毎週の結果で一喜一憂しないってのは一つのコツです。まあ全部が全部そうでもありませんが。もう少し細かく言うと、暦日的に売上ピークが決まってしまう場合(ゴールデンウィーク前とか、春休み中のジュニア差サイズのリュックサックなんかです。あとお盆明けの帽子)に関しては暦日をみながら売上進捗の確認をするんですけど、気候の影響の場合、わりかしこのあたりは一旦無視です。気候のせいにするような迂闊な予算を組んだ時点で失敗ですしね。

 さて、このブランド別予算を構築する際には、徹底的に気候要素を排除します。現実的には補正していくんですね。ここは非常に重要で、例えばユニクロが「前年は防寒物が売れた」「同じように考えてたら防寒物が余った」って話がありましたけど、ここでの補正を行っていなければ必然的にそうなるんですよ。ぶっちゃけ補正しててもやっちゃいがちなんですから。

 一つの逃げ道的には、マークダウンでなら捌ける、中堅どころの値段帯の充実なんていう手もあります。最低ラインの商品は機能特価しすぎていて粗利幅がとりにくいんですよ。このあたりはある種のずる賢さとかも必要だったりするのかも知れません。実際3万円代後半のコートを作った時なんかは「かっこいいけど3万円オーバーは普通にしんどくね?」とか話をしていたんですけど、原価率聞いて即採用決めました。笑。見た目や機能性では十分3万円代の価値はありましたからね。まあ結局は大半がマークダウンで捌ききりましたけど。コートの平均単価の2倍以上はプロパーでは辛かった。笑い。

 ちなみに、シーズン別販売予算っていうのは、シーズンごとの月別販売比率をそのシーズンで合計して算出していました。シーズンは重なるので15ヵ月程度のデータを使ってましたね。それをアイテム別に落とすときに上に書いてあるような補正を行いながらバランスを取っていくんです。

 さて、前回の店舗別がキーになっている予算っていうのは、ぶっちゃけ期の最初の店舗情報を元にしてある程度決定しますから(半期で見直ししてましたが)、致命的に大きなものはないんですけど、微調整が必要になります。まあニアリーイコールで良いので、ぶっちゃけ適当ですけどね。でも生産量との脈絡が崩れた予算は実現性に欠けますから、調整とかはやっぱりしておきます。

 まあ、自分が直接担当していた時は、担当ブランドの全店舗の予算を自分で作ってましたから、調整たって、まあ、慣れたものです。2日程度はかかるのでめんどくさかったんですけど、それだけですから余裕です。

 まあ、わりかし力業ではありますが、マトリックス的に成立させてしまえば予算設定は終了です。あとはシーズンインした後に予算との乖離がどういう感じで出てくるかのチェックと、ズレが出た時の対応だけですから、まあそれはそれで適当にやってたりしましたね。アイテムごとの理想の販売曲線も出来上がっていた頃ですから、ある程度プロパーでの最終着地点の予測はつきます。
 まあ、理想は予算対比で100%~105%くらいな感じでしたね。それ以上売れてもらったら商品的に不足しますし、それ未満だったら消化率的に辛くなります。
 とは言え、裏ではバッファは取っていたんですけどね。一応最悪のシナリオ的な物は用意してありましたから。

 このあたり、グラフっていうか表っていうか、そういうので見せられればわかりやすいんですよねー。多分探したらあるとは思うんですけど、探すのが面倒過ぎて。テキスト的なファイルを圧縮した状態でDVD4枚とかから探すのは、さすがにやる気がそがれます。新たに作るってもそれはそれで面倒ですし。まあ、気が向いたらやるかも知れませんが、そこまでやるなら有料化してやる!的な気分もちょっとあります。基本無料がポリシーなんですけど、具体的過ぎる事例になったら有料化位しないとモチベーションが発揮できません。ぐだぐだ書くのにはモチベーション不要ですからね。思い出しながら思い出したことを書いているだけですから。

 さて、まあそういう感じで予算構築してました。一応会社的にはOKを取っていましたから問題ありません。っていうか○%アップとか言われたら具体的にどこならアップさせられるかってのを真剣に検討してましたから、なんといいますか、普通に真面目にやってましたよ。意外なほどに。結論までの過程が雑談で定性情報的にやってたってのは内緒♪
 まあ、他にはやりようがありませんでしたからね、当時。

 ってことで、予実管理の今度は実績が出始めたらどうするかってのを多分次辺りに書くのかな?なんかそんな気がしてたりします。

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