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ビットコインレイヤー2の浮上

ビットコインユースケースの急激な拡大

原文:The Rise of Bitcoin Layer 2, by Trust Machines

ブロックチェーンのスケーラビリティ問題に対するレイヤー2ソリューションは、数年にわたり注目されてきました。

今年初めに出現したビットコイン上BRC-20標準のミームコインは、単純な話題や取引量の増加以上の影響をもたらしました。その結果、ビットコインエコシステムは大きな変動を経験し、多くの場所でレイヤー2の必要性が強調されるようになりました。

2023年7月、世界最大規模の取引所バイナンスは、ライトニングネットワークによる入出金サポートを開始するとの発表を行いました。これは、バイナンスという業界のリーダーがビットコインのL2技術を前向きに取り入れたことを示しており、多くのユーザーにとって$BTCの入出金時にレイヤー2の技術を利用する新たな選択肢が出てきたことを意味しています。

レイヤー2ソリューションのこのような台頭は、2023年のビットコインエコシステムにどのような変化や影響をもたらしているのか、注目してみる価値があるでしょう。


ビットコインブロックチェーンの「レイヤー2」とは何か?

レイヤー2ソリューション(L2)は、スケーラビリティの向上とトランザクション費用の低減を目指しています。ユーザーは、メインのブロックチェーンで全取引を完結するのではなく、オフチェーンチャネルを利用して取引を実施することができます。このレイヤー2は、基本的なブロックチェーン、つまりレイヤー1の上で稼働します。

具体的には、ビットコインネットワークはレイヤー1として機能し、ステートチャネルを活用する「ライトニングネットワーク」のような技術はレイヤー2として位置づけられます。ユーザーはメインのブロックチェーンとは別に支払いチャネルを開設し、このチャネル内では、ブロックチェーンへの直接の記録なしに複数回の取引を行うことができます。

このオフチェーンの取引手法により、ネットワークへの負荷を減らしながら、多くの取引を迅速に実行することができます。そして、数回の取引を一度の手数料でまとめて処理することで、コストも大幅に削減されます。


レイヤー2拡張ソリューションの必要性は何か?

ブロックチェーンの普及が進む中、スケーラビリティの課題が浮き彫りとなってきました。この課題は、ブロックチェーン上で新しいアプリケーションを開発・運用する際のボトルネックとなる可能性があります。レイヤー2は、トランザクションをオフチェーンで処理することで、メインネットワークの混雑を緩和し、手数料も削減する役割を持ちます。

特にトランザクション数が急増する場面で、ビットコインを始めとするブロックチェーンは、手数料の高騰が問題となることがあります。例えば、BRC-20やオーディナンス市場の急成長に伴い、バイナンスは$BTCの入出金を一時停止する事態に直面しました。このような問題を克服するため、バイナンスはライトニングネットワークの導入を決定し、ビットコインのレイヤー2技術を採用しました。


ブロックチェーンのレイヤー0、1、2の違いについて

ブロックチェーン技術は複数の階層、いわゆる「レイヤー」によって成り立っています。各レイヤーは独自の技術と目的を持っています。

  • レイヤー0:ブロックチェーンの基盤となるインフラを指します。これにはハードウェアやインターネットなどの基礎技術が含まれ、このレイヤーがなければブロックチェーンは機能しません。

  • レイヤー1:ブロックチェーンの基本的な動作を規定するプロトコルレイヤーです。Proof of Work(PoW)やProof of Stake(PoS)などの合意形成アルゴリズムがここに位置します。また、$BTCなどのメインネットのトークンもこのレイヤーで取り扱われます。

  • レイヤー2:メインネットの上に築かれ、トランザクションを高速に処理するための拡張レイヤーです。オフチェーン技術を導入して、ブロックチェーンのスケーラビリティと処理能力を向上させることが目的です。

ビットコインのレイヤー2技術には、どのような種類が存在するのでしょうか?

ライトニングネットワーク以外にも、ビットコインのスケーラビリティを向上させるための様々な技術やソリューションがあります。サイドチェーン、マージドサイドチェーン、ステーキングチェーン、そして他のビットコイン関連のレイヤー1技術などが挙げられます。

具体的なレイヤー2ソリューションの例として:

  • スタックス (Stacks):ビットコインを決済レイヤー (Settlement Layer)として利用する技術で、その上にスマートコントラクトやDAppsを構築することが可能です。

  • リキッドネットワーク (Liquid Network):Blockstream社が開発したソリューションで、特定のL-BTCというブロックチェーンを生成し、加盟する取引所や企業間で迅速な取引を促進します。よって、プライバシーとスケーラビリティの向上を提供します。

  • ルートストック (Rootstock):高度な仮想マシンを活用し、ビットコインネットワークでのスマートコントラクトの実行をサポートします。これにより、ビットコインの機能性がさらに広がります。

また、新しい技術としてアークプロトコル (Ark Protocol)のようなL2プロジェクトも見られます。


ビットコインのレイヤー活用事例

長らく、多くの人がブロックチェーンの進化はイーサリアムや他のレイヤー1プラットフォームで主に見られると考えていました。しかし、現在のビットコインエコシステムは急速に拡大しており、ビットコインネットワークを活用した新しい技術や実用例が日々増加しています。これは、ビットコインの堅牢なセキュリティを維持しつつ、スケーラビリティも実現しているレイヤー2の存在に起因しています。

ビットコインDeFi

ビットコインレイヤー2の革命的な影響の一つは、ビットコイン上でのDeFi機能の活性化です。基本的に、ビットコインはスマートコントラクトをサポートしていませんが、ライトニングネットワークやスタックスなどのレイヤー2ソリューションにより、ビットコイン上でもDeFiの新たな可能性が広がっています。

これらのレイヤー2プラットフォームを用いれば、資産の管理やアトミックスワップ、ビットコインによる融資や交換など、多様な機能が実現可能となります。

ブロックチェーンのトリレンマの克服

ブロックチェーン技術には「分散化」、「セキュリティ」、「スケーラビリティ」の3つの要素をバランス良く実現するのが難しいという課題、いわゆる「ブロックチェーンのトリレンマ」があります。ビットコインは高い分散化とセキュリティを持ちつつ、スケーラビリティに課題があるとされています。この点を補完するために、レイヤー2ソリューションが導入されています。


2023年、ビットコインの時代が到来するのか?

2023年、新たなプロトコルやプロジェクトが続々と誕生し、ビットコインのエコシステムに活気をもたらしています。これらは日々進化を遂げ、ビットコインのレイヤー2を際立たせています。

  • ビットコイン・オーディナンス: ユーザーは、ビットコインのチェーンに直接データを記録し、NFTやデジタルコレクションを生み出すことができます。

  • ビットコイン・スタンプ: ビットコイン特有のUTXOモデルを用いて、代替不可能なデジタルコレクションを生み出します。

  • BRC-20: オーディナンスにJSONコードを組み込むことで、ビットコイン上で動作するプログラム可能なアセットを生成します。

  • BRC-721: イーサリアムのNFTをビットコインへと移植します。

  • RGBプロトコル: ライトニングネットワーク上でプライベートなスマートコントラクトやトークンを実現します。

  • SRC-20 (ビットコインスタンプ): ビットコインのブロックチェーン上での未使用トランザクション出力として記録されるデジタルコレクションは、優れたセキュリティと不変性を誇ります。

ビットコインエコシステムの急成長は多くを魅了していますが、同時に一部からは議論を呼び起こしています。ミームコインなど、ビットコインでの新しい試みがどれだけ受け入れられるかはわかりかねますが、レイヤー2がビットコインエコシステムの核心部分としての役割を果たしていることは間違いありません。


ビットコインのレイヤー2の未来はどう展開するのでしょうか。

ビットコインのレイヤー2エコシステムが現在のように進化し続ける場合、レイヤー2市場は驚くべき潜在力を持つものとなるでしょう。2023年はビットコインエコシステムにとって特異な年でした。数々の出来事が急速に進行している中、それらの全体的な影響はまだ完全には明らかではありません。

たった数ヶ月でビットコインに基づく多岐にわたる開発の可能性が現れ、暗号通貨とブロックチェーン界に新たな風をもたらしました。これからも様々な試みや議論が続くことは予想されます。

しかしながら、ビットコインはブロックチェーンの草分けとしての地位を確固たるものとしています。新しい利用シナリオが増え続けるなら、すぐに多くのプラットフォームやコミュニティがビットコイン上で動作するようになるかもしれません。


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